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小濱道博の介護経営よもやま話小濱道博の介護経営よもやま話

小濱道博の介護経営よもやま話

制度改正の議論が本格化、居宅はどうなる?

第4次安倍再改造内閣が発足し、2021年の介護保険法改正に向けた審議が本格的に動き出した。焦点となるのが、給付と負担の見直しだ。厚生労働省は8月29日の社会保障審議会介護保険部会で、今後の検討課題となる8つの論点を示した。これは前回、2018年の法改正の審議に加え、政府の「改革工程表2018」や「骨太方針2019」などを踏まえたものだ。今回は、この8項目のポイントを解説したい。

(1)被保険者・受給者範囲

前回の法改正の審議に引き続き、介護保険料の負担年齢の引き下げが論点に加わった。

現行制度では、40歳から介護保険料の支払いが始まる。これは、介護保険サービスを利用する高齢者は、その子ども世代が支えるという前提で設けられた基準だ。介護保険法ができた2000年当時、65歳以上の親がいる子どもの年齢は、概ね40歳以上だった。

しかし、昨今の晩婚化によって、第1子の出産年齢も高くなっており、これに伴い、65歳以上の親を持つ子どもの年齢も若くなっている。2000年の時点では、65.4歳の母親の第1子が40歳だったが、2050年には33歳まで下がると予想されている。これに合わせて、負担年齢を30歳に引き下げようというわけだ。

前回の法改正の審議では、社会保障制度改革を優先させるべきであって、国民に負担をお願いするのは時期尚早だとの意見が多かった。この点を踏まえると、今回の審議でも先送りとなる公算が大きいだろう。

(2)補足給付に関する給付のあり方

現行の所得基準には、利用者が所有する不動産などの資産は含まれていない。このため、資産を勘案した基準に改めることが、前回の制度改正から継続審議されている。

実施に至らない理由としては、資産を把握したり、適切に評価したりすること自体が困難な点にある。

資産を「所得」と見なすことについても、問題が多い。所得の低い人が施設に入所している場合、食費と居住費の一部が、補足給付として補助されている。不動産などが対象に加わると、補助を受けられない人が出てしまうのだ。一見公正に見えるが、不動産は現金ではないため、年金収入などが少ない入所者は、支払いに窮することになる。

そこで検討されているのが、リバースモーゲージの導入だ。リバースモーゲージとは、不動産を担保とした貸付制度のこと。施設の入所者は、自分の所有する不動産を担保に借り入れを行い、利用料の自己負担額、食費、居住費などを支払う。貸付金は利用者の死亡後、相続人との調整の上で、不動産の売却によって回収される。回収までに長期間を要することが想定されるため、事業者の確保が課題とされている。

(3)多床室の室料負担

介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院などの多床室(4人部屋)の室料を介護保険から外し、自己負担とすることが検討されている。

特別養護老人ホームに関しては、2015年度から自己負担が導入されている(補足給付の対象者は除く)。このため、「不平等だ」とする意見も根強い。多床室の室料が自己負担になると、入所者の毎月の支払額は、1万5千円程度増える見込みだ。

(4)ケアマネジメントに関する給付の在り方

居宅介護支援は現在、利用者の自己負担額がない。ここに1割の自己負担を導入することが検討されている。これも、前回の法改正時から継続審議となっているテーマだ。

自己負担額がないことで、利用者側に「ケアマネジャーにお世話になっている」との意識が働き、サービスの内容や質に不満があっても、なかなか口に出せない。その結果、クレームがケアマネジャーの耳に届かず、ケアマネジメントの質の向上につながらない―。これが、検討課題に挙がっている背景だ。

賛成派は、自己負担の導入によって、利用者側がケアマネジャーに意見を言いやすくなり、ケアマネジメントの質の向上につながると主張している。

(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付のあり方

要介護1〜2の軽度者を対象に、訪問介護の生活援助サービスを介護保険から外して、市区町村に移行することが検討されている。これも、前回からの継続審議だ。

総合事業の「住民主体型サービス」などを行っている市区町村は、全体の6~7割にとどまっている。この現状では、生活援助サービスを介護保険から外しても、その受け皿がないため、総合事業の整備を優先させるべきだという声が根強い。

(6)高額介護サービス費

介護保険の高額介護サービス費は、医療保険に準拠する形で改正されてきた。2017年改正に伴い、3万7200円だった上限額は、医療保険と同水準の4万4400円に引き上げとなった。

医療保険では2018年8月から、70歳以上の現役並み所得の区分が細分化され、上限額は、▽年収約383万~約770万円が4万4400円▽年収約770 万~約1160万円が9万3000円▽年収約1160万円以上が14万100円―となった。

今回の審議では、介護保険の高額介護サービス費を、これに合わせるかどうかが焦点となる。

(7)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準

2018年8月から、「現役並み所得」の基準が変わり、年収340万円以上の単身世帯の自己負担割合が3割に引き上げとなった。

今回の審議では、その基準の見直しが検討される。「見直し」とは、基準の引き下げに他ならない。現在、2割負担の対象者は全体の20%とされているが、基準が引き下げられると、当然、対象者が一気に拡大する。

(8)現金給付

現物給付は、ドイツなどで導入されている仕組みだ。介護保険サービスを利用していない要介護者を、家族が介護している場合、「在宅介護費」として一定額が支給される。

総介護サービス費の抑制に寄与しているとして、前回も検討課題として挙がったが、導入に消極的な意見が多く、現時点での導入は適当ではないとされた。

前述した通り、8つの論点の多くは、前回からの持ち越しだ。しかし、裏を返せば、長年の課題でもあるので、いつ導入されてもおかしくないともいえる。

現在、介護保険部会で審議されており、年内にも検討結果がまとまる。来年1月に始まる通常国会で、改正法案の審議が行われ、遅くとも会期末までには成立する見込みだ。その後、新制度に対応する介護報酬改定の審議に移ることになる。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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