白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.12
改定で拡充!特定事業所加算(前編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。第12回は、4月の介護報酬改定で拡充された特定事業所加算についてです。
拡充された特定事業所加算、新区分も
4月から、居宅介護支援の特定事業所加算の単位が引き上げられました。そして、新たに「特定事業所加算A」(加算A)が100単位/月で新設されました。
4月からの特定事業所加算 | |
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特定事業所加算(I) | 505単位/月(+5単位) |
特定事業所加算(II) | 407単位/月(+7単位) |
特定事業所加算(III) | 309単位/月(+9単位) |
特定事業所加算A | 100単位/月(新設) |
注目の「加算A」の特徴・その1-小規模事業所でも手が届く
まず、注目されるのは、やはり「加算A」でしょう。
この加算を算定するには、「主任ケアマネ」1人と「ケアマネ」1人(いずれも常勤・専従)、そして「常勤換算で1のケアマネ」の少なくとも計3人の配置が必要です。
このうち「常勤換算で1のケアマネ」は、ほかの事業所との兼務が可能です。ただし、兼務できるのは、「加算A」を算定するために連携する居宅介護支援事業所の業務に限られます。連携先以外の事業所のケアマネは対象外です。
さらに、「加算A」では、次の要件も連携先の事業所と実施することも可能です。
- 24時間の連絡体制の確保
- 事業所のケアマネへの計画的な研修の実施
- 実務研修の実習への協力
- 他法人との協力による事例検討会の開催
つまり、新たな「加算A」は、規模が小さな事業所でも手が届く仕組みになっているといえるでしょう。
注目の「加算A」の特徴・その2-連携のきっかけを作ってくれる
そして、この連携の促進こそが、特に小規模の居宅介護支援事業所には大切なのです。
今、小規模事業所のケアマネは、こんな不安を抱えているはずです。「新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になってしまったりしたら、利用者はどうするのか。給付管理をしている介護事業者は報酬を得ることができるのか」-。
この不安を解消するには、同じ悩みを抱えている事業者同士が連携し、いざというときに助け合うのが最も有効です。とはいえ、個人情報保護のこともあり、お付き合いのない事業所に、いきなり利用者を引き継いでもらうわけにはいかないでしょう。
「加算A」は、その連携のきっかけを作ってくれるわけです。
中には他の事業所の力を借りずに頑張りたいという方もいらっしゃると思いますが、利用者様のことを本気で考えるなら、いざというときに支え合える仲間を作ることも、少し前向きに検討してほしいですね。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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