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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

“コロナ特例”でプラス改定は消えた?

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、来年4月の介護報酬改定に向けた議論は着実に進んでいる。ケアマネジャーにとっては、処遇改善の動向が気になるところだろう。いわゆる“コロナ特例”で報酬が増えた格好となっているため、「プラス改定は期待できない」との見方も強いようだ。今回は一足早く、次期改定の行方を占ってみたい。

1.改正介護保険法など成立

今月5日の参院本会議で、改正介護保険法を含む「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」が可決、成立した。今回の介護保険法改正は、国民負担に関連する項目の先送り報道もあり、介護業界内でもあまり関心が高いとは言えない状況ではある。

国会の審議では、介護施設の補足給付に関する質問が若干出ていたことが記憶に残っている。これは介護報酬に関連するので、法律そのものには盛り込まれていないが、昨年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見書に明記されており、ほぼ確定事項として質疑が行われたのだ。

今回の見直しで、補足給付の「第3段階」は年収120万円で区切られ、120万円を超える場合は「第3段階②」となり、給付が月2万2000円減額となる見通しだ。ショートステイでも一日当たり650円少なくなる。また資産基準は、現行の預金残高1000万円以下から500万円以下に引き下げとなる見込みで、これが実現すれば、介護施設の経営にとっては打撃となる。

さらに、高額介護サービス費は医療保険と同様、自己負担の上限額が年収基準に変わる。現行では、市町村民税非課税世帯などを除いて一律4万4400円だが、今回の見直しに伴い、年収約770万円~約1160万円は9万3000円、年収約1160万以上は14万100円に引き上げとなる。これは、在宅サービスも影響を受けるだろう。

国は今回の法改正で、住民主体の通いの場の充実に力を入れており、訪問介護と通所介護の軽度者を総合事業へ移行するための布石となる可能性が高い。さらに、断らない相談支援の実現を目指した「重層的支援体制整備事業」のほか、「社会福祉連携推進法人」の創設も盛り込まれた。新たな法人体系は、国が進める介護事業の大規模化の一環でもある。

目立たないまでも、「2040年問題」の対策を念頭に置いた、将来につながる制度改正であることは間違いないだろう。

2.焦点は給付費分科会の審議へ

法律が成立したことで、今後の焦点は、社会保障審議会介護給付費分科会での審議に移る。今月1日の分科会で厚生労働省は、2021年度介護報酬改定に向けた当面の論点として、▽地域包括ケアシステムの推進▽自立支援・重度化防止の推進▽介護人材の確保・介護現場の革新▽制度の安定性・持続可能性の確保―の4つを示した。

今後、これらの論点について審議が行われ、通常は、秋口に始まる「2巡目」で方向性が固まる。そして、さらに審議が必要な項目については、11月下旬以降の「3巡目」で話し合うのが一般的だ。加えて、業界団体へのヒヤリングなども実施される。

例年であれば、12月に分科会としての意見書がまとまり、翌年1月に新たな単位数が答申される。その後、3月から4月にかけて、解釈通知やQ&Aなどが出る流れだ。今年はコロナ禍の影響もあり、意見書の取りまとめが年明けとなる可能性は捨てきれないが、遅くとも1月には意見書がまとまると思われる。

ここからは、先日の分科会で示された4つの論点について、それぞれ解説したい。

論点1.地域包括ケアシステムの推進

「地域包括ケアシステムの推進」では、医療と介護の連携が基本となる。「在宅限界」を高めるための在宅サービス等のあり方、介護保険施設での対応のあり方、高齢者向け住まいにおけるさらなる対応のあり方、人生の最終段階におけるケアのあり方、認知症への取り組みなどが議論のテーマになるだろう。介護老人保健施設の在宅復帰機能の強化や、高齢者住宅の“囲い込み対策”の行方も気になるところだ。

「在宅限界」とは、可能な限り在宅で過ごすことを言う。地域包括ケアシステムはもともと、介護施設や病院ではなく、可能な限り自宅で過ごすことを目的とした考え方だが、同時に、施設の役割や高齢者住宅のあり方も問われる。また、地域包括ケアシステムで重要な役割を担う訪問介護で、ヘルパーの高齢化や人材不足が危機的な状況になっており、こうした点についても議論されるだろう。

論点2.自立支援・重度化防止の推進

これは、今回の介護報酬改定の注目点の一つだ。従来の介護報酬は、利用者の世話をすることで基本報酬が付き、リハビリなどを提供することで加算が算定できた。これがインセンティブ型へ移行すると、介護の結果で報酬単価に差が出る仕組みへと変貌する。

2018年度の改定では、ADLの改善度合いを示す「Barthel Index」(バーセルインデックス)が、加算の評価指標として導入された。「やるだけの介護」から「結果が求められる介護」への移行がどこまで進むかが大きな焦点となる。

また、「VISIT」や「CHASE」など、科学的介護の実現に向けたデータベースの整備と共に、ケアプランの作成を支援するAI(人工知能)などの導入促進策も検討されるだろう。これらの点に何らかの加算が新設される可能性は高い。

論点3.介護人材の確保・介護現場の革新

介護人材の確保については、ケアマネジャーの処遇改善のほか、有効求人倍率が13倍を超えた訪問介護への対策などが議論のテーマになるだろう。三重県が先行し、国が優良事例として横展開を進めるであろう「介護助手制度」の推進が、論点の一つとして浮上する可能性もある。コロナ禍の特例として行われた人員基準などの緩和措置が、どこまで通常の基準として盛り込まれるかという点にも注目したい。

介護現場の革新に関しては、介護ロボットや見守りセンサーの導入、ICT化の推進などが焦点となる。2018年度改定では、介護職員0.1人分の人員基準の見直しにとどまった、介護ロボットをめぐる加算の動向も気になるところだ。この3年間で、どこまで介護ロボットの実用性が向上したかがポイントになるだろう。

論点4.制度の安定性・持続可能性の確保

この点については、議論が遅れている政府の「全世代型社会保障検討会議」の最終報告、それに続く経済財政運営の指針「骨太方針2020」と「成長戦略2020」の中身によって、大きく左右されると思われる。これらの政府方針では、2040年に向けた社会保障制度の見直しなどの大枠が示されるであろう。「今後の介護保険制度の方向性が決まる」と言っても過言ではない。

いずれにせよ、制度の簡素化や事業の大規模化が進み、介護給付費が減らされる方向であることは間違いない。コロナ禍対策で政府は、矢継ぎ早に補助金を交付してきたが、あくまで単発の給付であり、介護報酬の特例の位置付けだ。

デイサービスに対しては、電話での安否確認による算定や月に一定回数の増額も認められているが、「現場目線では算定できない」との声も多く聞こえてくる。特例であれ、結果的に“報酬アップ”となった事実は残るため、来年度のプラス改定は期待できないとの見方も強いようだ。

来年度の介護保険制度改正は、コロナ禍でも着々と進められていることを認識しておかなければならない。今後も、分科会の審議の行方を注視していきたい。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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