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ケアマネジメント新時代の幕開けケアマネジメント新時代の幕開け

ケアマネジメント新時代の幕開け

包括や主マネの創設、研修義務化…大改革が意味するもの

前回は制度改正を中心に、2006年の大改革を振り返りました。今回は、介護報酬改定に焦点を当てたいと思います。

毎回、たくさんの資料を周りに広げて原稿を書いていると、懐かし場面が浮かんできます。その当時、現場は大騒ぎだったのですが、今になって考えると、改革の1つ1つが、現在の制度の基盤となっており、今更ながら感激しています。

では、2006年の介護報酬改定で押さえたいことを順番に見ていきましょう。まず、介護報酬改定施行に向けた介護給付費分科会の開催状況を振り返りたいと思います。下の図をご覧ください。

図表1:岡島作成
図表1:岡島作成

注目していただきたいのが、介護給付費分科会の下に「介護予防ワーキングチーム」が設置されている点です。
※前回の介護保険部会の開催の状況の続きです。「介護保険法等の一部を改正する法律」を受けて介護給付費分科会が頻繁に開催されています。

2006年の制度改革(制度改正・介護報酬改定)は、前年10月に施設給付の見直しが行われたため、通常の流れとは少し異なっています。下記の図表をご覧ください。改定率も確認できます。

図表2:厚労省「第198回介護給付費分科会」の配布資料より抜粋(赤枠は岡島)
図表2:厚労省「第198回介護給付費分科会」の配布資料より抜粋(赤枠は岡島)

06年改定のポイントとは?

それでは、2006年の介護報酬改定のポイントを見ていきましょう。

高齢者の「尊厳の保持」と「自立支援」という介護保険の基本理念を踏まえ、以下の基本的な視点に基づいて、各サービスの報酬・基準が見直されています。

  • 中重度者への支援強化
    ※さらに、難病やがん末期の患者の在宅介護ニーズへの対応など専門的ケアの充実を図る
  • 介護予防、リハビリテーションの推進
  • 地域包括ケア、認知症ケアの確立
  • サービスの質の向上
    ※ケアマネジメントの仕組みが公正中立に機能し得るよう、プロセス重視の視点に立った見直しを行う
  • 医療と介護の機能分担・連携の明確化

居宅介護支援とケアマネジャーに関する見直しも再確認しましょう。

  • 介護支援専門員の資格の更新制・研修の義務化
  • 主任介護支援専門員の創設
  • 標準担当数件数の引き下げと逓減制の導入
  • 地域包括支援センターの創設と包括による予防ケアマネジメント
  • 居宅介護支援の報酬体系の見直し
  • 評価による「加算・減算」の創設

などなど、ケアマネジメントとケアマネジャーに対する見直しは盛り沢山でした。

図表3:厚労省「平成18年度介護報酬等の改定について-概要ー」を基に岡島作成
図表3:厚労省「平成18年度介護報酬等の改定について-概要ー」を基に岡島作成
図表4:厚労省「平成18年度介護報酬等の改定について-概要ー」を基に岡島作成
図表4:厚労省「平成18年度介護報酬等の改定について-概要ー」を基に岡島作成

図表3を見ると、居宅介護支援費の中に「経過的要介護居宅介護支援費(IV)」があることに気が付かれたと思います。これへの対応は、利用者への説明も少々難しく、現場は大変だったと記憶していますので、詳しく説明します。

「経過的要介護」とは?

前回も、新予防給付の対象者について記載しましたが、改正前に要介護1と認定されていた人のうち、介護予防の効果が出にくい人はそのまま要介護1にとどまり、介護予防の効果が見込まれると判断された人は要支援1・2へと振り分けることになりました。

この結果、要介護から要支援に「認定変更」となった人は、支給限度額が減るとともに、サービス内容も変わりました。この変更に伴う経過措置として導入された区分が、「経過的要介護」です。

この区分に該当する人は法改正後も、認定の有効期限までは介護給付の対象となり、従来のサービスを受けることができると定められました。この時期の一時的な経過措置です。

もう1つ大きな変化として、要支援と要介護1の人に対する福祉用具貸与の見直しがあります。利用者への影響もあり、ケアマネジャーが説明などに苦慮しました。(もちろん、例外規定があり、貸与中の利用者には、4~6ヵ月間の経過措置もありました)

軽度者への福祉用具貸与の見直しは、今まで使っていたサービスが使えなくなる利用者が出ることもあり、私たちは丁寧な説明を心掛けました。

大改革でケアマネは何を考えた?

2006年4月の制度改正と報酬改定に当たり、ケアマネジャーの現場の様子はどのようなものだったのでしょうか。先述の通り、見直しは多岐にわたっていましたので、さまざまな意見が飛び交いました。下記をご覧ください。

地域包括支援センターの創設と新予防給付
  • 担当する要介護1の利用者の中から、包括が担当になる人も出る
  • 居宅介護支援事業所のケアマネジャーのケアプランの数が減ることへの不安
  • 要介護1が「要介護1」と「要支援2」に分かれることへの不安
  • 要介護1の利用者への説明がかなり難しい
  • 「経過的要介護」状態が出ることへの不安
  • 報酬請求(経過的要介護居宅介護支援費)が煩雑
地域包括支援センターからの予防プランの委託
  • 包括から委託があったとしても、新たな様式での作成に時間を取られることの業務負担や戸惑い
  • 地域包括支援センターから予防プランの委託を受けるかどうか悩む事業所も多かった
  • 自立支援、重度化防止に対して、それなりに頑張って取り組み、介護保険制度の周知活動もしてきたので、改善につながらないとの評価に、少々がっかりしたケアマネも多かった
介護支援専門員の資格の更新制
  • 専門職はたくさんあるのに、「なぜケアマネジャーだけが必要なのか」と首をかしげる
  • 対人援助職としての資質の向上のためとわかってはいるけれど、ちょっと愚痴を言いたい
標準担当数件数の引下げと逓減制の導入
  • 事業所の運営に影響があるので、皆、真剣に理解しようと一生懸命でした
  • 制限が多くて大変だが、質の向上につながることなので頑張ろう
研修の義務化
  • 大変だと言う人もいたが、喜んだ人の方が多いようだった
  • 具体的な疑問や意見も多かった(「受講費はどれぐらいかかる?誰が負担する?」「研修日は勤務扱い?それとも、休暇を取る?」「期間内に受講できない場合はどうなるの?」などなど)
  • 「学べることは嬉しいけれども、具体的にはどうするのだろう?」との戸惑いもあった
特定事業所加算の創設

