依存症にまつわるエトセトラ…えっ?!そうなん!!
高齢者こそ怖い!アルコール依存
- 2021/10/26 09:00 配信
- 依存症にまつわるエトセトラ…えっ?!そうなん!!
- 富察
-
夜は虫の音が響き、吹く風がひんやりと心地よく頬をなでてゆく季節になりましたね。天高く馬肥ゆる秋、コロナの感染拡大も小康状態。いそいそとおしゃれしてそぞろ歩きしたくなってしまいますが、落ち着きつつあるとはいえ、コロナも反撃の機会を手ぐすねひいて待ち構えているはず。油断大敵、と行きましょう。なんか言い回しが昔の朝ドラのアナウンサーのコメントみたいになってますな。今、マー姉ちゃんを観ながら原稿書いているからかしら・・。
いよいよ今週から主任介護支援専門員の2回目の更新研修が始まります…。私は何をおいても「グループワーク」が大大キライでして、イヤすぎて過去には研修中に口唇ヘルペスを発症し、かゆみと痛みに七転八倒しながらやり過ごした経験があるくらい。さらに、この原稿が終わったら、包括の広報紙に連載のまんがを仕上げねば。ふううぅ。
高齢者が酒びたりになる背景には…
さて今回は、アルコール依存症は高齢者にも隠れた問題として存在していることに触れていきたいと思います。
高齢期は喪失の時期とも言われています。「仕事の一線を退く」「配偶者や友人との今生の別れ」「社会の中での役割・居場所の喪失」…。いままで培ってきた自分の立ち位置や役割が次々と失われていく時期なのです。
さらに高齢期には金銭や健康にかかわる様々な困難が生じやすくもなります。その上、加齢の影響で柔軟に物事に対応するのも難しくなります。
大切なものが失われ、簡単にできていたはずのことが難しくなっていく。一方で、時間だけは若いころよりたっぷりとある―。虚しさのあまり、酒びたりになっても、決して不思議はない状況といえます。
支援者が、こんなことを言ったら要注意!
こうした状況を知っている支援者の中には、高齢者の過度な飲酒に寛容な姿勢を示す人が少なくありません。例えば、支援者から次のような言葉を聞いたことはないでしょうか。
「大酒じゃなくて350mlのアルコール飲料1本を毎日だけしか飲まないから依存症じゃないでしょう」
「唯一の楽しみだし、周りに迷惑かけてないから大丈夫」
「取り上げるのはかわいそう、歳だから好きなようにさせたい」
気持ちはわからなくもありません。しかし、こうした発言をする支援者の近くには、アルコールに依存してしまっている高齢者がいる可能性が高いと言わざるを得ません。
脳の機能低下を招く恐れも
また、高齢者がアルコールに依存することによって、脳が委縮し、その機能が低下するというリスクもあります。低下する機能としては、記憶や運動、知覚、情動制御、思考、判断などさまざまですが、どの機能が低下しても、自立した生活を維持する上で大きなマイナス要因となることは間違いありません。
ちなみに、アルコールの依存によって委縮する脳の部位は前頭葉です。そして認知症でも前頭葉に委縮がみられる場合がありますので、専門医や本人の生活状況などをよく把握しているような医師でないと診断を見間違ってしまうこともあります。そのため、最近では内科の医師が飲酒問題に着目するようになり、アルコールアセスメントを診察場面で取り入れることも増えてきているようです。
次回は、高齢者のアルコール依存をさらに掘り下げます。それでは!
※参考文献・資料
知っておきたい!「高齢者の飲酒問題の特徴」と「介入方法」(四日市アルコールと健康を考えるネットワーク)

- 富察
- 関西の某中核市にある地域包括支援センターに勤務する、漫画家志望の白衣大好き主任ケアマネジャー。「関西アルコール関連問題学会」会員。趣味は空手・ラグビー観戦 ウエイトトレーニング、医学史研究。大学での専攻は実は史学科東洋史。中国文化が大好き。特に清代。
スキルアップにつながる!おすすめ記事
このカテゴリの他の記事
こちらもおすすめ
ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報
介護関連商品・サービスのご案内
ケアマネジメント・オンライン(CMO)とは
全国の現職ケアマネジャーの約半数が登録する、日本最大級のケアマネジャー向け専門情報サイトです。
ケアマネジメント・オンラインの特長
「介護保険最新情報」や「アセスメントシート」「重要事項説明書」など、ケアマネジャーの業務に直結した情報やツール、マニュアルなどを無料で提供しています。また、ケアマネジャーに関連するニュース記事や特集記事も無料で配信中。登録者同士が交流できる「掲示板」機能も充実。さらに介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の過去問題と解答、解説も掲載しています。