白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.15
注目の「LIFE」、ケアマネが知るべきことと、やるべきこと(後編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「仕事力アップ講座」。第15回は、国が推し進める科学的介護の基本システム「LIFE」についてです。
データに振り回されず、うまく使いこなす工夫を
前編で述べた通り、「LIFE」のデータには、まだ限界があります。ケアマネは、そうした側面も忘れずに「LIFE」のデータと向き合い、うまく使いこなしましょう。少なくとも現段階では、「LIFE」のデータだけを判断基準にサービス内容の変更などを拙速に行うのでなく、今後のサービスの在り方をチームで検討しましょう。
そしてデータを使いこなすためには、「LIFE」に無関心ではいけないでしょう。サービス担当者会議でデータを共有するなどの工夫をしましょう。また、フィードバックデータについて、事業所内や地域において研修会などを企画することも良いと思います。
「LIFE」のデータの積み上げが標準化につながる?
ところで国は介護のデータを積み上げていくことで、ケアマネの力量によるばらつきを解消する「ケアマネジメントの標準化」を実現しようとしているようにも思えます。
実際、特定の疾患によって介護が必要になった人については、ある程度の標準化はできるかもしれません。例えば、「脳梗塞からの社会復帰・地域復帰を目指す人」ならば、データの積み重ねがあれば、実現できるでしょう。「心疾患や大腿骨骨折などからの復帰を目指す人」でも、可能性はあります。
一方で、「老衰で介護が必要になった人を支えるためのケアマネジメント」は、どうやっても標準化はできません。「認知症の方を対象としたケアマネジメント」も同様です。進行も違えば、ちょっとした環境でも本人の状態も違ってきますから。
もう一つ、気になるのは3年後の介護報酬改定で「LIFE」の活用がどこまで報酬や制度などで後押しされるかではないでしょうか。次回は介護と医療のダブル改正になりますが、今回、提案したデータ活用の仕組みが制度の中に組み込まれる可能性もあるかもしれません。そのためにも「LIFE」の可能性と限界について学び・理解する必要があるとおもいます。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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