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ケアマネジメント新時代の幕開けケアマネジメント新時代の幕開け

ケアマネジメント新時代の幕開け

今と似ている? 06年度改正は未来に向けた大改革だった

今回から数回に分けて、過去の介護保険制度を改正・改定ごとに振り返るとともに、それを現在につなげ、皆様と一緒に学びを深めたいと思います。その学びは、介護保険制度に対する私たちの理解度や考え方、視点、力量の向上につながるのかなと考えています。

その前に、皆様に質問です。あなたがケアマネジャーになってから(ケアマネジャーでない方は、介護保険に関わってから)、どの改正・改定が一番大変だった、あるいは大改革だったと思いますか?

過去の改正・改定の主なポイントが頭に浮かばないと、すぐには答えられないかもしれませんね。改正・改定のたびに、少なからずぼやきが出て、その時は大騒ぎしたはずなのに…。「のど元過ぎれば」ですね。

私は、2006年(平成18年)と昨年(令和3年)だと思います。どちらも、「新たな時代の幕開け!」と呼べる大改革でした。

2006年は、「介護予防重視型システムへの転換」「地域重視型システムへの転換」という介護保険の基本理念への“再挑戦”、また昨年は、未来を見据えた「科学的介護~新たなテクノロジー・DXの取り組み~」「常とは異なることへの挑戦~感染症や災害への平時からの備えと上手な付き合い方を探る~」が主要なテーマだったと思います。そして、どちらも「自立支援・重度化防止」が大きな課題です。

新予防給付と地域支援事業が創設

さて、前置きが長くなりましたが、今回と次回は、2006年の改正・改定を振り返りたいと思います。

介護保険制度が始まって数年が経ち、私も周囲のケアマネジャーも業務に慣れてきた頃です。利用者さんも徐々にですが、制度やケアマネジャーについて理解してくださるようになり、認定を受ける方も増えてきました。介護保険制度が周知され始めたのです。

その一方で、制度上の課題も見えてきました。制度創設時(2000年4月末時点)に218万人だった要介護・要支援認定者の数は、2005年4月末に411万人とほぼ倍増し、このうち「要支援・要介護1」は約2.4倍と大幅に増え、認定者全体の約半数を占めるまでになっていました。

軽度の方に自立支援や状態の維持・改善を目標とし、現場はそれなりに一生懸命取り組んでいましたが、介護サービスを利用することが必ずしも状態の改善や悪化防止につながっていないとの指摘もありました。

調査や検証に基づく討議が行われた結果、2005(平成17)年6月に成立した介護保険法の改正法において、新予防給付サービスや地域支援事業が創設されました。軽度の方への介護サービスがより効果的なものに見直されるとともに、要介護・要支援状態になるおそれのある“予備軍”の方を対象とした介護予防事業も導入されることになりました。

2006年の介護保険制度改革の概要は次の通りです。当時、現場で働いていた方ですと、この厚生労働省のスライドを度々ご覧になったことがあるかと思います。

厚労省の資料をもとに岡島作成
厚労省の資料をもとに岡島作成

新予防給付サービスの創設により、状態の維持・改善の可能性が高い軽度者に対する給付の内容や提供方法が見直されました。

新予防給付の対象者については、下記の図表をご覧ください。

厚労省の資料をもとに岡島作成
厚労省の資料をもとに岡島作成

要支援・要介護度の区分が変わり、要支援は「要支援1」、要介護1は「要支援2」と「要介護1」に分かれました。介護予防ケアマネジメントについては、新たに設置された地域包括支援センターが担うこととなり、通所系サービスでは、運動器の機能向上や栄養状態の改善、口腔機能の向上などが、介護予防の新たなメニューとして位置付けられました。

地域支援事業では、より早期の段階からの介護予防を推進するため、要支援・要介護状態になる可能性の高い方を「特定高齢者」と位置づけ、その方々を対象とした介護予防事業が行われることになりました。

介護保険の基本理念である「自立支援」を徹底する観点から、予防給付の対象者やサービスの内容、ケアマネジメントのあり方が見直され、「新たな予防給付」に再編されたわけです。今振り返ってみると、制度創設当初から、5年後の見直しを視野に入れていたのかなと思いますが、当時は、新たな取り組みに対して理解し追いつくことがやっとでした。

大改革に向け、ケアマネ研修にも熱気

「介護予防重視型システムへの転換」と「地域重視型システムへの転換」という大改革に向けた動きが本格化した2005年の7月、私は、法人内に新設された居宅介護支援事業部の責任者に就任する一方、東京都介護支援専門員研究協議会の副理事長も務めていました。

