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有識者コラムケアマネジャーは専門職としてICTを活用すべき

2024年度の介護報酬改定では、新たにケアマネジャーのオンラインモニタリングやテレワークが認められました。ケアマネジャー業務の質の向上や効率化にICTの活用が必要不可欠になる中、一般社団法人日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は、「専門職としてケアマネジャーもICTを使いこなす努力をすべき」と話します。前編では、柴口会長にケアマネジャー業務とICT、そして人手不足解消に対する解決策などを伺いました。

後編はこちら
「ケアマネジャーは夢のある仕事、業務には正当な対価を主張」

オンラインモニタリングやテレワークで負担軽減に期待

2024年度の介護報酬改定では、一定の条件下でオンラインモニタリングが認められました。オンラインモニタリングの導入によってケアマネジャーの業務負担が軽減されることが期待されており、大きな方向性として歓迎すべきだと考えています。一方で、まだスタートしたばかりの取り組みであり、今後実際に行っていく上でさまざまな検証が必要になるでしょう。

例えば、私たちケアマネジャーは、モニタリング時に利用者の状況を総合的に判断しています。ドアを開けた瞬間の温度や匂い、換気状況など、対面でしか得られない情報は多くあります。その点、オンラインモニタリングではどうしても情報量が限られてしまうため、担当者会議などでオンラインモニタリングが適用可能な利用者とそうでない利用者についてしっかり話し合うことが必要です。

介護報酬改定では、ケアマネジャーを含めて介護施設や事業所の職員のテレワークのルールも明確化されました。これもオンラインモニタリングと同様に、ケアマネジャーの業務負担軽減が見込まれるため歓迎すべきことです。ひとりケアマネジャーが業務を担当している事業所もある中で、業務の効率化は重要課題です。テレワークが可能になることで、業務の効率化やケアマネジャーの負担軽減が期待されます。

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ケアマネジャーの資格は「取ってからがスタート」

オンラインモニタリングやテレワークに限らず、科学的介護情報システム(LIFE)の活用が促されるなど、介護業界ではICTを活用して業務を行うことが急務となっています。しかし、現場ではICTの活用に苦手意識を持つケアマネジャーもいると聞いています。これは非常に残念なことだと考えています。専門職である私たちは、苦手だから取り組まないという姿勢では許されません。苦手な業務があっても、「どうすれば克服できるか」を考え行動するのが本当の専門職だと信じているからです。

利用者のケアの質を向上させ、ケアマネジャーの業務負担を軽減するためにICTが必要ならば、プロとしてケアマネジャーはそれを使いこなす努力をすべきです。それができないケアマネジャーは、ケアマネジャーを名乗る資格がないとすら私は考えています。

苦手なことを克服するためには、法定研修や法定外の研修などさまざまな研修の機会を積極的に活用し、必要なスキルを磨き続けることが求められています。医師や看護師、薬剤師など多くの医療職は、国家資格を取得した後も学会や研修会に継続して参加し、スキルアップを図っています。ケアマネジャーも専門職である以上、同じような研鑽が求められるのは当然です。ケアマネジャーの資格を取ってからがスタートなのです。

今はケアマネジャーの資質向上のためのガイドラインが国によって作成されていますが、私たちケアマネジャー自身で自分たちの研鑽のためのガイドラインを作るべき時期に来ていると感じています。他の職能団体は、自分たちの資質を高めるためのガイドラインを自ら作成しています。ケアマネジャーの制度ができて24年が経過しました。そろそろ私たちも自分たちで研修のためのガイドラインを作成すべきです。

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大学卒業後にケアマネジャーになれる道を開くべき

また、若い人がケアマネジャーになれる仕組み作りも必要です。現在、学生が「将来ケアマネジャーになりたい」と思っても、学校を卒業してすぐにケアマネジャーになれる道は開かれていません。そろそろ大学を卒業した人が新卒でケアマネジャーになれる道を開くべきです。

そのためには、医師や看護師、理学療法士などのように、私たちが現場実習の受け皿となって学生を教育するべきです。これは厚生労働省だけではなく、文部科学省など幅広い関係者との話し合いが必要ですが、将来的には「新卒ケアマネジャー」を可能にすることで、多くの人がケアマネジャーになれる道筋を作ることが重要だと考えています。

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柴口 里則(しばぐち・さとのり)
一般社団法人日本介護支援専門員協会会長。
平成7年宗像水光会総合病院医療相談室室長、福間町在宅介護支援センター所長、水光会地域総合ケアセンター長・福津市地域包括支援センター長を経て平成22年から株式会社グリーンケア専務取締役を務める。一般社団法人日本介護支援専門員常任理事・副会長を務め、平成29年6月より同協会会長に就任。令和4年11月より一般社団法人つなぐ共生会代表。

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