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どうなる居宅介護支援に関する加算

来年春の介護報酬改定の議論が大詰めを迎えている。居宅介護支援の中で特に注目されるのは、特定事業所加算の見直しだ。

この加算に関し、厚労省が提起した主な改正点は、以下のとおりである。

・多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供される居宅サービス計画を作成すること
・事業所間の連携を促進する加算区分「特定事業所加算(a)」を設定
・現行の「特定事業所加算(IV)」は、(I)〜(III)と評価軸が異なるため、医療と介護の連携を推進する観点から、例えば、「医療介護連携体制強化加算(仮称)」に見直していくべきではないか

特定加算に小規模向けの新区分!一方で新たな“壁”も

このうち、新設される「特定事業所加算(a)」は、介護保険給付費分科会の資料を見る限り、現行の「特定事業所加算(I)~(III)」より点数が低く設定されると予測される。要件としては、常勤:1名以上、非常勤:1名以上(非常勤は他事業所との兼務可)となっており、小規模事業所でも算定しやすく工夫されているようだ。

また、「必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成している」ことも求められる。そして、この要件は、特定事業所加算のすべての区分に設けられている。

まとめると、来年春以降、小規模居宅介護支援事業所でも「特定事業所加算」が取得しやすくなる。その一方で、インフォーマルサービスをケアプランに位置づけるという“壁”もできてしまった。

新たな要件に該当するインフォーマルサービスとは具体的にどんなサービスなのか。例えば、総合事業のサービスは該当するのか―。この点は予防ケアプランに関する変更と合わせて注目されるところだ。

予防の新加算、算定できるのは…

その予防ケアプランについては、地域包括支援センターからの外部委託を進めるため、新たに「委託連携加算(仮称)」が設けられる方針が固まった。

厚労省の資料によれば、要支援1・2のケアプラン(介護予防支援)のうち居宅介護支援事業所に託された割合は全体の47.7%。「委託連携加算(仮称)」が、この委託の割合を高めることを目的としている以上、算定できるのは、委託を受けた居宅介護支援事業所だろうと考えるのが普通だ。

だが、厚労省が示した資料では次のように明示されている。

「介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、外部委託を行いやすい環境の整備を進めるため、地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業所との連携を評価する加算『委託連携加算(仮称)』の創設」

「委託時における居宅介護支援事業所との連携を評価する加算」という記述を普通に読み解けば、多くの委託件数を担っている地域包括支援センターが、加算を算定できるようになると読める。

そして、地域包括支援センターが新加算を算定してしまうのであれば、居宅介護支援にとって、外部委託を受ける「旨味」はない。

「委託連携加算(仮称)」の全容は、これから疑義解釈などで示される。この加算を算定できる主体はどこなのか。また、仮に地域包括支援センターが算定する加算だとするなら、その単位数はどのくらいで、委託先にどの程度までの配分が可能なのか―。予防ケアプランに関しては、こうした点が注目すべきポイントとなる。

医療との連携に関連する加算の詳細にも注目

また「特定事業所加算(IV)」は、「医療介護連携体制強化加算(仮称)」として見直される見通しだ。さらにケアマネジャーによる利用者との通院同行にも、医療介護連携の関連で何らかの報酬上の評価が期待される。

一方、これらの仕組みの導入が、現行の「入院時の病院等との連携加算(200単位もしくは100単位)」や「退院・退所時の病院等との連携(450~600単位)」の単位数や要件に、どのように影響するのかは、注目しておかなければならない。

そのほか、小規模多機能型における居宅介護事業所連携加算は廃止される方針が固まった。だが、この廃止は、居宅介護支援の経営に、ほとんど影響をもたらさないと考えられる。

逓減制、45件からに緩和

加算以外では、従来から議論になっていた担当ケース数における「減算」、いわゆる「逓減制」が、40件から45件に引き上がる案が厚労省より提起された(図)。

45件まで引き上げられる事業所の条件として、一定のICT活用、事務職員の配置を図っている事業所などが適用されるとされている。その背景としては、厚労省の資料によればケアマネジャー1人あたり1カ月間の労働投入時間は、ICT機器を導入している方が労働投入時間は少ないとされ、導入有の場合:171.8時間、導入無の場合:184.1時間となっている。また、事務職員が行っている業務は、「給与計算に関する業務」が71.5%で最も多く、次いで「給付管理関連業務(関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど)」が46.4%といったデータが示されている。

「緊急対応の実費の徴収」が提起された意義

もう一つ、介護保険給付費分科会において「緊急時等に業務外として生じた実費徴収」についての問題提起が、厚労省より示されたことにも注目したい。

具体的には、「法令による対応ではなく、必要に応じて参考事例の周知等を検討することとしてはどうか」ということであり、厚労省より何らかの事例集が示され「実費徴収」のガイドラインのようなものが、今後、示されると考えられる。

実際、厚労省データによればケアマネジメントの業務以外の支援が、かなり多岐にわたっている(表)。これらの業務が、ケアマネジャーの業務負担を重くしている大きな要因の1つとなっていることは明らかだ。

実費徴収を労働対価として受け取ることができたとしても、労働負担が軽減されるわけではない。だが、ケアマネとしては精神的な「納得感」が得られることには違いない。しかも、要介護者及び家族においても、本来業務とそれ以外の区別を認識することができ、過度な要求をケアマネに求めることを防ぐ効果は期待できる。

ただし、高齢者にも経済的な格差があり、実費を徴収できるか否かは、各ケアマネの裁量に委ねられることも予測され、公平性、平等性の対応が課題となるであろう。

以上、介護給付費分科会における居宅介護支援に関する主な論点は、おおよそ提起されたと考えられ、今後、介護報酬改定率と、それを受けて具体的な点数配分がどのようになっていくかが注目されるため、引き続き議論の動向は注視していく必要がある。

結城康博
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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