白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.19
悩ましい「入浴介助加算II」問題、対応のポイントを伝授!(後編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。第19回は、昨年4月の介護報酬改定で新設されたデイサービスの「入浴介助加算II」との向き合い方を白木先生が伝授します!
まずは事業者と丁寧な事前カンファを
前回指摘した通り、入浴は高齢者にとってとても大切で、それでいてリスクも高い行為です。そして、その入浴を自宅で行うことを後押しするのが、デイサービスの「入浴介助加算II」なのです。
それだけに、ケアマネジャーは「入浴介助加算II」を算定しようとするデイサービス事業所と丁寧に向き合わなければなりません。きちんとカンファレンスをし、算定根拠を確認しましょう。
カンファでデイに確認すべきポイントは…
入浴支援のためのカンファレンスの際、算定要件に加えて確認しておきたい主なポイントは次の通りです。
- 算定するご利用者一人ひとりの状態・環境に応じた計画が定められているか
- 毎月、ケアマネにご利用者の入浴の状況を報告してもらうなど、より細かく情報を共有する体制が整えられているか
- 家族の同意があるか
カンファレンスでは、本人が入浴する際のリスクを把握し、その対策を講じているかも確認するようにしましょう。特に冬場は、入浴時のヒートショックを防ぐため、「日中入浴」や「ヘルパーの訪問時」といった予防策が講じられているかどうかも確かめた方がいいと思います。
これらの点が十分に考慮され、加算の要件も満たした計画であれば、算定を妨げる理由は全くありません。
逆に、デイの利用者全員に同じような計画を立案して「入浴介助加算II」を算定しようとする事業所であれば、ケアマネとしてしっかり意見を言うべきです。たとえ同じ要介護度の人であったとしても、その方のADLや介護者を含めての家庭環境は異なるはずです。
家族の支援力と本人の意志の確認こそが大切!
「入浴介助加算II」を算定するにあたっては、本人ばかりでなく、支援にあたる家族にも配慮したいところです。例えば、「入浴の準備から後片付けまでの一連の支援を家族だけでできるか」といった点は、確認しておいた方がよいでしょう。
そして最も大切なポイントは「本人が自宅での入浴を希望しているのか?」ということ。当たり前のことではありますが、この点は、何よりも先に確認してください。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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