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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

プランデータ連携システムは現場に何をもたらす?

4月20日から、ケアプランデータ連携システム(以下、データ連携システム)が本稼働する。

これまでケアマネジャーは、毎月作成した提供票を紙に印刷して担当事業所に渡してきた。担当事業所は1カ月のサービスが終わった後、提供票に実績を記載して担当のケアマネジャーに紙で戻す。結果として月初めになると、ケアマネジャーの机の上に大量の提供票が積み上がる。

担当する利用者が30人いるとして、それぞれに3つの事業所のサービスを位置付けている場合、90枚の提供票が戻ってくる計算だ。100枚近い提供票を給付管理ソフトに手入力するだけでも2〜3日はかかる。

データ連携システムを使うと、パソコンで作成した提供票の電子データをそのまま担当事業所に伝送できるようになる。担当事業所も提供実績を電子データで戻してくれるので、ケアマネジャーは、届いた電子データを給付管理ソフトに落とし込むだけで作業が終わる上、入力ミスによる返戻リスクもなくなる。

データ連携システムが導入されることで、これまで3日程度かかっていた提供票の入力作業が1日もかからなくなり、業務は圧倒的に簡素化される。

給付管理ソフト乗り換えという選択も必要

1事業所あたり年間2万1千円の利用料が発生することを問題視する声も多い。これは法人単位ではなく、事業者番号ごとに徴収されるので、事業の拡大策をとる法人にとっては負担増となるだろう。当面は補助金の支給もあるようだ。

このシステムによって、ケアマネジャーの手間が圧倒的に減ることは間違いないが、一方だけが導入していても意味がない。担当事業所と導入についてディスカッションを行い、事前に意思統一を図ることも重要だ。

データ連携システムの導入にあたって想定される問題として、給付管理ソフトの対応状況がある。

LIFE(科学的介護情報システム)における介護記録ソフトの対応状況を見ても、給付管理ソフトのベンダーによって処理能力にばらつきが生じることが想定される。必ずしも業務の効率化に寄与しないケースも出てくるだろう。

将来を見据えた場合、費用対効果も考えながら、場合によっては給付管理ソフトの乗り換えという選択も必要になってくる。どのソフトを使用すべきか、よく見極める必要がある。

また、担当事業所側の問題も想定される。いまだにインターネットを介した伝送請求ではなく、CD-Rなどの電子媒体で国保連に介護給付費を請求する事業所も存在する。中にはフロッピーディスクを提出する事業所もあるようだ。こうした旧態依然とした事業所がデータ連携システムを導入することは難しいだろう。

「コンピューターは苦手」と言える時代は終わった

ただ、同様の問題は、高齢化が進むケアマネジャーにも起こり得ることだ。

公益財団法人介護労働安定センターの「令和3年度介護労働実態調査」の「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」において、居宅介護支援の平均年齢は53.4 歳で最も高い。他のサービスを見ると、訪問系が48.6歳、居住系が47.8歳、施設系(通所型)が46.3歳、施設系(入所型)が44.4 歳となっている。

全サービス中、圧倒的に平均年齢が高い居宅介護支援事業所が、提供票のICT化に対応できるかを懸念する声も多い。ICT化による業務の効率化も必要だが、ケアマネジャーという職種の魅力度を上げ、なり手を増やしていくことも重要な課題といえる。

繰り返しになるが、データ連携システムを導入することで、ケアマネジャーの業務効率が圧倒的に改善されることは間違いない。3日間の入力作業が1日になれば、浮いた時間をケアマネジメントの質の向上に充てることができる。結果として利用者に還元されるのだ。

さらに、逓減制の特例措置を活用して、担当件数を44件まで引き上げることも現実的となる。そうなれば事業所の収益も向上し、ケアマネジャーの処遇改善にもつながるだろう。

これらを勘案すると、データ連携システムの普及は時間の問題だろう。もはや、「コンピューターは苦手」などと言っている時代は終わりを告げた。ICT化を進めない理由を考えるのではなく、いかに進めるかを考えるのが経営者の責務といえる。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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