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激変を乗り越える!居宅介護支援事業所の生き残り講座

24改定の後も存続し続けるための条件は?

2021年度の介護保険制度改正と介護報酬改定(21改定)は、介護保険制度の方向性を大きく変えるターニングポイントだったといえます。その方向性は、2024年度の介護保険制度改正・介護報酬改定(24改定)で、よりはっきりとした形で表れてくるでしょう。24改定を乗り切るためにも、居宅介護支援事業所は、今から制度改正の先を読み、できる限りの手を打たなければなりません。「生き残り講座」では、そのための具体策を独立型の居宅介護支援事業所を複数経営する株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中紘太代表取締役が解説します。

既に始まっている24改定への議論

21改定が施行されて、ようやく半年余りが過ぎました。「まだ、変わったことに慣れるだけで精一杯」というケアマネジャーも多いと思います。

だが、既に24改定への議論は始まっています。

議論が始まったのは2021年4月。制度改正と報酬改定が施行されたその月です。口火を切ったのは財務省でした。

4月15日に開催された同省の財政制度分科会に提出された資料では、介護を含めた社会保障費について「我が国財政悪化の最大の要因」と断じた上で、次のように指摘しています。

○ 我が国の社会保障制度は、受益(給付)と負担の対応関係が本来明確な社会保険方式を採りながら、後期高齢者医療・介護給付費の5割を公費で賄うなど、公費負担(税財源で賄われる負担)に相当程度依存している。その結果、近年、公費の比重の大きい後期高齢者医療・介護給付費の増に伴い、公費負担への依存度が著しく増加している。

○ その際、本来税財源により賄われるべき公費の財源について特例公債を通じて将来世代へ負担が先送りされているため、負担増を伴わないままに受益(給付)が先行する形となっており、受益(給付)と負担の対応関係が断ち切られている。負担の水準の変化をシグナルと捉えて受益の水準をチェックする牽制作用を期待できないまま、受益(給付)の増嵩が続いている。

財務省が介護や医療に抱く、大きな“いら立ち”

堅苦しい言い回しばかりですから、これらの文言に込められた財務省関係者の社会保障費増大への“いら立ち“は、今一つ伝わりきらないかもしれませんが…。

要は「大切な子供たちの世代への借金を膨らませているのは、医療・介護・年金!」「なのにサービスを受ける側の高齢者はあまりお金を払っていない!どうにかしないといけない!!」と、恐ろしく強い調子で主張しているのです。

むろん、ここまで強い主張を展開している以上、「でもまあ、今後も社会保障費が増えるのは、しょうがないよね」で、済むはずはありません。24改定に向けた議論では、「介護報酬を削れ!」という圧力は、これまでにないくらいに強まるでしょう。

ケアマネジメントへの利用者負担導入を求める「理論」

また4月15日の財政制度審議会の資料では、ケアマネジメントについて、次のように述べられています。

○介護保険サービスの利用にあたっては一定の利用者負担を求めているが、居宅介護支援(ケアマネジメント)については、要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにする観点から、利用者負担をとらないこととされた。

しかしながら、介護保険制度創設から約20年が経ち、サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することが自然。

○ また、ケアマネ(居宅介護支援)事業所の約9割が他の介護サービス事業所に併設しており、「法人・上司からの圧力により、自法人のサービス利用を求められた」という経験を見聞きしたケアマネジャーが約4割いるなど、サービス提供に公正中立性の問題が存在。更に、ケアマネジャーは、インフォーマルサービスだけでなく、介護保険サービスをケアプランに入れなければ報酬を受け取れないため、「介護報酬算定のため、必要のない福祉用具貸与等によりプランを作成した」ケアマネジャーが一定数いることが確認されている。
利用者負担を導入し、利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることにより、ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資する。

