白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.26
頭が痛い?!インフォーマルサービスの活用術(前編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。第26回はインフォーマルサービスの活用のポイントです。
思い込みはない?-実は幅広なインフォーマルサービス
インフォーマルサービスというのは、介護保険外のすべてのサービスのこと。ご利用者やご家族のためになるサービスや仕組み、取り組みで、公的な介護保険サービスに該当しないものは、すべてインフォーマルサービスです。
当たり前のことを改めて指摘したのは、ケアマネジャーの中には、このサービスを少し狭くとらえている人がいるように思えるからです。
改めて、振り返ってみてください。
インフォーマルサービス≒「掃除、洗濯、配食、安否確認」と思っていませんか?
「インフォーマルサービスを提供できる、民間の事業所を探さなきゃ」と焦っていませんか?
いずれも間違いではありません。ただ、いずれも、もったいない思い込みです。
最初に述べた通り、インフォーマルサービスの定義は「公的な介護保険サービス以外のすべてのサービス」です。掃除や洗濯、安否確認へのニーズは高いと思いますが、それだけに限定する必要はありません。例えば、「認知症のご利用者を抱えているご家族に対し、オレンジカフェに出向いたり、相談を受け付けるホットラインに相談したりすることを勧めする」ことだって、インフォーマルサービスに該当します。
徘徊しがちなご利用者の安全を確保するため、GPSの活用を提案されたことがある方もいるでしょう。これがインフォーマルサービスに該当するのは言うまでもありませんが、安全確保のための工夫としては「認知症の人を支える地域の安心ネットに加入する」ことや「親戚や地域の方に定期的な見守りをお願いする」といったことも考えられます。これらの工夫も、すべてインフォーマルサービスです。堂々と、ケアプランの第2表に書き入れてください。
自治体のサービスも、介護保険以外なら「インフォーマル」
また「インフォーマル」と聞くだけで、どうしても民間のサービスを想定してしまうという方も少なくないでしょう。残念ながらここにも「思い込みの壁」があります。
繰り返しますが、インフォーマルサービスとは、公的な介護保険サービス以外の、すべてのサービスです。つまり、自治体が提供する公的サービスも、ケアプランの上では「インフォーマルサービス」と分類されるのです。
例えば、何らかの障害がある方が要介護状態になったら、介護保険サービスだけでなく障害に適応するための相談支援などが行われることがあります。また難病を抱えている方であれば、支援のための公的な相談窓口を紹介することもあるでしょう。よりよい住空間の確保に迫られている人であれば、公的な空き家ネットに登録をお勧めすることもあるはず。いずれも、介護保険から見れば、立派なインフォーマルサービスです。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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