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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

ケアプランデータ連携システムを読み解く

厚生労働省は先月、来年度(令和5年度)から「ケアプランデータ連携システム」の運用をスタートさせることを明らかにし、同システムの概要を説明するパンフレットも併せて公開した。

データ連携は従来のシステムでも可能だったが、居宅介護支援事業所がそれに対応していても、担当事業所のデジタル化が進んでいない場合は利用できないという根本的な問題があった。

さらに、たとえ双方が介護ソフトを導入していても、ベンダーが異なる場合は、仕様の違いからデータのやり取りができなかった。この仕様の問題を解消するため、厚労省は「標準仕様」を開発。「ケアプランデータ連携システム」の運用も、この「標準仕様」に基づいて行われる。

報酬返還となる担当事業所も

現在、居宅介護支援事業所と担当事業所は、ケアプランの控えや提供票などのやり取りを主に紙ベースで行っている。ケアマネジャーが多忙な中、ケアプランの控えの提供が遅れたり、提供そのものができなかったりするといった問題も発生している。行政の運営指導などで、ケアプランの控えが存在しないことが問題となり、介護報酬の返還指導に至るケースも少なくないのだ。

居宅サービス事業所が個別サービス計画を作成する際、ケアプランに基づいて行うことが義務となっている。ケアプランの控えが保存されていないと、行政側は、ケアプランの内容に沿っていない個別サービス計画とみなし、運営指導の際、本プランとして認めないこともある。

介護保険サービスは、計画(ケアプラン)に基づいて行われることが大原則だ。本プランとして認められない場合、サービス提供の前提そのものが崩れるため、行政側は、ケアプランの控えが存在しない期間中の介護報酬の返還を求めてくる。

今回の「ケアプランデータ連携システム」を活用することで、こうしたケースが減ることが期待される。ただし、運用開始時にやり取りできるのは、第1表と第2表のデータに限られているようだ。

提供票の効率運用にも期待

紙の提供票のやり取りをする場合、担当事業所はサービス提供月の終了後、利用者名などをマジックなどで塗りつぶしてから、ファクスで担当ケアマネジャーに提出することも多い。誤送信などで利用者の個人情報を流失することを防ぐためだが、この点についても、「ケアプランデータ連携システム」によって効率的な運用に変わることが期待される。

もちろん、「ケアプランデータ連携システム」を利用したとしても、誤送信やウイルス感染、サーバーの乗っ取りなどで利用者の個人情報が外部に流出するリスクはある。

この点について厚労省は、介護給付などのデータを国保連合会(国民健康保険中央会)に提出する際、事業所が利用する電子証明書で対応できるとしている。さらに、送信時にデータを暗号化し、受信する事業所側で復元することで、利用者の個人情報を保護できるという。

年80万円の経費節減も!?

厚労省は、「ケアプランデータ連携システム」の導入によって、事業所の運用コストを年間81万6千円削減できるとしている。

これは、紙のケアプランを送る際にかかっているさまざまなコスト、すなわち人件費、印刷費、郵送費、交通費、通信費(ファクス)を全て含む金額だ。さらに同省は、コスト削減による相乗効果として、介護人材の確保や定着率の向上、事業所環境の維持費・改善費への割当額の増加も見込んでいる。

【出典:介護保険最新情報Vol.1096】

人件費の試算は、提供票のやり取りをオートメーション化することで、介護給付管理ソフトの手入力の手間や担当事業所に持参する際の移動時間が無くなることなどが根拠となっている。先述したパンフレットでは、人件費を考慮しない場合、年間7万2千円の経費節減につながるとしている。

ベンダーの対応のばらつきを懸念

今後想定される問題は、介護給付管理ソフトを開発するベンダー側の対応だ。

LIFE(科学的介護情報システム)における介護記録ソフトの状況を見ても、ベンダーによって対応が分かれることが想定される。必ずしも業務の効率化に寄与しないケースも出てくるだろう。

居宅サービスの場合はさらに問題が根深い。インターネット経由の伝送請求ではなく、いまだにCD-Rやフロッピーディスクで、国保連合会に請求書を提出する事業所が存在するほどだ。

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、居宅介護支援事業所においても、LIFEの活用が必須となる公算が大きい。こうした中での「ケアプランデータ連携システム」の運用開始である。

令和3年度の介護報酬改定に伴い、ICT化などで業務負担の軽減に取り組む事業所については、居宅介護支援費の逓減制の適用件数が39件から44件に緩和された。

否応もなく、居宅介護支援事業所にもICT化の波が到来しているが、ここで問題となるのは、事業所で働くケアマネジャーの平均年齢の上昇だ。ケアマネジャーが高齢化している中、どこまでICT化に対応できるのか。岸田総理の肝いりで実現へと向かう「ケアプランデータ連携システム」の運用開始まで、残り半年を切った。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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