○ 福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行う等、サービスの内容に応じた報酬体系とすることも必要。
つまり…。
「他サービスでもやっているだから、居宅介護支援でも利用者からお金を払ってもらうのが自然」
「居宅介護支援事業所の公正・中立に疑問があるから、利用者からのチェックを厳しくしよう。厳しくチェックしてもらうためには、利用者にお金を払ってもらうのが効果的」
―という理由から、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきと訴えているわけです。

さらに
「福祉用具のみのプランの報酬は削減!」
と、ごくわかりやすく主張してもいます。

これらの主張は、現場を預かるケアマネにしてみれば、「ツッコミドコロ満載で、ちょっとびっくり…」といったところしょう。でも、これが国全体のお財布を預かる財務省の論理と主張なのです。

もっとも財務省は、はるか前から、それも何度となく、ケアマネジメントに利用者負担を導入するよう主張してきました。21改定に向けた議論でも、財務省側の主張を踏まえ、その是非が検討されましたが、結局は「継続議論」となり、現在に至っています。

ただし、21改定直後の財政審議会で、それも上記のような強い物言いで提言をしてくるところを見ると、財務省は「次期改正でこそ、ケアマネジメントに利用者負担を…!」と、強く決意しているのではないでしょうか。

まとめると財務省は「24改定では介護報酬を削り、ケアマネジメントにも利用者負担を導入する」という方針の下、本気で動き始めているのです。

恵まれた21改定、「わずかなプラス」も難しい24改定

ここで改めて21改定を振り返りたいと思います。

居宅介護支援費は1.8%程度のプラス改定となり、特定事業所加算においても数単位ですがプラスとなりました。またICTの活用や事務員に配置による逓減制の緩和が実施されたほか、通院時の同行にも加算が創設されました。総じて、居宅介護支援事業所においてはマイナスが少なかった改定といえます。

言い換えるなら、コロナ禍で国の財政が圧迫されつつある中でも、21改定は介護業界や居宅介護支援にとって恵まれた結果となったのです。

それだけに、24年度の介護報酬改定では、介護業界も居宅介護支援も、かつてないほど厳しい結果を突き付けられる恐れがあります。過去に何度かあった「わずかなプラス改定」ですらも期待できそうにありません。

生き残りのカギは「LIFE活用」と「ケアマネジメントの質向上」

その中でも唯一、報酬を上乗せできる要素があるとするなら、「LIFEの活用」と「ケアマネジメントの質の向上」でしょう。

21改定では、通所介護や通所リハビリテーションなどにLIFEの活用を推し進めるための加算が創設されました。ただ、居宅介護支援事業所においては加算がなく、ケアマネの関心もあまり高くない印象があります。

そんな中、2021年9月27日の社会保障審議会介護保険給付費分科会では、訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究事業の実施が発表されました。

こうした調査研究事業が行われる以上、24改定では、居宅介護支援にもLIFE活用を求める何らかの仕組みが設けられると考えるべきでしょう。

また、これまでケアマネの研修体系や教育体系は何度となく見直されてきましたが、それでも社会保障審議会の議論では、「ケアマネジメントの質が低い」「ケアマネジメントの質にばらつきがある」「個人の能力に依存し過ぎている」「そもそもケアマネジャーは必要なのか?」といった声が上がり続けています。

2021年6月23日に発出された介護保険最新情報vol992で、「適切なケアマネジメント手法」の「手引き」が示されたのは、こうした意見を踏まえた取り組みです。

まとめると、厳しい結果が突き付けられることがほぼ確実な24改定を乗り切るには、「LIFEのデータやICTの積極活用」と、「『手引き』を活用したケマネジメントの質の向上や、日々のルーティン業務・業務管理方法の見直し」が必須といえます。

次回は特定事業所加算について述べたいと思います。

田中紘太
株式会社マロー・サウンズ・カンパニー代表取締役、主任介護支援専門員。併設サービスを持たない居宅介護支援事業所「ダイバーシティ」を5事業所運営。在籍するケアマネジャーは35人。また、ケアマネ研修動画サイト「DiversiTV」も運営している。

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