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弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」

ケアマネの本来の業務範囲を確認する

こんにちは、介護弁護士の外岡です。私は介護・福祉の現場で起きるトラブル解決を専門としております。立場上、ときには裁判で争わざるを得ないこともありますが、できるだけ当事者間の話合いで、お互いに分かり合い平和的に解決することを目指し、日々活動しています。

解決が難しい…在宅ケアマネからの相談

これまで、弁護士として高齢者の転倒事故や誤嚥窒息事件、利用者・家族からのハラスメント、虐待、後見制度にまつわる問題など、さまざまな案件に対応してきました。

その中でもケアマネジャー、特に在宅ケアマネ(いわゆる「居宅」)から寄せられる相談は解決が難しいという特徴があります。

私自身、その難しさを実感したのは、認知症者の離設・行方不明事件を担当したときでした。それまでも「独居高齢者の多い地域では、自然と担当ケアマネが家族の役割を担うようになり、本来の業務ではない仕事が際限なく増えてしまう」ということは聞いていましたが、せいぜい「病院搬送への付き添いや入院同意書にサインを求められる程度かな」などと思っていました。

ところが、認知症者の離設・行方不明事件を担当したとき、あるケアマネから、こんな言葉を聞きました。

「この辺では、認知症利用者が行方不明になったりすると警察やお店からケアマネに電話がかかってくる。勤務時間外でも緊急事態なのでケアマネが探しに行かざるを得ない」

「遠くの親戚より近くのケアマネ」という現状がもたらす問題

正直、その実情に愕然としました。かつては「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がよく言われましたが、現代は「遠くの親戚より近くのケアマネ」であるようです。

考えてみれば、少子化高齢化に伴い核家族化が進み、「お一人様」が増えている以上、誰かが「家族」が担ってきた役割を肩代わりしなければ、高齢者が一人住み慣れた地域で暮らしていくことは不可能です。

ただ、それを在宅のケアマネが実質的に担っているという現実は、社会にとって望ましい状態でしょうか。利用者が住み慣れた地域で暮らし続けるという地域包括ケアシステムの理念を在宅ケアマネ一人ひとりの隠れた善意の奉仕がぎりぎり支えている現状は、健全な状態といえるでしょうか。

もちろん、利用者の権利擁護は介護福祉に従事する者にとって重要な責務であり、積極的に利用者の困りごとを解決していくべきという考え方自体は尊いものであるといえるでしょう。

しかし、ケアマネといえど人の子。スーパーマンのように関わる人全員を救済しなければならないというものではありません。確かにそれぞれの地域には、豊富な知識と経験を基に、生活保護の手続きから障害年金の申請まで何でもこなしてしまう人もいます。まさに、「一人包括」とでも称賛すべき、スーパーケアマネです。

ただ、そうしたスーパーケアマネを称賛するあまり、「何が本来のケアマネ業務であり、何をすべきでないか」を確認し忘れてはならないと思います。下手をすると、在宅のケアマネと包括にあらゆる問題が降り掛かり、つぶれてしまうケアマネも出てくるでしょう。現時点でも、居宅介護支援のケアマネや地域包括支援センターの職員(行政もそうかもしれませんが)の多くは、明らかにオーバーワークです。

次世代を担う人材が、そんな仕事に就きたいと思ってくれるでしょうか。ただでさえ、ケアマネを目指す人は減っているというのに…。

私が何よりも危惧しているのは、この点です。そこで一法律家として少しでも居宅の皆様の負担を減らすサポートしたい、という思いでこれから情報を発信させて頂きます。

「連絡調整」こそが、ケアマネの本当の役割

ではケアマネの本来の業務範囲はどう区切られるのでしょうか。法令には次のとおり定められています。

介護保険法第7条第5項
この法律において「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、…を利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、…等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして…介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。(一部省略)

キーワードは「連絡調整」です。ケアマネは自らが動いて利用者の問題を解決する職種ではなく、オーケストラの指揮者のように問題ごとにさまざまな関係機関を“指揮”し、利用者に繋げることが本来の役割なのです。

しかし、これだけでは手がかりになりません。ケースごとに解釈を交え、あるいは別の法律や考え方を駆使することで、頭を痛めていた問題もあっけなく解決する、ということも、しばしばあるのです。

次稿からは具体的な事例に基づき、法的な考え方や実践的な対処法をお伝えします。お楽しみに。

外岡潤
1980年札幌生れ。99年東京大学文科Ⅰ類入学、2005年に司法試験合格。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)後、ブレークモア法律事務所、城山総合法律事務所を経て、09年4月法律事務所おかげさまを設立。09年8月ホームヘルパー2級取得。09年10月視覚障害者移動介護従業者(視覚ガイドヘルパー)取得。セミナー・講演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することを得意とし、特に独自の経験と論理に基づいた介護トラブルの回避に関するセミナーには定評がある。主な著書は『介護トラブル相談必携』(民事法研究会)、『介護トラブル対処法~外岡流3つの掟~』(メディカ出版)、『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(レクシスネクシス・ジャパン)など

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