当時の資料を保管したファイルが今、私の横にあります。最近は、PDFファイルでパソコンに保存したり、クラウドに上げて保存・情報共有したりすることがほとんどですが、当時は紙でも保管していました。大改革が近づくに連れ、分厚いファイルが積み重なっていったのを覚えています。

ファイルを開くと、厚生労働省が設置した「新予防給付アセスメント・ケアプラン等研究会」で、全国統一の「新予防給付暫定版アセスメントシート・暫定版ケアプランシート」が検討されている最中、ケアマネジャー自身も積極的に動いていたことがわかります。

例えば、2005年7~8月に東京と大阪で開かれた「ケアマネジメント・質の向上全国研修会」(日本介護支援専門員協会の前身に当たる「全国介護支援専門員連絡協議会」の主催)には、それぞれ1千人のケアマネジャーが出席しました。

東京の会場は、JR有楽町駅前にある読売会館の7階でした。私も参加していましたが、本当に熱気がすごかったです。果たして今、1つの研修にこれだけの人が集まるでしょうか。介護保険制度の大きな見直しを迎えるに当たり、いかに多くのケアマネジャーが熱く語り、学んでいたのかがよくわかります。

また、同年11月28、29日には、「平成17年新予防給付ケアマネジメント指導者研修」も開かれました。県・市別に受講申込定員が割り当てられ、全国から計400人が東京に集まりました。このうち、都内から参加した受講者は13人でした。

当時、私たちケアマネジャーは、現状の理解と情報の収集に懸命に取り組みました。厚生労働省の「社会保障審議会介護保険部会」と「社会保障審議会給付費分科会」を傍聴し、配布される資料から必死に情報を集めたのです。

包括創設に向け、事業委託の募集も開始

地域包括支援センターの創設が決まり、2005年の夏頃から、自治体から事業を受託する法人の募集が始まりました。在宅介護支援センターを受託している法人が、そのまま事業を引き継いだケースも多かったようです。

私の所属する法人は、東京都3カ所、埼玉県1カ所で応募し、いずれも受託できました。私は事業部の責任者として、自治体の説明会への参加から、審査のため資料作成、人員の確保などに一生懸命取り組みました。徹夜に次ぐ徹夜ではありましたが、ちょうど事業部を創設した時期で、地域から信頼を得るためにやりたいことがたくさんあったので、楽しいことでもありました。

介護保険部会は20回開かれた

ここからは、2006年(平成18年)の制度改正までの流れを見ていきましょう。介護保険法の改正法案は、前年2月8日の第162回通常国会に提出され、同年6月22日に可決、成立。そして同年6月29日に、「介護保険法等の一部を改正する法律」として公布されました。

連載初回でもお伝えしましたが、「介護保険部会」の初会合は、2003年5月27日に開かれました。介護保険法の改正に向け、2004年12月10日までに20回の会合を重ね、その中で、介護保険制度の見直しに向けた意見と、「被保険者・受給者の範囲」の拡大に関する意見を取りまとめています。下記は、私が作成した開催の流れの図です。大きな改革に向けた国の動きがよくわかると思います。

厚労省の資料をもとに岡島作成
厚労省の資料をもとに岡島作成

次回は、2006年の介護報酬改定のポイントと、当時の現場の状況を振り返ります。

さて、現在の状況ですが、2年後の診療報酬との同時改定に向け、3月から「介護保険部会」で議論が始まりました。2006年も同時改定だったので、皆様には、当時の現場の大変さがよく見えたと思います。「新たな時代の幕開け」となる2006年の大改革をどう乗り切ったのかを記し、これからやって来る同時改定に生かしていただければ幸いと思います。

岡島潤子
慶応義塾大学文学部卒業(社会学専攻)。1999年に介護支援専門員の資格を取得後、同年9月に株式会社やさしい手に入職。新宿区で居宅介護支援事業所の立ち上げなどに携わった後、2005年7月に同社初の居宅介護支援事業部を創設。現在は同社経営企画部の顧問として、総勢383人のケアマネジャーをスーパーバイズしている。厚労省をはじめとする国の委員会の委員のほか、日本ケアマネジメント学会の代議員や一般社団法人「東京ケアマネジャー実践塾」の理事長など、ケアマネの関連団体で多数の要職を務めている。主任介護支援専門員、社会福祉士。

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