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24改正・改定へ、岸田首相は介護をどうしたいのか―直近の発言から読み解く

ケアマネジャーをはじめとした介護関係者にとって、今年、注目すべきことは2024年度の介護報酬改定に向けた議論の行方だ。だが、それだけではない。22年に行われた制度改正の議論うち、「給付と負担」に関する議論が継続審議となっていることも忘れてはならない。そこで今回は、岸田文雄首相の直近の発言から、24年度に予定される制度改正(24改正)や報酬改定(24改定)の行方を予測してみたい。

国会での発言に込められた「2割負担層の拡大」への思い

まず注目したいのは22年10月18日の衆議院・予算委員会での発言だ。この時、岸田首相は次のように発言した。

「能力のある方に負担して頂く。これをどこで線を引いて、どこまで負担をお願いするのか。こうした観点に基づいて、今の現状の中で判断をしていく。こうした考え方は当然大事ではないか」

この発言は、ズバリ「2割負担層の拡大」を念頭においたものだ。

もっとも読者の中には、「昨今の内閣支持率の低迷を思うと、そんな施策は導入できないのでは?」と首をひねる方もいるだろう。

確かに、内閣支持率は低迷しており、国民に痛みを強いる施策を導入できる環境にはない。

ただ、「2割負担層の拡大」とは、言い換えれば「比較的裕福な高齢者のうち、一部の人の負担を重くする」施策である。収入が低い高齢者や、既に2割・3割の負担をしている高齢者には、あまり関係はない。そして現役世代の中には、その拡大を歓迎する人も少なくない。

岸田首相は、こうした状況を見切って「2割負担層の拡大」を推し進めようとしているのではないか。さらに言えば、継続審議となったこと自体、「なんとしても2割負担層の拡大は実現したい」という、首相の意志の現れと思える。導入すべきかどうか迷っているのであれば、「ケアプラン有料化」などと同様、結論を先送りすればよいのだから。

さらなる介護職員の処遇改善は実現するはずだが‥‥

次に注目したいのは、22年8月10日の第2次岸田改造内閣発足のタイミングでの発言だ。この時、加藤勝信厚労大臣は記者会見の席上で、首相から国の重点施策を前に進めていくよう指示を受けたと言及。その中に「保育・介護などの現場で働く人の処遇改善」も含まれていたと説明した。

この発言から推測できるのは、「24改定において、介護職員へのさらなる処遇改善は必至」ということだろう。

さらなる介護職員の処遇改善が実現すること自体は好ましいことだ。だが、その影響で介護報酬全体の引き上げは期待できそうにない。24改定が診療報酬改定との同時改定であることも思い合せれば、そう考えざるを得ないのだ。

大胆予測!24改定は「0.3%プラス」

過去の実績を思うと、介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を上回ることは、ほぼ考えられない。そして昨今の診療報酬改定本体の引き上げが、0.4~0.5%にとどまっていることを思えば、24改定で介護報酬の改定率は、「0.5%のプラス」が上限となるのではないか。一方、介護職員の処遇改善を実現するには、少なくとも0.3%の引き上げが必要だ。

これらの状況と昨今の財政状況から、私は24改定の結果を「おそらくは0.3%プラス、良くて0.5%プラス」と予測する。さらにいえば、介護職員の処遇改善分(0.3%プラス)を除いた「本体部分」の引き上げ率は「0%から0.2%」と考えている。

どうなる、居宅介護支援費-注目は「介護予防支援」

当然ながら、居宅介護支援費の大幅な引き上げは想定しにくい。

24改正以降、居宅介護支援事業所が要支援1や要支援2の人を直接担当できるようになることを思えば、介護予防支援費は引き上げられるかもしれない。それでも「本体部分」の引き上げがあまり期待できない以上、介護予防支援費の単位増も、微々たるものにとどまるはずだ。

ただし、「要介護1~5の居宅介護支援費を引き下げ、その分だけ要支援1・2を引き上げる」という“荒業”が導入される可能性はある。仮にこの対応が実現すれば、要支援者を担当する居宅介護支援事業所は増加し、地域包括支援センターの負担は軽減されるだろう。

だが、この“荒業”は、現場への影響が大きすぎる。下手に導入すれば、在宅の中重度者の中で担当ケアマネを見つけられない「介護難民」が続出するかもしれない。おそらく実現することはないだろう。

岸田首相は「介護」に関心がない!

最後に、岸田首相の介護施策に対する姿勢について、少し言及したい。

私は、岸田首相は介護施策に対する関心が低く、現場を変革しようという意識もないと感じている。少なくとも、安倍政権や菅政権と同じだけの「介護に対する熱量」は感じられない。

例えば、肝いりで始まった「全世代型社会保障構築会議」では介護保険についてはあまり論議されず、少子化対策に重点が置かれた。また22年の「骨太方針」でも、介護関連施策は、あまり盛り込まれなかった。こうした経緯を鑑みれば、どうしても、そう断じざるを得ないのだ。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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