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ケアマネも「稼ぐ」意識を持つべき-“ケアマネ芸人”特別対談【後編】

働き方改革が叫ばれる昨今、リモートワークや副業、パラレルキャリアといった新しい働き方が徐々に広がっています。処遇改善の議論で、いつも蚊帳の外に置かれる居宅のケアマネジャー。“ケアマネ芸人”の小林彰宏さんと鹿見勇輔さんは、ケアマネも「稼ぐ」意識を持つことを提案します。特別対談の後編では、2人の仕事観についても語っていただきました。

―お二人は居宅のケアマネをやりながら、お笑いの活動をしているわけですが、これはやっぱり、副業に当たるんですかね。

鹿見 ケアマネと介護の仕事をやって、土日や夜の空いている時間にお笑いをやっているので、やっぱり副業になると思います。

小林 僕は副業と思ったことはなくて、どちらも本業という意識が強いです。居宅の運営会社の社長業もケアマネの仕事もお笑いも全部。

―お笑いをやっていることについて、お二人の職場の方はどう思われているんですかね。

鹿見 僕が広島でお笑いを始めたのは7年ぐらい前からですけど、最初はそれを隠してました。お笑いを諦めて介護の仕事についたので、再びお笑いをやることについて、まだ頭の中で整理できていなかったんだと思います。

でも、落語会やお笑いライブに出させてもらってから、少しずつ周囲に知られてきて、「どうせやるなら、仕事としてお笑いをやろう!」と思って、デイサービスでネタをやらせてもらうようになりました。趣味でお笑いをやっている、遊んでいる人間だとは思われたくなかったんです。

最近は、包括(地域包括支援センター)や役所から「鹿見さんにネタを依頼したい」という問い合わせもあるので、「こいつ、少しは世の中のためになっとる」と思われていると思いたいですけど、直接確認したことはないです(苦笑)。

―小林さんは、55歳の時にお笑いの世界に飛び込んだわけですけど、突然社長がお笑い学校に通い始めて、職員はどう思われたんですか。

小林 実はうちの居宅、昨年4月までは2人でやっていたんです。1人のケアマネの担当件数って、一般的に40件ぐらいですけど、当時は、もう1人のケアマネが75件持っていて、僕は自分のお袋の1件だけでした。施設のコンサル業がメーンだったので。

そのケアマネが「お笑いやりたいんだったら、やればいいんじゃない」と言ってくれて、僕を“放し飼い”にしてくれたおかげで、夢を実現させることができました。彼女には本当に感謝しています。

昨年5月に、事業所を大きくする方針に切り替え、今は僕を含めて10人います。幸い、入ってきた方たちは全員、僕が芸人をやっていることを知っているので、そこは鹿見ちゃんとはちょっと違うのかもしれないね。

あっ、でも、僕のネタが面白いかどうか聞くと、たぶん9人全員が「つまらない」と答えると思います(苦笑)。

鹿見 あはは。

小林 はっきり言ってきますからね。「小林さん、つまんないから、もっと勉強した方がいいんじゃない」って(苦笑)。

担当件数の上限をなくしてほしい

―ここ数年、働き方改革が叫ばれていますが、今のケアマネの働き方について、何か思うことはありますか。

小林 皆さん、根が真面目なんだと思います。僕も昔は真面目でしたから(笑)。

この3年ほどの間、ケアプランの支援経過さえきちんと書けば、電話で利用者さんの状況を確認することが認められていますけど、皆さん、感染のリスクを顧みないで出かけるんですよね。「行かなくてもいいのに、なんで行くんですか?」と聞いたら、「顔を見ないと心配だ」って言うんですよ。

鹿見  小林さんが言われたことと似ているかもしれないですけど、“ルールブック”をほしがる方が多い印象があります。役所があいまいな表現にして、現場の判断に任せてくれているのに、役所に問い詰めてルールを作ってもらった結果、自分たちの首を絞めている気がします。

―将来のケアマネの働き方についてはいかがですか。

鹿見 僕は芸人を挫折して介護の仕事を始めたので、「有名になって、お金をたくさん稼ぎたい」という思いが根底にあります。それが自分を支えるものだとも思っていたので。

介護業界では、お金をたくさん稼いで、子どもをいっぱい育てたいと思っても、それは実現できないという負のイメージがあります。

(逓減制の緩和で)担当件数が44件に増えたとはいえ、利用者さん1人当たり約1万円だとして、最大で44万円ぐらいしか稼げないんじゃ、正直夢がないです。これを公の場ではっきり言うケアマネはいないかもしれませんね。でも、アメリカンドリームじゃないですけど、やっぱり夢がほしいんですよね。

国に「お金ください」とは言えないので、せめて担当件数の上限をなくしてほしいです。

20代や30代でお金がほしければ、80件持ってもいいし、逆に60代や70代で、件数をこなすのが難しいのであれば、20件や30件でもいいと思います。頑張る人がお金を稼げる制度にしてほしいですね。

小林 介護保険制度ができたばかりの頃は、120件担当して、月100万円稼ぐケアマネがいたという話を聞いたことがあります。その後の制度改正でそれができなくなったというのは、それなりに理由があるんでしょうけど…。

お金以外の面だと、月1回以上のモニタリング訪問をもう少し柔軟にできれば、もっと働きやすくなると思います。

ケアマネも時間を意識して仕事すべき

―担当件数の制限を廃止して、もっと稼げるようにしてほしいということですね。お金の話で言うと、昨今の処遇改善の議論で、居宅のケアマネはいつも蚊帳の外に置かれています。

