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新人ケアマネも必読!実地指導入門新人ケアマネも必読!実地指導入門

新人ケアマネも必読!実地指導入門

管理者は法令順守を貫き通せ!

これまで11回にわたって、居宅介護支援の実地指導のポイントを解説してきましたが、これが最終回となります。今回はこれまでの総括として、法令順守の意味を改めて考えたいと思います。

ケアプラン控え、交付は遅延なく

ケアマネジャーは、サービスの利用者だけでなく、ケアプランに位置付けたサービス事業者に対しても、ケアプランの控えを遅滞なく交付しなければなりません。それは、以下の2つの法令が根拠となっています。

介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。(厚生省令第38号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条11項)

居宅サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者及び担当者に交付しなければならない。(老企第22号「厚生省老人保健福祉局企画課長通知」)

課題として取り上げたいのは、「遅滞なく交付」の部分です。「遅滞なく」とは、どの程度の期間を言うのでしょうか。

手元にある辞書には、「遅れを生じさせず、期限の範囲内で行うさま」とあります。それでは、「期限の範囲」とは何でしょう。

ケアプランに位置付けられたサービスの担当者は、ケアプランに沿った個別サービス計画を作成した上で、サービスの提供を始めます。裏を返せば、サービス提供表に記載された開始日より前に、ケアプランの控えが担当者の手元にないと、個別サービス計画を作成できず、サービスを提供することもできません。つまり、サービス開始日より前の時間帯が、「期限」の一つの目安となるのです。

ただし、やむを得ない事情で交付が遅れる場合もあります。担当者はその時、控えがない中で暫定の計画を作成し、サービスの提供を開始します。そして控えが届いてから、暫定計画との突き合わせ作業を行います。

この手順はあくまで、やむを得ない事情がある場合に限られます。こうした事例が多いと、担当者への実地指導の際、行政側から指摘を受けることとなり、ケアプランそのものを作成した居宅介護支援事業所の実地指導に影響が出る可能性もあります。

日本語であるが故に、解釈に幅が出るため、異議のある方もいると思います。先日、ある会合でこの話をした時、「自分は30日程度で控えを交付している」と話す“強者”がいました。30日後に控えを交付することが果たして、「遅滞なく交付している」と言えるのでしょうか。よく考える必要があります。

ちなみに、私は全国各地の介護事業所にお伺いしていますが、多くのケアマネジャーは、個別サービス計画の作成前に控えを交付していることを申し添えておきます。

個別プラン、控え受領は義務?

個別サービス計画が作成されたら、今度はケアマネジャーがその控えを受け取り、ケアプランとの整合性を確認する必要があります。

介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して~(中略)~指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする。(厚生省令第38号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条12項)

(前略)担当者に居宅サービス計画を交付したときは、担当者に対し、個別サービス計画の提出を求め、居宅サービス計画と個別サービス計画の連動性や整合性について確認することとしたものである。(以下略)(老企第22号「厚生省老人保健福祉局企画課長通知」)

今年5月29日に厚生労働省が出した「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針」では、居宅介護支援における「標準確認項目」の一つとして、「担当者から個別サービス計画の提供を受けているか(整合性の確認)」が示されています。

すなわち、控えを受領しただけの「積ん読」では駄目で、ケアプランに記載したサービスがきちんと位置付けられているか、それ以外のサービスが提供されていないかという、2つの計画の「連動性」と「整合性」の確認の有無が、実地指導の際にケアマネジャーに問われるのです。

ケアマネジャーの中には、個別サービス計画の受領は義務ではないと考えている人もいますが、先述した厚労省の法令を読んで、果たして「義務ではない」と言い切れるでしょうか。実地指導で確認されることを考えれば、何をすべきかは明らかだと思います。

「忙しい」は理由にならない

「ケアプランの控えの交付」と「個別サービス計画の受領と整合性の確認」はつながっています。

ケアプランの控えの交付が遅れると、個別サービス計画の作成も遅れます。その結果、個別サービス計画の控えの受領も遅れ、ケアマネジャーの確認作業にも支障を来します。

忙しいことを理由に、ケアプランの控えの交付を先延ばしすると、回り回ってケアマネジャーの業務が滞り、自身の忙しさが増します。すなわち、最初の仕事の遅れが、ブーメランのように跳ね返ってくるのです。

ケアプランの控えの交付、そして個別サービス計画の控えの受領は、いずれも運営基準上で定められています。実行しない事業所は当然、運営基準違反となり、行政指導の対象となります。そして違反が繰り返されると、行政処分にもつながるのです。

ケアマネジャーの業務は全国共通です。「忙しい」は理由になりません。万事、遅れずに仕事が流れてこそ、プロの仕事と言えるのです。

居宅介護支援は“処分3強”

2017年度に「指定取り消し」「全部停止」「一部停止」となった介護サービス事業所は計257件。これをサービス別で見ると、訪問介護が90件で最も多く、次いで通所介護と居宅介護支援が共に27件で続きました。

居宅介護支援における行政処分の件数は年々増えています。居宅介護支援の指定窓口は昨年、都道府県から市町村に移管され、実地指導についても、市町村単独もしくは都道府県との共同実施に変わってきています。

先に述べた「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針」の中で、居宅介護支援の「標準確認項目」と「標準確認文書」が示されたことで、実地指導における行政のチェックポイントや目線は大きく変わりつつあります。

いま一度、「法令順守がなぜ必要なのか」という基本に立ち返る必要があるのです。

法令順守はなぜ必要なのか

居宅介護支援事業所の許認可を申請する際、経営者は必ず、行政に誓約書を提出しますが、これは「法令を順守する」という誓いに当たります。すなわち、事業所は自らの法令知識の不足から言い逃れることはできず、最新の法令、運営基準、通知、Q&Aなどについて、日頃から理解を深めておく責務があります。

厚生省令38号においても、「指定居宅介護支援事業所の管理者は、当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員その他の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする」(第17条2項)と記されています。

法令順守が管理者の義務であることを肝に銘じ、その考えを日々の業務で貫徹する必要があります。

小濱道博
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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