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どうなる「用具のみプラン」…24改定での行方を占う

「用具のみプランに居宅介護支援費は無駄」と訴える財政審

2022年2月17日、厚生労働省は「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の第一回会合を開いた。この検討会は昨年5月、財務大臣の諮問機関・財政制度等審議会(財政審)が公表した「財政健全化に向けた建議」(建議)の提言を踏まえ、設置されたものと考えられる。

財政審の建議には次のような提言が盛り込まれていた。

「~福祉用具の貸与のみを行うケース(ケアプラン)については報酬の引下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることも、あわせて令和6年度(2024年度)報酬改定において実現すべきである」

つまり財政審は、福祉用具貸与しか位置付けていない「用具のみプラン」に居宅介護支援費を支払うのは無駄だと訴えているのだ。そして、24改定では「用具のみプラン」の報酬を削れと主張しているのだ。

この財政審の主張について考えるためにも、まずは「用具のみプラン」の現状について深堀りしたい。

それなりの財政効果が期待できる「用具のみプラン」の報酬削減

21年4月分の実績で見ると、福祉用具がからむ要介護者のケアプランのうちで「用具のみプラン」が占める割合は10%程度。福祉用具がからむ要支援者のケアプランのうちで「用具のみプラン」の割合は、30%を超えていた。また、福祉用具貸与の利用者実態は、要支援1から要介護2までの軽度者が多くを占めていた(表)

表:居宅介護(予防)支援及び福祉用具貸与の利用者実績(20年4月ベース)
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
居宅介護(予防)支援 約26.6 約44.4 約93.6 約83.1 約46.8 約30.3 約18.7 約343.8
福祉用具貸与 約20.9 約37.3 約45.0 約60.5 約38.1 約28.9 約18.0 約249.2

単位:万人
厚労省:介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会(第1回)
「介護保険制度における福祉用具、居宅介護支援について(資料2)」20年2月17日9頁及び30頁より

ちなみに、20年度のデータに基づけば居宅会議支援費の総額は約4900億円だった

こうした状況を思えば「用具のみプラン」の報酬を削れば、それなりの財政効果が期待できるのは、間違いのないところだ。

24改定へ、考えうる4つのシナリオ

ならば、24年度の介護報酬改定では、どのような施策が「用具のみプラン」に導入される可能性があるのか―。考えられるシナリオは次の4つだ。

パターン1:「用具のみプラン」の居宅介護支援費の引き下げ

ずばり、財政審の提言をそのまま実現する。

パターン2:「用具のみプラン」の報酬請求やケアマネジメント業務の一部を福祉用具専門相談員に担わせる

ケアマネが担ってきた「用具のみプラン」の報酬請求などを福祉用具専門相談員に担わせることで、介護給付費の抑制を目指す。報酬請求などを担う福祉用具専門相談員は、介護福祉士や看護師・准看護師、社会福祉士などの有資格者に限定する。

パターン3:「用具のみプラン」の報酬引き下げ&「貸与から販売」の推進

パターン1に加え、要支援1~要介護2を中心に福祉用具貸与における給付要件を厳格化し、福祉用具の購入を促進する。

パターン4:変化なし

制度変更は全く行われない。

このうち、パターン2については、これまでの議論の経緯を思えば、実現する可能性は低い。業界へのダメージが大きすぎるパターン3も同様だ。

また、わざわざ検討会まで設けている以上、変更なしというパターン4の実現も考えにくい。

結局、もっとも現実味を帯びているのはパターン1だと考える。

「用具のみ」の報酬減が「ケアマネ難民」を生む?!

このパターン1が導入された場合、懸念されるのが「用具のみプラン」からのケアマネの撤退だ。

現在、「用具のみプラン」と他のケアプランとの間に報酬の差はない。ただ、「用具のみプラン」は軽度者が多いため、ケアプランを作成する過程での話し相手や相談といった業務負担が案外、バカにはならない場合もある。

それなのに、「用具のみプラン」の報酬だけを引き下げてしまえば、多くのケアマネは福祉用具貸与のみを必要とする利用者を敬遠するようになってしまうだろう。

そもそも、ケアマネの人手不足も深刻化し始めている中で、「用具のみプラン」の報酬だけを引き下げるのは、かなりリスクが高い。下手をすると、福祉用具貸与だけが必要な利用者の中で「ケアマネ難民」が相次ぐ状況にもなりかねない。

福祉用具専門相談員の質向上まで見据えた議論を!

ケアマネ不足に対応する意味でも、「用具のみプラン」については、パターン2での対応が最もよいと思う。

パターン2の導入によって、福祉用具専門相談員が報酬請求及び一部モニタリングなどのケアメンジメントの一部業務を担えるようになれば、その専門性は確実に向上する。

せっかく検討会まで立ち上げたのだから、「用具のみプラン」の報酬を削るだけの議論で終わるのはもったいない。福祉用具専門相談員の資質向上まで見据えた、前向きな議論を期待したい。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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