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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

居宅介護支援も義務化、BCP策定の意義とは?

厚生労働省は15日、令和3年度の介護報酬改定について官報で告示。その翌日には、留意事項通知と解釈通知を発出し、改定に向けた準備が本格化している。

※記事は、3月24日時点の情報を基に作成されています。

次期改定では、全ての介護サービス事業者に対して、(1)感染症の発生やまん延等に関する取り組みのための委員会の開催、指針の整備、研修・訓練(シミュレーション)の実施(2)虐待の発生や再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の指定(3)感染症や災害の発生に備えた業務継続計画の策定、研修・訓練(シミュレーション)の実施―が義務付けられる。

3年の経過措置期間があるため、完全義務化は2024年4月からだが、このうち最も注目すべきなのが(3)の業務継続計画(BCP)の策定だ。突然、国から「義務だ」と言われても、策定までの壁は高く、その意味を知らずに取り組む事業者も出てくるだろう。そこで今回は、BCPを策定する意義について考えてみたい。

「1人ケアマネ」も免除されない

そもそも、BCPとは何か。BCPとは、地震や台風などの自然災害によって、電気やガス、水道といったインフラや設備が損傷した際、早期に回復して事業を再開させるための対策をまとめた計画書やマニュアルのことで、中小企業庁の主導で整備が進んでいる。

厚労省からは、既にガイドラインやひな形が出ており、解説動画も公開されている。ひな形は「新型コロナウイルス感染症BCP」と「自然災害BCP」があるが、訪問や通所、施設など、個別に検討を要する箇所もある。

BCPは、地域特性や事業内容、利用者層、経営理念などを基本とし、法人単位で作る必要がある。インターネットなどで簡単に“コピペ”できるものではない。

問題は、単独で事業所運営を行う「1人ケアマネ事業所」だが、これに関しては、他の事業所と共同で策定することが認められている。言い換えると、1人だからといって、BCPの策定が免除されることはないということだ。

「業務改善マネジメント」の考え方が大切

自然災害直後―コロナ禍で職員が濃厚接触者となった場合もそうだが―は、出勤できる職員数が大幅に減少する。通常の20〜30%程度の職員数の場合、どの業務を優先させるべきか。出勤率が50%の場合は何ができるのか。出勤率が80%の場合は…というように、あらかじめ有事の際の業務の優先順位を決めておき、素早く再開できるようにする。これがBCPの基本だ。

ただ、断水や停電、道路の損壊など、被害の状況一つとっても、業務の優先順位は変わる。そこで大切なのが、「業務改善マネジメント」の考え方だ。

まず、現状をアセスメントし、問題点を把握する。その上で、対応策を検討し、そこから導き出した解決策を計画に落とし込む。完成したBCPは、研修や訓練を通して、職員に浸透させると同時に、さらなる改善策や問題点を洗い出し、内容を見直す。このサイクルを繰り返すのだ。

一例として、非常食について考えてみよう。被災時に停電や断水が起これば、調理ができなくなり、非常食に頼らざるを得ない。そうした場合を想定し、「現在の備蓄の内容で良いのか」「備蓄の数量は足りているのか」「賞味期限の管理はどのように行うのか」など、現状分析と問題点の把握を行い、改善の余地がないか検討していくのである。

居宅介護支援固有の対応とは?

しかし、居宅介護支援事業所のBCPとなると、あまりピンと来ない方も多いのではないだろうか。災害発生時における居宅介護支援事業所固有の対応として、厚労省は以下のような留意点を挙げている。

  • 災害発生時で、事業が継続できる場合には、可能な範囲で、個別訪問等による早期の状態把握を通じ、居宅サービスの実施状況の把握を行い、被災生活により状態の悪化が懸念される利用者に対して、必要な支援が提供されるよう、居宅サービス事業所、地域の関係機関との連絡調整等を行う。
  • 避難先においてサービス提供が必要な場合も想定され、居宅サービス事業所、地域の関係機関と連携しながら、利用者の状況に応じて、必要なサービスが提供されるよう調整を行う。
  • 災害発生時で事業が継続できない場合には、他の居宅介護支援事業所、居宅サービス事業所、地域の関係機関と事前に検討・調整した対応を行う。
    (出典:自然災害発生時の業務継続ガイドライン)

このほかにも、例えば、モニタリング訪問時に被災した場合の対応や、安否確認できない利用者への対応も想定される。また、事業所が浸水被害を受けた場合は、パソコンが使用不能となり、個人ファイルが破損する可能性もある。さらに、周辺の居宅介護支援事業所が休業し、キャパシティを超える利用者を受け入れざるを得ない場合の対応…と、検討項目は無数にあると言っていい。

全てを一挙に網羅するのではなく、毎年の見直しのたびに検討項目を増やし、バージョンアップを図るという考え方が重要だ。

BCPは職員育成の視点からも重要

BCPを防災計画と勘違いしている経営者が多いが、それは誤りだ。BCPは、リスクマネジメントの性格が強い。特に介護事業のBCPは、一般企業のそれとは異なる。感染症対策なども盛り込まなければならず、通所サービスに至っては、休業時の対応も考えておかなければならない。

今回の義務化を抜きにしても、BCPの策定は、法人全体で早期に進めるべきだ。そのメリットは、利用者や職員に安心感を与えることだけではない。実は、職員を育てるという視点においても、BCPは重要な役割を果たす。

全職員が一丸となって組織の課題と向き合い、戦略的に解決策を模索する中で、職員の帰属意識も高まっていく。こうした取り組みは、業務の改善にもつながり、小さなリスクが生じた場合も、事前の準備が有効に機能する。

つまり、職員同士が活発な意見交換を行い、共に課題を解決しようとする策定のプロセスそのものが重要なのだ。その結果として、風通しの良い企業風土が醸成され、職員の定着率が高まり、良い人材が集まるという好循環が生まれるのである。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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