ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

報酬返還も…新たな説明義務に要注意!

2021年度の介護報酬改定で、特に注意が必要な改正といえば、居宅介護支援事業所に課された利用者への新たな説明義務だろう。

ケアマネジャーが直近6カ月間のケアプランで位置付けたサービスのうち、▽訪問介護▽通所介護▽地域密着型通所介護▽福祉用具貸与―について、各サービスの利用割合とそれぞれの担当事業者の割合を算出し、書面交付と口頭説明を行った上で、利用者から署名を得なければならない。

基本的には、重要事項説明書に別紙で添付する形での対応となるが、毎年、前期(3月1日から8月末)と後期(9月1日から2月末)の2回算出する点に注意が必要だ。今年4月分の新規契約に関しては、5月以降のモニタリング訪問時の説明も認められている。

一方、既存の契約者については、今年4月以降のケアプランの見直し時に説明するのが望ましいとされている。ケアプランはおおむね3カ月ごとに見直されるため、6月をめどに全ての契約者への説明を終える必要がある。

こうした説明義務を怠ると、運営基準減算の対象となり、初月は50%減算、それ以降は100%減算となる。減算を受けると、特定事業所加算の算定要件を満たせなくなり、実地指導で行政に指摘されると、巨額の介護報酬の返還となってしまう。

10月には新たなケアプラン点検も始動

今年10月からは、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護がサービスの大部分を占めるケアプランを作成するなどした居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出し、ケアプランの内容を点検・検証する新たな仕組みが導入される。

また、同じサービス付き高齢者向け住宅などに居住する利用者のケアプランの点検・検証も併せて始まる。点検対象となるのは、区分支給限度基準額の利用割合が高い利用者が多いケースで、この仕組みでは、居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するだけでなく、併設する事業所も特定する。

ただ、この点については、高齢者住宅に併設されている居宅介護支援事業所の間で、考え過ぎの傾向が見受けられる。

そもそも、適切なアセスメントとケアマネジメントプロセスを踏まえて作成されたケアプランならば、何も問題は生じない。仮に、区分支給限度基準額の利用割合が高いケアプランが多かったとしても、実地指導で過度な指導をされることはないのだ。

BCPや感染症などへの対応も重要

業務継続計画(BCP)や感染症対策、高齢者虐待への対応も重要なポイントだ。

いわゆる“1人ケアマネ”の居宅介護支援事業所について、厚生労働省は、他のサービス事業者と連携して対応することも差し支えないとしている。これは言い換えると、たとえ職員が1人であっても、対応の責任は免れないことを意味している。3年間の経過措置期間があるとはいえ、悠長なことは言っていられない。

さらに、ハラスメント対策の強化も義務づけられているが、これには経過措置期間は設けられていない。ハラスメントの中には、利用者やその家族から受けるパワハラやセクハラも含まれており、社内の就業規則などでの対応に加え、相談窓口の設置や研修などにも取り組まなければならないだろう。

今回の制度改正は「骨抜きのイメージ」

2021年度の介護保険法改正は、昨年6月5日の通常国会で法律が成立したが、主要項目の大半は先送りされており、骨抜きのイメージが強い。当然、それらは次の法改正の焦点となる。

事実、財務省は今年4月15日に開いた財政制度等審議会の分科会で、先送りとなっていたテーマを再び議論の俎上に載せた。

そして、翌月21日に同審議会がまとめた提言(建議)では、▽利用者負担のさらなる見直しやケアマネジメントへの利用者負担の導入など、介護保険の給付範囲の見直しを進める▽介護サービス事業者の事業報告書などの報告・公表を義務化し、経営状況の「見える化」を実現する▽利用者のニーズを適切に把握した上で、地域の実態を踏まえて介護・障がい福祉事業所を指定する―の3つの改革の必要性が示された。

「ケアマネジメントへの利用者負担の導入」については、これに先立つ4月30日、日本介護支援専門員協会が反対声明を出している。協会側が早々に意見を表明したのは、実現の可能性が高まっていることへの危機感の表れだろう。

「利用者負担のさらなる見直し」とは、利用者負担2割以上の対象を広げることを意味する。現在は、利用者全体の約2割だが、これを4分の1程度にまで引き上げようというものだ。

医療保険で75歳以上の自己負担の“2割化”が実現し、介護保険にかじを切ったとみられる。利用者負担の“2割化”に向け、段階的に対象拡大を進めるとしており、既定路線ともいえる内容だ。

さらに提言では、区分支給限度基準額の対象外となる加算の見直しも示唆している。

2021年度の介護報酬改定に向けた審議では、当初、訪問介護の特定事業所加算を区分支給限度基準額の計算対象から外す方向で検討が進んでいたが、最終的に実施は見送られた。提言は、その経緯を踏まえたものと思われる。

“ダブル改定”に向け、「心して準備を」

政府が今年6月18日に閣議決定した今年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)では、“ケアプラン有料化”や利用者負担の“2割化”といった踏み込んだ改革は盛り込まれなかったが、油断は禁物だ。今後、議論が再燃する可能性は十二分にある。

次の介護保険法改正に向けた審議は、来年春から社会保障審議会介護保険部会で行われ、年末には方向性が決まる。そして翌年からは、6年に1度の診療報酬との“ダブル改定”となる、2024年度の介護報酬改定の審議も始まる。今から心して準備を進めなければならない。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

小濱道博の介護経営よもやま話の記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