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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

デイ休業で負担増、ケアマネの心のケアを

新型コロナウイルスに関する国の緊急事態宣言が、ようやく全都道府県で解除となった。だが、介護現場におけるウイルスとの戦いはまだこれからも続く。今回は、コロナ禍における介護サービス事業所の現状についてお話したい。

緊急事態宣言で“自粛休業”が増加

NHKの報道によると、4月20日時点で休業している介護サービス事業所は、全国で少なくとも883件あったが、それから1カ月余りが経過し、さらに増えていることは想像に難くない。

特にデイサービスは、運営形態がいわゆる「三密」(密閉・密集・密接)のため、休業までいかなくとも、自粛を求めた自治体が多い。休業を依頼すると補償金などを支払う必要があるので、「自粛」という言葉を用いたのだろう。多くの事業所は、1日の利用者数を定員の半分程度に抑えたり、利用者の間隔を1メートル以上離したりして運営を続けているが、真剣に休業を考えたところもある。

新型コロナウイルスの感染による死亡率は高齢者で高くなるという報道の影響もあり、利用者側がデイサービスの利用をためらい、キャンセルすることも多い。その結果、自宅に引きこもり状態となり、筋力の低下や衛生面の悪化、さらには認知症の進行などにつながるケースも報告されている。

厚労省のスタンスは「事業の継続」

厚生労働省のスタンスは、「あくまでも社会福祉施設等が提供する各種サービスは、利用者の方々やその家族の生活を継続する上で欠かせないものだから、十分な感染防止対策を前提として、利用者に必要な各種サービスが継続的に提供されることが重要である」(介護保険最新情報vol.774)というものだ。

やむを得ず休業を選択する場合は、▽十分な猶予期間を設ける▽居宅介護支援事業所と連携し、代替サービスの確保等について、利用者への事前説明を丁寧に行う―こととし、経営への影響をできるだけ小さくするため、独立行政法人福祉医療機構の融資(無利子・無担保)に加え、休業中に労働者の雇用を維持する場合は、休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」を活用することを勧めている。

3月の名古屋市の事例以外、自治体によるデイサービスの休業要請の話はほとんど聞こえてこない。これはやはり、休業補償の問題があるからだろう。しかし、自主的に休業したからといって、営業再開後に利用者や職員が戻ってくる保証はないし、再開すら危ぶまれる事態も想定される。

資金繰りが悪化する事業所が増加

介護サービス事業所の多くは5月以降、収入が大きく減少している上、3月期の決算や税金・固定資産税・自動車税の納付(5月申告)、さらには処遇改善加算関連の賞与支給(年2回)まである。

問題は資金繰りだが、日本政策金融公庫では、融資の申し込みが数千社を超え、断るケースも急増しているという。実際、昨年新設されたばかりのある事業所が、特別融資を申し込んだところ、創業期の売上が少なかったため、規定の減収要件を満たせず、融資を受けることができかなった。

資金ショートが迫ってからでは手遅れになる。先に紹介した独立行政法人福祉医療機構の融資など、公的な経営支援を最大限かつ余裕を持って受けておく必要があるだろう。

電話での安否確認、250円は高い?

厚労省は、デイサービス事業所のサービス継続支援として、(1)利用者の自宅への訪問によるサービス提供(2)電話による安否確認等(3)サービス提供時間の短縮(4)サービス提供場所の変更―の4つを挙げている。

(2)については、特にデイサービスの利用がなくても介護報酬が算定できるとされているが、事業所での活用が進んでいるかと言えば、疑問符が残る。

サービス提供時間が短い場合(デイサービスは2時間未満)は、最短時間の報酬区分(2時間以上3時間未満)で算定する。デイサービスで要介護1の場合、362単位×0.7(70%)=253単位で、事業所にとっては2500円程度の収入となる。

利用者の自己負担は、1割負担の場合で約250円となるが、請求をためらう事業所が多いのが実態だ。おそらく、ケアマネジャーも良い顔はしないだろう。

だが、これは単なる安否確認ではない。利用者の健康状態、直近の食事の内容や時間、直近の入浴の有無や時間、電話した日の外出の有無と外出先、希望するサービスの内容や頻度等についても確認し、毎回その記録を作成しなければならない。これで250円は高いと言えるだろうか?

これが請求できるかどうかは、事業所と利用者との間の信頼関係による。これまで満足度の高いサービスを提供してきた事業所は算定しやすいが、そうではない場合、利用者にとっては「支払わされる」という印象が強いだろう。

同じ1割負担でも、サービスの満足度が高ければ利用者は安いと感じるが、逆に低ければ高いと感じる。介護報酬は全国一律だが、サービスの質によって、利用者の“物差し”は異なるのだ。

コロナ感染が浮き彫りにした「差別」

新型コロナウイルスの影響で、介護関係者が社会的に差別される問題が起こっている。一部の地域であろうが、看護師の子どもが、保育所で差別を受ける事例もあるそうだ。保護者からは、「感染が心配だから登園させるな」との声も上がっているという。

また、感染者が出た介護施設では、地域住民だけでなく、同業の介護関係者からも村八分にされたケースもある。ある介護事業者は、「自分の事業所で感染者が出たら、もうこの地域では仕事をやっていけない」と話した。島国の日本が、いまだに村社会であることを痛感する。

介護従事者は、常に感染のリスクと闘わなければならないが、人間なので、たまには気が緩むこともある。軽い気持ちで職員の送別会を開いた結果、新型コロナウイルスに感染してしまい、世間の批判にさらされたケースもあった。

すさまじい心理的なプレッシャーを感じながら、命懸けで業務を行っている中で、いまだにマスクや消毒液の不足といった問題もある。さらにテレワークや休校の影響で、配偶者や子どもが常に家にいるため、帰宅後、今まで以上にストレスを抱える人も増えており、介護従事者に対する精神的なケアの必要性が高まっている。

職員のストレスチェックの徹底を

長引く人手不足の影響で、過酷な勤務状況が続いている中で起こったコロナ禍である。強い精神力の持ち主であっても、厳しい労働環境に置かれていることは間違いない。

デイサービス事業所が休業したり、規模を縮小したりした場合、利用者への説明や代替サービスの確保に奔走するのは、担当のケアマネジャーだ。その意味で、ケアマネジャーには、他の介護従事者が抱える以上のストレスが掛かっているといえる。

2015年以降、常時50人以上の労働者を抱える事業所では、毎年少なくとも1回、ストレスチェックを行うことが義務となっており、労働者が50人に満たない事業所についても、努力義務規定が設けられている。コロナ禍の長期化が懸念される中、介護事業者は、職員へのストレスチェックをしっかりと行い、それに伴うメンタルケアやストレス対策に力を入れるべきだ。

メンタルケアに取り組む事業所には、職員と利用者の笑顔が広がっているが、そうではない事業所は、職員間の誹謗中傷や罵詈雑言であふれ、利用者の表情も暗いことが多い。今後の介護事業所の運営にとって、職員の精神面のサポートは不可欠だ。それが整備されている事業所は、人材確保においても有利になるだろう。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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