弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」
※この記事は 2022年3月1日 に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
神経質すぎる?利用者家族への対処法(コロナに関する問題)
- 2022/03/01 09:00 配信
- 弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」
- 外岡潤
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いまだに新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、介護の現場でもご利用者や職員の感染が相次いでいます。介護現場ではご利用者の身体に密着することも多いため、感染リスクを懸念し、事業所への要求がエスカレートすることも見受けられます。次のようなケースでは、ケアマネジャーとしてどう対応すべきでしょうか。
想定ケース:毎週1回の検査を要求する家族
在宅のAさんを担当するケアマネのBさん。併設するヘルパーステーションの訪問サービスを使っていましたが、ある日、Aさんと同居のご家族から、「よその事業所から来ているヘルパーの家族が新型コロナウイルスに感染したと聞いた。お宅の法人は大丈夫か」と聞かれました。
Bさんは、自分が所属する法人のケアマネやヘルパーは、二週間に一度検査していることや、個別検査キットも持っていると説明すると、「検査キットを持っているだけでは意味がないでしょう!なぜ、使わないの?今後は週一回で検査して、陰性であることをしっかり確認してから訪問するようにしてほしい」と言われてしまいました。
BさんはPCR検査の結果判明は数日後になることや、毎日、手指消毒とマスク、検温などの感染予防対策を徹底していること、今まで感染者は出ていないことなどを伝え、安心していただけるよう努めました。それでも、ご家族の言い分に変わりはなく「うちの母は肺炎を患ったことがあるから、コロナは命取りになる。うちに来る時だけでも優先的に検査してほしい」と譲りません。
時節柄、親御さんを思う気持ちはよくわかりますが、やや神経質とも思える要望です。こうしたご利用者・家族からの要望にどう対応すればよいでしょうか。
そもそも職員に検査を強制することはできるのでしょうか。さらに検査をするにも費用がかかり、頻繁に実施するのでは出費もばかになりません。職員に費用を負担させることはできるでしょうかー。
検査は、あくまで事業所と職員の自主対応
事業所としてはご利用者・家族からのこのような要望があると困ってしまいますが、お気持ちは良く分かるため、その分、悩んでもしまいます。
ただ、例えば「ヘルパーやケアマネが利用者宅を訪問する際、週一回検査を受けるべき」といったことまでは現状、法令や省令では義務付けられていません。どの程度の頻度で検査を受けるかについては、あくまで事業所の方針と各職員の自主的対応に任されています。
従って、すでにお答えになったように「検査を含む衛生管理や健康チェックは毎回しっかりと行っているため安心して頂きたい」と伝える程度に留めることが良いと考えます。
検査を指示することは可能だが、費用は事業所が負担
「職員に検査を強制することはできるか」という点については、自由選択であるワクチン接種と違い、業務命令として検査を受けるよう指示することは可能です。もっとも、毎日受けさせるなどあまりに極端で合理的ではないことまで強制することはできません。
一方、検査費用については、事業主の判断で受検させる以上、職員ではなく事業所が負担することになります。
では、一通り説明した後で家族から「そちらの事業所では今、どの位の頻度で検査しているのか?」と聞かれた場合は、どう対応すべきでしょうか。正直に答えても良いですが、今後、状況次第で変更する可能性があるだけに、現段階の検査の実施頻度を保証したと誤解されても困りますね。
例えば次のような返答が考えられます。
「ご心配なお気持ちはよく分かります。現状、必要と認められる場合に適宜実施しておりますが、感染状況などは様々な要因で変化しますので、一概にはお答え致しかねます」
一見して無茶な要請と思われたとしても、言下に否定するのではなく、いったんはご家族の不安な気持ちを受け止め共感を示すことが大切です。

- 外岡潤
- 1980年札幌生まれ。99年東京大学文科Ⅰ類入学、2005年に司法試験合格。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)後、ブレークモア法律事務所、城山総合法律事務所を経て、09年4月法律事務所おかげさまを設立。09年8月ホームヘルパー2級取得。09年10月視覚障害者移動介護従業者(視覚ガイドヘルパー)取得。セミナー・講演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することを得意とし、特に独自の経験と論理に基づいた介護トラブルの回避に関するセミナーには定評がある。主な著書は『介護トラブル相談必携』(民事法研究会)、『介護トラブル対処法~外岡流3つの掟~』(メディカ出版)、『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(レクシスネクシス・ジャパン)など。「弁護士 外岡 潤が教える介護トラブル解決チャンネル」も、運営中。
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