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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

主マネ要件の救済は、厚労省の“メッセージ”

社会保障審議会介護給付費分科会は17日、「居宅介護支援事業所の管理者要件等に関する審議報告」をまとめた。これにより、居宅介護支援事業所の管理者要件の経過措置は事実上、6年延長される見通しとなった。

だが、これは利用者保護が主たる目的だ。2021年4月以降、新たに管理者になる場合は、主任ケアマネの資格が必須となる。これは見方を変えると、「もう経過措置の延長はしない」という厚労省の強い“メッセージ”と捉えることができる。

厚労省からの正式な通知は来年発出されるが、主任ケアマネを取得するための猶予期間は7年余り。この残された時間の中で、研修受講までのスケジュールをしっかりと立てる必要があるだろう。

管理者要件が導入された背景とは?

居宅介護支援事業所の人員基準上の管理者は主任ケアマネ―。2017年11月22日、厚労省は社会保障審議会介護給付費分科会で、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定した上で、2021年3月末までの経過措置を設けることを提案した。

日本介護支援専門員協会は当初、主任ケアマネの管理者要件に強く反発。更新研修における専門研修課程IIの履修者に新たな管理者研修を受講させ、それを修了したケアマネを管理者にするよう主張していた。ところが、同日に提出した意見書では、「管理者を主任介護支援専門員とすべきと考える。また、その運用にあたっては、経過的・段階的な措置をお願いしたい」と方針転換した。

この意見書をめぐっては、業界内での批判も多い。確かに表面上は、業界団体の賛同が決定打に見えるが、この意見書のポイントは「経過的・段階的な措置をお願いしたい」の部分にある。

管理者要件の見直しは、厚労省側の強い意向もあり、ほぼ既定路線だったと思われる。社会保障審議会は、制度改正のプロセスの中で、業界の意見を聞く場に過ぎず、決定機関ではない。

このため日本介護支援専門員協会も、融和の方向でソフトランディングせざるを得なかったのだろう。その時の信頼関係があったからこそ、経過措置の延長が審議され、ケアマネの処遇改善の話も出てきたのではないか―。そこには、“大人の事情”が垣間見える。

経過措置延長、既定路線との見方も

主任ケアマネが管理者を務める事業所が増え、人材育成の取り組みが進んでいることは、統計データからも明らかだが、その一方で、厚労省の調査によると、約4割の事業所の管理者は、依然として主任ケアマネの資格を持っておらず、このうち約1割の管理者は、経験年数が4年に達していない。

さらに、2021年3月末までの間、主任ケアマネ研修を「修了できる見込みがない」または「分からない」と回答した事業所も2割程度あり、その理由として、研修の受講資格となっている5年の実務経験を挙げる事業所が最も多かった。

2018年度改定の前後にケアマネを取得後、居宅介護支援事業所を開設した場合、主任ケアマネ研修を受講できるのは最短で5年後、すなわち2023年度以降となる。

これを救済するためには、少なくとも3年の延長が必要だが、実務経験が5年に達したからといって、すぐに研修を受講できる保障はない。研修の定員が決まっている上、年1回程度の開催など、受講したくてもできない問題も指摘されている。こうした状況で経過措置を終えても、利用者の混乱を招くだけなのは明らかだ。

このため、利用者を抱える既存の事業所については、経過措置の期限を6年延長する方向となったわけだが、こうした事態は当初から想定できたはずであり、既定路線だったとの見方も強い。

事業所の不測の事態で特例措置も

ここで改めて、審議報告の内容を見ていこう。現行の経過措置の期限である2021年3月末時点で、主任ケアマネではない人が管理者を務める事業所については、そのケアマネが管理者を続ける場合に限り、経過措置が6年延長となる。

一方、2021年4月1日以降、新たに管理者になるケアマネについては、新たな許認可や管理者の変更も含め、主任ケアマネの資格が必要だ。

ただ、急病など不測の事態で管理者がいなくなった場合は、その理由と「改善計画書」を保険者に届け出れば、要件の適用が1年猶予される。さらに、地域に他の居宅介護支援事業所がないなど、利用者保護の観点から特に必要性が高いと認められる場合は、保険者の判断で期間を延長することもできる。

また、中山間地域や離島などでは、主任ケアマネの確保が特に困難と考えられるため、「特別地域居宅介護支援加算」または中山間地域等における「小規模事業所加算」を取得できる事業所については、管理者を主任ケアマネとしない特例を認める。

多拠点展開を進める事業者にとっては、2021年3月末までに許認可を取得する方が有利になるだろう。それまでに管理者になっておけば、6年の経過措置の対象となるからだ。

小規模事業所は「特定事業所加算」を

最後に、居宅介護支援事業所を安定的に運営するためには、最低でも「特定事業所加算」の算定が不可欠だ。併設の在宅サービスの収入も減り続け、居宅介護支援事業所を支えることが難しくなっている中、それ以外の方法で収支の改善は見込めない。

厚労省は以前から、居宅介護支援事業所の大規模化を進めている。それは長年にわたり、小規模では立ち行かない報酬体系を継続していることからもうかがえる。特に、在宅サービスを併設する事業所の独自性を問題視してきた。

彼らが理想としているのは、「特定事業所加算」を算定し、独自性を保っている事業所だ。管理者を主任ケアマネに限定した背景には、ケアマネのレベルアップと人材育成の促進があったことは間違いないだろう。

小規模事業所は今後、「特定事業所加算」の算定を目指し、それが難しいのであれば、他の居宅介護支援事業所との統合・合併について真剣に考える必要がある。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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