鹿見 僕は、お笑いの仕事は基本、ギャラがもらえる仕事だけ受けることにしています。ボランティアの仕事は、あまりやりません。

1万円もらったら1万円のネタ、3万円もらったら3万円のネタにしないと、お金を支払ってくれる人に失礼なので、頑張り方を変えているんです、ちょっと偉そうかもしれないですけど。

ケアマネも同じだと思うんですよね。例えば、費用が1万円だったら、1万円の仕事でいいはずなんです。でも、多くのケアマネは頑張り過ぎてしまう。「利用者さんのため」と言って、月に何回も訪問したり、車で病院に連れて行ったり、すごく時間をかけて仕事をしています。そうなると、割に合わないんですよ。

お金に見合う仕事の仕方をしないと、国にうまく利用されてしまいます。国から見たら、「たった1万でめちゃくちゃ動いてくれる。いいじゃん」となりますよね。

でも、もしケアマネがストライキを起こして、「1万円分の仕事しかしません!」となれば、国も「ケアマネの基本報酬を上げないといかん」となると思います。

小林 僕は経営者なので、「時間単価」という考え方が根付いていて、時々、職員にも「時間単価を上げてください」と言うことがあります。

鹿見ちゃんの考え方に似てると思うんですけど、例えば、うちの居宅の場合、要介護1・2の方の費用は1万5千円です。ケアマネさんの時給を千円と仮定すると、1カ月に利用者さんにかけられる時間は15時間ということになります。それ以上かけると、赤字になるんです。

でも、電話で済ませられる時は電話、ファクスで済ませられる時はファクスでやって、本来のケアマネ業務に集中すれば、15時間もかかることはないはずです。

―ケアマネももっと時間を意識して仕事をすべきだ、と。

小林 そう思います。

「介護×何か」のイベントをやりたい

―最後に、お二人の今後の目標を教えてください。

鹿見 “ケアマネ芸人”として、SNSやラジオで情報発信したり、新聞で取り上げていただいたりしたことで、「介護とアイドルやってます」とか、「介護とタレントやってます」とかいう人たちから連絡をもらうことがあります。広島だけじゃなく、九州など県外の方からも。そういう人たちを集めて、「介護と何かをしている人たち」のフェスのようなイベントができたら面白いなと思っています。

介護の仕事をやりながら夢を追いかけている人って、すごく強いと思うんですよね。介護だけにどっぷり浸かってしまうと、気持ちの余裕がなくなるような気がします。夢を持って働き続けることができれば、若い人が介護の業界に入りやすくなるかもしれません。

実は今、一緒に活動している芸人をうちで雇用しているんです。お笑いの依頼があると、僕と一緒にネタをやって、何もない時は介護をするみたいな感じでやっています。

小林 この前、職員全員がマッチョというデイサービスがあったから、鹿見ちゃんには、職員全員が芸人というデイサービスを作ってほしいね。レクリエーションでお笑いやって、みんな腹抱えて笑って、涙流して帰る。そんなデイサービスがあったら最高じゃない。

鹿見 うちのデイサービスで、利用者さん同士で喧嘩になることがあるんです。「あの人、声が大きくてうるさい」とか、「あの人がいる曜日には行かん」とか言って。

声が大きいことをプラスに考えて、その利用者さんに「一緒に漫才しましょう!」と声をかけて、敬老の日に2人で漫才をやったことがあります。

そしたら、「あの人、人前であれだけしゃべるの?すごいね!」となって、他の利用者さんの見方が変わりました。その時、お笑いって、いいレクリエーションになると思いましたね。

地域福祉支援で法人立ち上げたい

―小林さんはいかがですか。

小林 実は最近、東京に住まいを借りて、静岡との2拠点生活を始めたんです。地域福祉を支援する法人を中目黒に立ち上げて、「福祉×エンタメ」というか、お年寄りの住民の力を借りて、芸術から文化まで、幅広いエンタメを扱っていけるような組織を作りたいと思っています。

たまたま知り合いがいたというご縁もありますけど、中目黒には、芸能プロダクションもありますし、富裕層も集まっています。「福祉×エンタメ」をやる土壌があるんです。

例えば、駅周辺で2日間、芸術祭を企画するとします。その時に、経験も人脈もある町内会のおじいちゃんに、大会長として先頭に立ってもらって、若者と交流をしてもらうんです。

―いわゆるアクティブシニアの活用とは違うんですか。

小林 行政からお金をもらって、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒にイベントを作り上げていくイメージです。もちろんお客さんでもあるので、お金を払って演劇やライブを見に行ってもらいます。楽しいことを企画して、高齢者と若者の交流を促すことで、お年寄りにとっては、健康増進にもつながるでしょうし、生きがいも生まれてくると思います。

取材・構成/敦賀陽平

小林彰宏(こばやし・あきひろ)
1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。現在、同市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。ケアマネジャー、主任ケアマネジャー。静岡県介護福祉士会監事。共著書に「これならわかる スッキリ図解 介護事故・トラブル」(翔泳社)がある。現在、YouTubeの「WARAKAI(笑う介護)チャンネル」で動画配信中。
鹿見勇輔(しかみ・ゆうすけ)
1986年広島市生まれ。高校卒業後、吉本興業のNSC東京校の11期生となるが、同期の志の高さを痛感して挫折。その後、母親が介護の仕事をしていた関係で、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、主任ケアマネジャーなどを取得し、2011年に広島市内で介護事業所を運営する「有限会社めぐみ」に就職。2013年秋、デイサービスで落語を披露したことをきっかけに再びお笑いの道へ。現在、居宅介護支援事業所などを運営する傍ら、“ケアマネ芸人”として地元のラジオ番組に出演しているほか、広島県介護支援専門員協会・広島市南区ブロック長などの要職を務めている。

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