ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」

親の介護を全てケアマネに押し付けてくる家族(後編)

ご利用者や家族がケアマネに業務範囲外の対応を強要するケースの後編です。改めて、事例を確認しましょう。

※事例の細かな設定などは、先月の寄稿をチェック!

業務範囲外の対応を、脅すように求めてくるご利用者のキーパーソン(娘様)に悩まされています。

例えば、ご利用者に微熱が続いた時、「様子を見に来てほしい」と伝えると「そんなことは、ケアマネの仕事でしょう」と一方的に言われました。業務範囲外で、対応しかねると伝えると「利用者の体調が悪いことをわかっていながら、放置するというわけね!このこと、市役所に伝えさせてもらうことになるけど、よろしいですか」と、強い言葉を使って対応を求めてくるのです。

ご利用者自身も心配性で、ちょっとした出来事でも過剰に反応し、昼夜を問わず電話をかけてきます。この前は23時過ぎにネコの鳴き声について電話相談がありました。しかも、その翌早朝には、使っている杖について細かな質問の電話が長々と…。

猫の鳴き声対策はケアマネや介護職の業務ではないこと、杖に関しては福祉用具専門相談員に連絡すればいいことを伝えてはいますが、聞き入れてもらえません。

娘様にご利用者を説得するよう求めても、「近くにいるケアマネを頼るのは自然なことでしょ。プロなんだから、そのくらいなんとかしてよ」と、にべもなく拒絶されました。

このままでは、ご利用者と娘様の便利屋か奴隷のようになってしまいます。今後、どう対応したらよいでしょうか。

理不尽な「脅し」に備えるためには…

前号では「熱くなって感情的になる」ことの危険性を指摘した上で、(1)ルールを確認するか、ルールを作る(2)ルール通り動く(3)記録する―という3つのステップを実践することを解説しました。

やっかいなのは、ご利用者に微熱が続いた時、家族はケアマネが見回りをしないことを「母の課題を把握しながら対応しない」と責め立てた上、市役所に「通報する」と脅している点です。

通常、こうした「通報」を受けたからと言って、役所職員がケアマネの行動を問題視することはないでしょう。しかし、虚実を織り交ぜた「通報」によって、役所職員が判断を誤る可能性がないとはいえません。そのような事態に陥ってもしっかり説明できるよう、対策を講じる必要があります。

「記録を丁寧に残す」ことこそが対策の基本

対策の基本はずばり、記録を丁寧に残すことです。

まず、本件では「ご利用者について微熱が続いている」という事実があります。微熱について、ヘルパーをはじめとした現場職員から報告された情報は、逐一丁寧に記録していきましょう。必要に応じて主治医の診察を手配するといった対策を講じたのであれば、その行動も記録しておくべきです。

「医師との調整」も、厳密に言えばご家族の役割ということになりますが、その点に関するルールが無いのであればご家族と協議し決めていく必要があります。「今回のような場合に、誰がどのような手順で受診につなげるかといった手続きについて決めさせて頂きたい」と伝え、こちらの考えもあわせて共有します。

もしかすると、こちらが配慮し心を砕いたとしても、この家族は協議に応じようともしないかもしれません。しかし、たとえ相手がどう反応しようと、大切なことは、ルール作りに向けて動くこと。そして、それを逐一記録することです。ルール作りの協議に応じようとしなかった場合であれば、「申し入れたにも関わらず応じて頂けなかった」という経緯をそのまま支援経過記録などに記述しましょう。その上で包括を交えた話し合いを持ちかけるなど、淡々と働きかけを続けましょう。

契約解除の時こそ、記録が物を言う!

それでも改善の余地がないようであれば、最期は契約解除に踏み切らざるを得ません。

そして、解除が有効と認められるためには、具体的に背信行為といえるだけのエピソードがどれだけあったかが問われます。その時、細かく残した記録が物をいうのです。

ご利用者本人からの逸脱した相談や質問についても同様です。ケアマネの業務範囲ではない、ということを繰り返し説明したにも関わらず、まったく受け入れてくれないという状況を、逐一記録しておきましょう。毎回詳細に記録することが大変であれば、ポイントだけでも経過記録に残しておきましょう。

外岡潤
1980年札幌生まれ。99年東京大学文科Ⅰ類入学、2005年に司法試験合格。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)後、ブレークモア法律事務所、城山総合法律事務所を経て、09年4月法律事務所おかげさまを設立。09年8月ホームヘルパー2級取得。09年10月視覚障害者移動介護従業者(視覚ガイドヘルパー)取得。セミナー・講演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することを得意とし、特に独自の経験と論理に基づいた介護トラブルの回避に関するセミナーには定評がある。主な著書は『介護トラブル相談必携』(民事法研究会)、『介護トラブル対処法~外岡流3つの掟~』(メディカ出版)、『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(レクシスネクシス・ジャパン)など。「弁護士 外岡 潤が教える介護トラブル解決チャンネル」も、運営中。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」の記事一覧へ

こちらもおすすめ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ

ケアマネジメント・オンライン(CMO)とは

全国の現職ケアマネジャーの約半数が登録する、日本最大級のケアマネジャー向け専門情報サイトです。

ケアマネジメント・オンラインの特長

「介護保険最新情報」や「アセスメントシート」「重要事項説明書」など、ケアマネジャーの業務に直結した情報やツール、マニュアルなどを無料で提供しています。また、ケアマネジャーに関連するニュース記事や特集記事も無料で配信中。登録者同士が交流できる「掲示板」機能も充実。さらに介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の過去問題と解答、解説も掲載しています。