ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

激変を乗り越える!居宅介護支援事業所の生き残り講座

どう向き合う、特定事業所加算の新要件

2021年度の介護保険制度改正と介護報酬改定(21改定)は、介護保険制度の方向性を大きく変えるターニングポイントだったといえます。その方向性は、2024年度の介護保険制度改正・介護報酬改定(24改定)で、よりはっきりとした形で表れてくるでしょう。24改定を乗り切るためにも、居宅介護支援事業所は、今から制度改正の先を読み、できる限りの手を打たなければなりません。「生き残り講座」では、そのための具体策を独立型の居宅介護支援事業所を複数経営する株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中紘太代表取締役が解説します。

居宅のプラス1.8%に込められた「意図」

21改定では、居宅介護支援事業所は1.8%のプラス改定となりました。

今回のプラス改定の要因は、介護報酬改定の前に行われる介護経営実態調査(実態調査)で居宅介護支援事業所の収支差が「赤字」になっていたことです。直近の実態調査ではマイナス1.8%程度の「赤字」だった上、過去の実態調査でも、ずっと「赤字」が続いていました。また、居宅介護支援事業所の約9割は介護サービス事業所に併設されており、居宅介護支援事業所自体は赤字であることが、いわゆる囲い込みの原因になっているとも言われていたことも影響したと思われます。

こうした背景まで考えると、今回の1.8%分の引き上げには、「居宅介護支援事業所自体の赤字が解消されれば経営が健全化され、併設の介護サービスに頼る経営実態が減少するのでは」という意図が感じられるのです。

改定ごとに新要件が加わる特定事業所加算

前置きが長くなりましたが、4月の介護報酬改定では、基本報酬の他に特定事業所加算の単位数も上乗せされました。

この特定事業所加算ですが、最近の介護報酬改定では、毎回、新たな要件が追加されてきました。

2015年度には、「介護支援専門員実務研修における科目『ケアマネジメントの基礎技術に関する実習』等に協力又は協力体制を確保していること(平成28年度の介護支援専門員実務研修受講試験の合格発表の日から適用)」が追加されました。

2018年度では、「他の法人が運営する指定居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を実施していること」が追加されました。

「実習生の受け入れ」や「他法人との共同での事例検討会の開催」は、いずれも地域でリーダーシップを発揮し、ケアマネジャーを育成・教育していくことを念頭に設計されています。

弊社も5事業所の単独型居宅介護支援事業所を運営していますが、全ての事業所で特定事業所加算を算定しているため、実習生も多数受け入れており、他法人と共同での事例検討会も頻繁に行っております。

確かに手間はかかりますが、教える側も大変勉強になりますし、自社に限らずケアマネ全体の質の向上の一端を担えることが嬉しく感じることもあります。

21改定の新要件で、プラン点検などでも保険外を注目?

ただし、21改定で追加になった「必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」は、今までの要件追加とは、若干毛色が違うように思います。

わざわざ追加するような内容ではなく、以前からケアプラン点検や記載要領でも言われ続けてきた事と思えるからです。

逆に言えば、特定事業所加算の要件に加えるくらいじゃないと、インフォーマルサービスをケアプランに位置づけないケアマネが多いのかと感じてしまい、落胆してしまいました。

また、介護保険最新情報vol.952の「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」では、次のような疑義解釈が示されました。

特定事業所加算

問 113: 特定事業所加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)及び(A)において新たに要件とされた「必要に応じて、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービスが包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」については、必要性を検討した結果、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービスを位置付けたケアプランが事業所の全てのケアプランのうち1件もない場合についても算定できるのか。

(答)算定できる。なお、検討の結果位置付けなかった場合、当該理由を説明できるようにしておくこと。

特定事業所加算を算定している事業所は常勤の主任ケアマネと常勤のケアマネが3名以上在籍し、利用者数は概ね100名以上いる事業所と思われます。その中で1件もインフォーマルサービスをケアプランに位置付けているプランがないということがありうるのでしょうか。

それだけに、本当にこんな質問がケアマネから出たのか、疑問を持ちました。また、そのような質問が実際にあったとするなら、ケアマネ自体の質を問われてしまうのではないでしょうか。

さらにQ&Aではインフォーマルサービスの定義も丁寧に解説されています。

特定事業所加算

問 114: 特定事業所加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)及び(A)において新たに要件とされた、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービスとは具体的にどのようなサービスを指すのか。

(答) 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成 11 年7月 29 日老企第 22 号)3⑺④を参照されたい。

≪参考≫
・通知:第2の3⑺④
居宅サービス計画は、利用者の日常生活全般を支援する観点に立って作成されることが重要である。このため、居宅サービス計画の作成又は変更に当たっては、利用者の希望や課題分析の結果に基づき、介護給付等対象サービス以外の、例えば、市町村保健師等が居宅を訪問して行う指導等の保健サービス、老人介護支援センターにおける相談援助及び市町村が一般施策として行う配食サービス、寝具乾燥サービスや当該地域の住民による見守り、配食、会食などの自発的な活動によるサービス等、更には、こうしたサービスと併せて提供される精神科訪問看護等の医療サービス、はり師・きゅう師による施術、保健師・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練なども含めて居宅サービス計画に位置付けることにより総合的な計画となるよう努めなければならない。

なお、介護支援専門員は、当該日常生活全般を支援する上で、利用者の希望や課題分析の結果を踏まえ、地域で不足していると認められるサービス等については、介護給付等対象サービスであるかどうかを問わず、当該不足していると思われるサービス等が地域において提供されるよう関係機関等に働きかけていくことが望ましい。

インフォーマルサービスを具体的に例示され、ケアプランに位置づけるように示されていますね。

それだけに、今後のケアプラン点検や実地指導の際には、インフォーマルサービスについて、これまで以上に指導や点検されることが予想されます。

介護サービスからの「卒業」も意識して

最後に、介護保険最新情報vol.1005の内容に触れたいと思います。

この最新情報は「適切なケアマネジメント手法」の手引きを紹介したものですが、その中の大腿骨頸部骨折のある方のケアに関する項目の中に、「介護給付サービスの終結に向けた理解の促進(自助・互助への移行)」というスライドがあります。

その解説の中で、次のような言葉があります。

「…回復あるいは維持といったところの取り組みについての部分は、ある程度の状態まで至ったら徐々にそのサービスの終結に向かっていきましょうということを意味しています」

「…給付サービスがなくなっても機能を維持していき活動量を維持していくために、例えば自分の好みの趣味の活動とか散歩でもいいですし、活動量を維持していく日常の日課の中に活動を維持していく、こういうのはやっていく必要があるわけですけれども、全部が全部介護サービスで引っ張り続けるのではなくてその方に合った、その方自身の生活の中に組み込んでいく、そしてここに書いてある通りセルフマネジメントに移行していくとよろしいかなというところでございます」

つまり、「介護サービスが必要なくなる=卒業する」ことを目指すよう、促しているわけです。

今後は、積極的にインフォーマルサービスをプランに位置付けるだけでなく、介護サービスからの卒業も意識し、ケアマネジメントに取り組む必要があると思います。

田中紘太
株式会社マロー・サウンズ・カンパニー代表取締役、主任介護支援専門員。併設サービスを持たない居宅介護支援事業所「ダイバーシティ」を5事業所運営。在籍するケアマネジャーは35人。また、ケアマネ研修動画サイト「DiversiTV」も運営している。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

激変を乗り越える!居宅介護支援事業所の生き残り講座の記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