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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

次の制度改正における5つの注目点

参院選と内閣改造の影響で止まっていた2024年度(令和6年度)介護保険法改正に向けた審議が、8月25日の介護保険部会から本格化している。部会は今後、月に数回の審議を経て、12月に意見書を取りまとめる。これを受け、政府は来年の通常国会に改正法案を提出、5〜6月には改正法が成立する見込みとなっている。

この原稿を書いている9月20日現在、部会で示されているテーマは、大きく分けて4つある。

  • 地域包括ケアシステムの更なる深化・推進
  • 介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進
  • 給付と負担
  • その他の課題

このうち「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」の論点については、一巡目の審議が終了している。これまでの論点における5つの注目ポイントを以下にまとめておく。

  • (1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているようなサービスの位置づけについて
  • (2)特別養護老人ホームの入所基準の在り方について
  • (3)適切なケアマネジメント手法の実効性の担保や業務負担軽減等の方策を含めた方策
  • ※以上、8月25日審議分
  • (4)市町村の各地域における総合事業の在り方の検討
  • (5)新型コロナウイルス感染症で通いの場の活動が自粛されていた状況から、活動再開や参加率向上を推進する方策
  • ※以上、9月12日審議分

統合も視野 機能類似のサービス

介護保険制度が2000年にスタートしてから、新たなサービスの創設が続いたが、2012年の定期巡回随時対応型訪問介護看護を最後に、新たな介護サービスの新規導入は途絶えている。2018年に介護医療院が創設されてはいるが、これは介護療養型医療施設の後継の意味合いが強い。

介護保険部会では、既存の介護サービスの見直し、すなわち統合を視野に入れた議論が始まっている。具体的な中身はまだ見えないが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護、療養通所介護、看護小規模多機能型居宅介護などが、今後の検討対象となる可能性がある。

2021年度の介護報酬改定に伴い、療養通所介護は月額包括報酬へ移行している。次の制度改正で導入されなくとも、近い将来、実現する可能性もある。審議会の議論の行方を見守りたい。

特養の入所基準見直しも論点に

特別養護老人ホームの待機者の数は、2014年時点では50万人を超えていたが、国の2019年の調査では29万人と大きく減少。地域によっては、人材不足などを要因として、空床が発生して経営が悪化している施設も見受けられる。これは、2015年から特別養護老人ホームの入所要件が要介護3以上となったことも背景にある。

そもそも入所要件の見直しは、待機者が50万人を超える状況下において、重度者に優先的に入居していただくことが目的であった。しかし、待機者の数が大きく減少し、経営状況が悪化する施設も出ている現状を踏まえ、入所要件を再び要介護1以上に戻すことが論点として浮上している。

仮にこれが実現し、別の論点である介護老人保健施設の多床室料の自己負担化も併せて行われた場合、長期滞在型の介護老人保健施設の経営を直撃するだけでなく、有料老人ホームなどの経営にも影響が出ることが予想できる。

どうなる?ケアマネの負担軽減策

ケアマネジャーの業務負担軽減策も論点の一つだ。注目したいのが、「ケアプランデータ連携システム」である。

このシステムは、現在は紙ベースかつ対面を基本とするケアプランや提供票のやり取りを、コンピューターのアプリケーションを通して行うためのもので、2023年度(令和5年度)から本格的に稼働する予定となっている。

懸念される個人情報漏洩などのセキュリティーのリスクについては、国保連合会への介護報酬請求時に利用する電子証明書を活用することで対応する。

このシステムを利用するためには、居宅介護支援事業所と担当サービス事業所の双方が申請を行うとともに、データの統一規格となる「ケアプラン標準仕様」に準拠した介護ソフトを使用する必要がある。

厚生労働省の試算では、人件費、印刷費、通信費、交通費など、年間81万6000円のコスト削減も期待できるとしているが、導入コストや利用料など未確定の部分も多く、普及までには紆余曲折も考えられる。

“ケアプラン有料化”は定額制?

居宅介護支援事業所における自己負担の導入も大きな論点の一つとなっている。

この点については、自民党が先の参院選の総合政策集「J-ファイル」において、自己負担化は行わない旨を明記している。

しかし、全国老人福祉施設協議会(老施協)は8月5日に出した「介護保険制度等の見直しに関する介護現場の要望について」において、「仮に自己負担を導入する場合は、加算の有無で費用に差が出ることがないよう1割負担ではなく定額制とすることも考えられる」と、あたかも自己負担導入に賛成と受け取られる文章を記載して批判を受け、同19日には該当部分を削除する訂正が行われた。

いずれにせよ、年末の取りまとめまでは、余談を許さない状況が続いている。仮に、何らかの形で自己負担が実現した場合、毎月の請求書の発行と集金業務が増えることで、居宅介護支援事業所の業務負担は確実に大きくなる。

もし1割負担だとすると、特定事業所加算を算定する事業所が不利になり、事業規模の拡大策を進める国の方向性にも逆行する。老施協の“提案”通りに定額制となり、3年間は500円、4年目以降は千円と、負担に段階を設けるのではないかと筆者はみているが、介護保険部会の結論はいかがであろうか。

訪問・デイの軽度者移行も再浮上

訪問介護と通所介護の軽度者(要介護1・2)の総合事業への移行も大きな論点として浮上している。

予防訪問介護と予防通所介護は2018年から、総合事業の第一号事業へ移行された。その後、他の予防サービスを総合事業へ移行するという議論はなかったが、ここに来て、訪問介護と通所介護の軽度者にスポットが当たっている。

ただ、この論点が示されたのは今回が初めてではない。過去の介護保険法改正に向けても、同様の議論が行われてきた。では、なぜ実現していないのか。それは、受け皿となる総合事業の整備を先行すべきとする意見が根強いことにある。

特に、「サービスB」(住民主体のサービス)を整備する自治体は、現状では2割にも満たない。この状況下で、全国一律で軽度者を総合事業へ移行しても効果は薄く、「介護難民」が発生するだけだというのが、これまで実現していない大きな理由である。

このため、2021年度(令和3年度)介護保険法改正では、利用者本人が希望し、自治体がそれを認めた場合、要介護認定者も第一号事業を利用できるようになった。さらに、通いの場の整備を強化し、そのためのボランテイアの獲得方法として、国の基金を使ったポイント制も導入されるなど、軽度者の移行に向けた布石が打たれた。

しかし、コロナ禍が発生した影響で、通いの場の運営そのものが立ち行かなくなった。新型コロナの感染者の波が訪れるたびに、大多数の通いの場が休業を余儀なくされ、期待された通いの場の新設も進んでいない。このため、次の介護保険法改正に向けた審議においても、通いの場の推進策が再び論点となっている。

このことから、筆者は2024年度(令和6年度)の介護保険法改正で、軽度者が総合事業へ移行される可能性は低いと考えているが、5~10年先という中長期で考えた場合、決して可能性が低いとはいえない。いや、近い将来移行されるという危機感の下で、介護事業計画を組むべきだ。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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