これで事業所が赤字から脱却できそうと期待が湧いたのは事実だが、加算は取れるのだろうか?主任ケアマネやケアマネの人数の確保は大丈夫か?

特定事業所集中減算

1つの事例が原因で、全数が減算になるので、事業所や他のケアマネに迷惑をかけたくない。自分の力量への不安

地域密着型サービスや通所系サービスの新たな加算(栄養マネジメント加算、口腔機能向上加算など)の創設
  • 新たなサービスや加算が数多く創設され、理解して活用するのに注意が必要だった
自立支援、重度化防止の再確認
  • これは私たちの目標でもあり、いつも心掛けているのに…

いかがでしたか?改革が多岐にわたり、現場のケアマネジャーの不安も大きかったことがわかります。

ケアマネジャーの不安や混乱の原因の1つとも考えられるのが、サービスコードの複雑化です。新たな加算・減算も多く、確認する項目数は1万3251項目と、制度開始当初(1760項目)の7.5倍にまで増えています。現場の大変さがわかると思います。

厳しい意見は「ケアマネへのエール」

当時の介護保険部会・介護給付費分科会の議論では、ケアマネジャーに対してかなり厳しい意見もあり、傍聴後にうなだれて帰途につくこともありました。でも回を重ねるうちに、私たちを育てるためのエールであることに気付いたのです。

ケアマネジャーの創設からまだ年数も浅く、当時の職能団体は、日本介護支援専門員協会の前身に当たる全国介護支援専門員連絡協議会でした。日本介護支援専門員協会が設立されたのは、介護給付費分科会の議論の最中の2005年(平成17年)11月のことです。

ケアマネジャーの代表として、介護保険部会と介護給付費分科会で委員を務めていた木村隆次氏の肩書(日本薬剤師会常務理事と全国介護支援専門員連絡協議会会長が併記)が、2005年12月を境に「全国介護支援専門員連絡協議会会長」から「日本介護支援専門員協会会長」に変わり、嬉しかったのを覚えています。

先程、現場で飛び交っていたケアマネジャーの声をご紹介しました。ポジティブとネガティブ両方の意見がありましたが、どちらも2006年4月におけるケアマネジャーの本音だと思います。

ただ、しばらくすると現場の混乱は収まり、ケアマネジャーは利用者に寄り添いながら、当初心配していた業務をきちんとこなすようになりました。未来に向かって歩む自分たちの姿が見えてきたのです。

対人援助の仕事に就く方の大半は、他者への思いやりがあり、誠実で努力家です。こんなことを書くと、自画自賛みたいでおかしいでしょうが、私はいつも仲間を信じ、仲間に支えられてここまで来ました。(もちろん、利用者・家族をはじめ、他の専門職、行政など多くの方の支えがあってのことでした)

包括ケアシステム構築のスタートだった

2006年は、地域包括支援センターだけでなく、在宅療養支援診療所も創設されました。医療と介護、そして福祉を地域で連携・協働させるための仕組みづくりが始まったのです。

今振り返ると、この年の制度改正と報酬改定は、住み慣れた地域で在宅療養を続ける、まさに地域包括ケアシステムの構築に向けたスタートでした。構想自体は以前からあったのでしょうけれども、現場で実践者として働くケアマネジャーの多くが仕組みづくりの中で実体験し、今につなげてきています。

地域包括ケアシステムの構築のことは、念頭には置いてはいました。でも当時は、やはり1つ1つの改革をバラバラに見て理解するのがやっとで、少し時間が経ってから、落ち着いて広い視野で見てみると、それぞれが横断的、包括的に絡み合って相乗効果を生み、地域包括ケアシステムの構築に向かって進んでいることがわかるようになりました。

「大変だ」と大騒ぎした新しいサービスの創設(地域密着型サービスや地域包括支援センター等々)や数多くの加算についても、1つ1つに意図があり、その上でつながり合って、自立支援や重度化防止、地域づくりへと向かっていることもわかりました。

そして長い年月が過ぎた今、当時の地域づくりのプロセスがはっきりと見え、「あれは国づくりだったのだ」と改めて感心し、当事者として現場で関われたことに感謝しています。

次回からは、地域包括ケアシステムの構築に向けた「国づくり、社会づくり、地域づくり」がどのように行われてきたのかを見ていきましょう。

岡島潤子
慶応義塾大学文学部卒業(社会学専攻)。1999年に介護支援専門員の資格を取得後、同年9月に株式会社やさしい手に入職。新宿区で居宅介護支援事業所の立ち上げなどに携わった後、2005年7月に同社初の居宅介護支援事業部を創設。現在は同社経営企画部の顧問として、総勢383人のケアマネジャーをスーパーバイズしている。厚労省をはじめとする国の委員会の委員のほか、日本ケアマネジメント学会の代議員や一般社団法人「東京ケアマネジャー実践塾」の理事長など、ケアマネの関連団体で多数の要職を務めている。主任介護支援専門員、社会福祉士。

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