ケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンラインケアマネジャー(ケアマネ、ケアマネージャー)・介護支援専門員の業務を支援するケアマネジメントオンライン

現場レポート

元ケアマネ!社会保障審議会介護保険部会委員の結城康博氏に聞く(2)

厚労省の諮問機関である社会保障審議会は、2012年度の介護保険制度改正に向けた論議を開始しています。介護報酬・診療報酬のダブル改定として注目を集める次期改定を控え、元ケアマネジャーであり、現在、社会保障審議会委員の結城康博氏に現状の課題や将来への提言を聞きました。

―ケアマネジャーも配置されている「地域包括支援センター」の役割についてお聞かせください。

市区町村直轄センターとして公務員を配置

現状、予防プラン作成に追われる「介護予防センター」になってしまっていて、地域の諸問題解決やケアマネジャー支援にあたる余裕はありません。事業仕分けでも職員への研修費がカットされましたが、 本来の業務を遂行するには、制度の大幅な見直しが必要。理想としては地域包括支援センターの財源は、老人福祉制度にもとづいて国庫負担金でまかない、介護保険制度とは切り離した市区町村直轄の地域包括支援センターとして、部分的に公務員を配置します。

予防は居宅のケアマネジャーに

現在、行政が丸投げ同然に地域包括支援センターに委託している予防プランは、介護給付に戻して居宅介護支援事業所のケアマネジャーに担当してもらえばいい。ただし、地域の相談の中には、とっさにケアプランを作成する必要が生じる緊急事態もありますから、主任ケアマネジャーは要支援1から要介護5まで、全てのケアプランを対象に居宅介護支援事業所を兼務して5件程度を受け持ち、プラン内容が落ちついたら民間に振る体制がよいと思います。ケアマネジャーもケアプランを受け持っていないと現場力が落ちてしまいますから。

―今後、制度の維持に向けて介護業界はどう取り組むべきでしょうか。

社会変化に応じた制度改革を

介護保険制度発案当初、日本は一億総中流の頂点で豊かな社会でした。その後、経済力が低下して格差は広がり、超高齢化の加速で認知症、独居、老老介護なども増えています。こうした社会的背景が変化したことを見据えて制度改革をしないと、現場とミスマッチが生じます。

例えば介護保険制度を創設した当時と現在では「自立支援」の概念が違う気がします。当時は介護の社会化を目指して積極的にヘルパーを使い、社会参加しようというのが自立でしたが、その後の抑制策から今の自立は「できることは自分でやる」というもの。現在、自立に関連して認定の簡素化・廃止などが取りざたされていますが、私は現状の7区分の簡素化には賛成です。誰にとっても、わかりやすい制度であることが大前提ですが、それにはケアマネジャーの質の向上が条件になります。

行政はもっと現場にかかわって

行政は、介護保険サービスは契約主義で民間に委託すればいいんだ、自分たちは保険料と事業計画と認定だけやっていればいいという姿勢を見直すべきです。しばしば現場力が身についていない役所の指導監査が問題にされますが、介護現場での職務経験がなくて指導側の資質が問われるなら、現場の人を入れた指導監査チームづくりをすればいいのです。

パブリックサービスの担い手として、事業者だけでなく対利用者にも必要とあれば説明のために訪問するなど、複雑化した制度を高齢者が理解してもらえるように、もっと関わりを持つべきです。

事業所は現場をわかっていない役所を恐れない

コムスン問題以降、事業者は指導監査に萎縮するようになってしまいましたが、「私たちはプロでこれだけのケアプランを立てたんだ」と役所を説得するくらいの気概がほしい。窓口にいる担当者の中には、1~2年しか業務についていない人もいます。生活援助サービスのニーズなどにも疎く、サービス利用の乱用を恐れてケアマネジャーの裁量を認めたがらない役所を説得するのはなかなか難しいでしょう。しかし、現場をわかっていない一部の役人を、必要以上に恐れるのはやめましょう。

―最後にケアマネジャーにメッセージをお願いします。

これまで介護保険制度を維持できたのは、多くのケアマネジャーの活躍があってこそ。学識者にも政治家にもできない、ケアマネジャーのマネジメント次第で高齢者の生活は大きく左右されます。今一度、自らの業務を振り返り、大きな影響力を持つ重要な職種であることを認識していただきたい。私も大学というフィールドに変わりましたが、現場で奮闘する皆さんの後に続く人材を育てるため微力ながら尽くします。一緒にがんばりましょう。

『入門 在宅介護ビジネス 最新経営ノウハウ』
編著:結城康博、佐藤純子、岡島潤子、香取幹

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

スキルアップにつながる!おすすめ記事

このカテゴリの他の記事

現場レポートの記事一覧へ

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください

無料会員登録はこちら

ログインできない方

広告掲載・マーケティング支援に
関するお問い合わせ