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深刻化しそうな人材不足、もうケアマネはヘルパーに頭が上がらない!?

意外に上がった居宅介護支援の基本報酬

2021年介護報酬改定の内容が公表された。多くのケアマネのみなさんは「おや、意外と上がった…」と感じているのではないだろうか。正直、私自身も少し驚いている。

具体的には19単位もしくは25単位も基本報酬が上がった。30件担当している人なら、1件200円上がったとして、約6000円以上の収入増となる。前回改定の10単位弱の引き上げ幅と比べれば、かなりの引き上げだ。

居宅介護支援(Ⅰ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40未満である場合

現行 改定後
(一)要介護1又2 1057単位/月 1076単位/月
(二)要介護3、4又は5 1373単位/月 1398単位/月

「逓減制」の緩和(※)をフル活用できる事業所であれば、さらなる増収も期待できる。例えば39件担当していたケアマネが、44件まで引き受ければ月額で約5万円以上の収入増もあり得る。

居宅介護支援費(Ⅱ)【新区分】
・一定の情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む)の活用又は事務職員の配置を行っている事業所。ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が45未満である場合

新規
(一)要介護1又2 1076単位/月
(二)要介護3、4又は5 1398単位/月

「逓減制」の緩和に関しては、詳細な運営基準が示されていないため情報通信機器の活用など、経費上の課題は残る。だが、一定以上の規模がある事業所では、収入増の道筋は見えたのではないだろうか。特に、すでに報酬請求担当の事務職を雇用している事業所にとっては、今回の改定は朗報といえるだろう。

しかも、特定事業所加算の単位も引き上げられた。特に新設される特定事業所加算(A)の算定要件定では、「1名以上の常勤介護支援専門員を配置している」「1名以上の非常勤介護支援専門員を配置(他事業所との兼務可)している」-といったように、人員要件が緩やかになっている。

現行 改定後
特定事業所加算(Ⅰ) 500単位/月 505単位/月
特定事業所加算(Ⅱ) 400単位/月 407単位/月
特定事業所加算(Ⅲ) 300単位/月 309単位/月
特定事業所加算(A) 100単位/月(新設)

この程度の要件であれば、多くの居宅介護支援事業所の算定が可能なのではないか。

実現できそうにないケアマネの処遇改善

ただし、気になることもある。今回の基本報酬の引き上げや逓減制の緩和、特定事業所加算の充実が、ケアマネの賃上げにつながるかどうかだ。

結論からいうと、その実現は難しいだろう。なにしろ、居宅介護支援事業所の平均収支差率は、いまだに「赤字」のままなのだ。多少の収入増があったとしても、「赤字」の補填で精いっぱいという事業所が多いのではないか。

残念ながら、今回の改定だけでは、ケアマネに十分な処遇改善が行われるとは思えない。

ほとんど基本報酬が上がらなかった訪問介護

ところで今回の介護報酬改定では、リハビリテーションや施設系、通所介護など、ほほすべてのサービスで基本報酬が上がった。これによって、コロナ禍に伴う介護事業所の「体力減退」には、多少の歯止めがかけられるかもしれない。

そんな中でも厳しい結果を突き付けられたのが、訪問介護だ。

下記のように、どの区分も、ほぼ基本報酬は1単位しか上がっていない。仮に一人のヘルパーが一日3件の要介護者をケアしても、3単位しか上がらないことになる。

身体介護中心型

現行 改定後
20分以上30分未満 249単位 250単位
30分以上1時間未満 395単位 396単位
1時間以上1時間30分未満 577単位 579単位

生活援助中心型

現行 改定後
20分以上45分未満 182単位 183単位
45分以上 224単位 225単位

ヘルパーの人員増は絶望的…

これでは、ヘルパーの賃上げなど夢のまた夢だ。ヘルパー不足も、ますます深刻さを増すだろう。

在宅の現場は、ヘルパー不足などという言葉では、とても追いつかないほど深刻な状況にある。そのことは、有効求人倍率が15倍を超えているという数字だけでも十分に理解できるはずだ。しかも、その状況は近年、急速に深刻化しているのだ。(グラフ)

中にはコロナ禍の影響で、仕事を失った人が介護業界にやってくることを期待する人がいるかもしれない。だが、コロナ禍にあっても、例えば飲食物調理系の有効求人倍率は2倍を超えている。他の分野も似たようなものだ。他業界から介護業界の労働移転は、ほぼ期待できない。

一刻も早く訪問介護事業所との連携強化を!

いうまでもないことだが、ヘルパー不足は、ケアマネの日々の業務も大きく圧迫する。実際、コロナ禍でデイサービスが休止となった際、代替的にヘルパー探しに苦慮したケアマネも多かったはずだ。

今回の改定は、そんなヘルパー不足をさらに深刻化させるだろう。

そうなればケアマネとヘルパーの「力関係」も、様変わりするはずだ。「ヘルパーさんには、もう頭が上がらない。足を向けて寝ることもできない」「現場に行ってくれるだけでありがたい。何かをお願いしたり、注意したりするなんて、とんでもない」―。残念ながら、そんなケアマネも増えるだろう。

居宅介護支援事業所は、ヘルパーがますます不足することを見越し、一刻も早く、訪問介護事業所との連携強化に乗り出すべきだろう。

(※)一定の担当件数を超えると、超えた分の基本報酬の単位数が低くなる制度。現行制度では40件以上が対象となるが、今年4月以降、事務職員を配置したり、ICTを活用したりした場合、その適用が45件以上に緩和される。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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