白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.28
激変必至の24改定、ケアマネが押さえておきたいこと(前編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。第28回は2024年度に予定される介護報酬改定(24改定)に向けた議論の中でも、ケアマネジャーが押さえておきたいポイントを紹介します。
ケアマネジャーが注目すべき3つのポイント
いきなりですが、24改定が介護業界にもたらす影響は、かなり大きなものとなるでしょう。激変といっていいかもしれません。そこで今回は、ケアマネジャーが24改定に向けた議論を把握する上で、押さえておきたいポイントを紹介します。
注目されるのは、主に次の3点です。
- (1)新サービス(デイサービス+訪問介護)の各種基準
- (2)福祉用具に関する、新たなケアプラン検証の具体的内容
- (3)地域包括支援センターと居宅介護支援の新たな役割分担
「通所+訪問」の新サービス―注目点の一つは「ケアマネの配置」
もっとも気になるのは、やはり(1)ですね。新サービスの詳細については、社会保障審議会介護給付費分科会で議論されますが、注目しておきたいのは「ケアマネジャーの配置」や「既にあるサービスとの役割分担」「報酬」といったところでしょう。
このうち「ケアマネジャーの配置」とは、小規模多機能型居宅介護(小多機)のように、常勤専従の人員配置が求められるのかどうか、ということ。他のサービスとの役割分担を考える上でも、重要なポイントです。
「既にあるサービスとの役割分担」に関しては、まず、新サービスの職員が行う訪問サービスの範囲に注目しなければなりません。ちょっとした片付けや移動支援など、送迎のついでに取り組める程度の業務なのか、それとも掃除や洗濯、食事といった生活援助まで対象になるのか―。給付管理業務に取り組む上で、早めに把握しておきたい事柄です。ちなみに、もし生活援助まで対象になると、今度は新サービスで働く人に求められる資格が、どのように規定されるかも気になるところです。
もう一つ重要なのが、小多機との“すみわけ”です。デイサービスの中には、いまだに自費の「お泊りサービス」を実施しているところもあります。その「お泊りデイサービス」に訪問サービスまで認められると、通い・訪問・泊りを備えた、小多機と同じような類型ができあがってしまいます。
「報酬」では、「包括報酬か出来高払いか」と「具体的な単位数」が気になります。その設定によっては、小多機などの利用者が、新サービスに流出する恐れがありますし、ケアマネジャーの業務負担も大きく変わってしまいます。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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