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始まった高齢者へのワクチン接種、ケアマネの業務への影響は…

4月から65歳以上高齢者を対象に新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が開始された。5月から6月にかけては、大量のワクチンが輸入されることになる。

ただ、ワクチンの輸入がスケジュール通りに進んだとしても、一人ひとりの高齢者への接種がスムーズに進むかどうかは別問題だ。実際、せっかく届いたワクチンを、キャンセルがあったからといって廃棄してしまった自治体もあった。

接種に携わる医師や看護師といったマンパワー問題も顕在化しており、今後、接種対象者が急増すれば、さらなる混乱も予想される。

特に厳しい状況におかれた在宅介護の現場

ワクチン接種については、介護現場でも多くの課題に直面している。特に厳しい状況に置かれているのは、在宅の要介護者だ。

軽度の要介護者であれば、家族に介助されながら接種会場や指定の診療所(医療機関)へ出向くことができるだろう。

問題は、独り暮らしや高齢世帯の要介護者だ。こうした人々は、送迎に同行してくれる家族もおらず、自ら接種会場へ出向くことも難しい。そもそもワクチン接種の手続き自体、理解できずに戸惑う認知症の高齢者もいるだろう。

このようなケースへの理想的な対応としては、市町村の保健センターが地域医師会に協力を仰ぎ、医師が個人宅へワクチン接種に出向くようにしてもらうことだ。

この対応が実現した場合、ケアマネジャーに期待される役割は、手続き面での支援だ。家族のいない認知症高齢者の中には、ワクチン接種自体の重要性を理解していない人もいる。ケアマネは自分が担当する人の中で、そうした恐れがある人がいないか、改めて確認しておく必要がある。

利用者を接種会場に連れていく段取りの考慮も

もっとも、個人宅へ医師を派遣するシステムを構築しない市町村も多いだろう。そのため、ケアマネは担当する利用者をワクチン接種会場に連れていく段取りも考えておく必要もある。

「介護保険最新情報vol.963」では、ワクチン接種会場(医療機関以外の体育館や福祉センターなど)への送迎は、訪問介護の「身体介護」のうち通院・外出介助で対応が可能とされている。

また、通称系サービス(デイサービス、デイケア、地域密着型)の送迎途中でも、ワクチン接種会場へ立ち寄ることも可能としている。

ケアマネは、これらの選択肢を考慮したワクチン接種のためのケアプラン作成があり得ることも覚悟しておかなければならない。なお、そのプロセスについては、「介護保険最新情報vol.963」の「問1~6」に記載されている。

【関連記事】
【介護保険最新情報vol.963】デイでコロナワクチン接種…保険外?保険内?

ここでも影響するヘルパー不足、早めの対応を!

ワクチン接種のためのプランを考える上でも課題となるのは、ホームヘルパーの確保だろう。だが、コロナ禍ということもあり、その確保はますます難しくなっている。

ホームヘルパーがコロナ禍でやる気をなくしている、というわけではない。その点は、筆者が実施したアンケート調査で、約8割のホームヘルパーがワクチンを接種したいと考えていたことからも分かる。

訪問介護関係者(ヘルパー)単位:人
積極的に接種する 27
様子をみてから接種する 55
あまり接種したくない 17
接種しない 4
わからない 3
合計 106

ホームヘルパーの多くは、少しでも早くワクチンを打ち、安心して現場に立ちたいと思っているのだ。

しかし、残念なことにホームヘルパーは優先して接種を受けることは難しい。

ホームヘルパーやケアマネなど、居宅サービスの従事者が優先接種を受けるには、所属する事業所が、自宅療養中の感染者にサービス提供をする意向を持ち、自治体に連絡・登録しなければならない。そして、従事者自身も、感染者にサービスを提供する意志を持っていなければならない。こうした条件が整った場合、優先接種の対象となる可能性がある。

ちなみに「可能性がある」と書いた理由は、その最終判断は市町村に任されているからだ。感染者と向き合う覚悟を固めたホームヘルパーやケアマネに対してすらも、市町村がワクチンの優先接種を認めない可能性が残されているということだ。

こんな状況では、普段の業務以外の仕事をあえて請け負おうというホームヘルパーはあまりいないだろう。当然ながら、ワクチン接種会場への送迎を担ってくれる人材の確保にも時間がかかることが予測される。ケアマネはその状況を見越し、より積極的にヘルパー確保に動かなければならないだろう。

接種を拒む人には無理をせずに

もう一つ、懸念されるのは、全ての高齢者が積極的にワクチン接種に前向きとは限らないということだ。中には、ワクチンの安全性を懸念して接種を拒む人もいるはずだ。

その場合、ケアマネは、無理に説得する必要はない。個人の判断を尊重することも重要だ。あくまでもワクチン接種は、個人の自己決定に基づくものであり社会が強制するものではないのだから。ただし、接種しないことを選択した人には、今後、よりしっかりとした感染対策が求められることを、きちんと説明しておかなければなるまい。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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