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「主マネは優秀か」発言の真意とは? /武久洋三(医師、ケアマネジャー)【後編】

介護報酬の改定案をまとめる社会保障審議会介護給付費分科会で、およそ13年半にわたり、日本慢性期医療協会(日慢協)の代表として委員を務めた武久洋三さん。歯に衣着せぬ物言いで知られるだけに、その発言は時に物議を醸すこともあった。主任ケアマネジャーの管理者要件について議論が行われた際は、「主任ケアマネは優秀なのか」と指摘し、研修の質を問題視した。その後、発言を撤回して謝罪したが、その真意は一体どこにあったのか―。武久さんに直撃した。

武久洋三さん

―介護給付費分科会で主任ケアマネの管理者要件について議論が行われた際、「主任ケアマネは優秀なのか」と発言したことがありました。その後、発言を撤回されましたが、その真意はどこにあったのですか。

“1人ケアマネ”の存在を否定することが、厚生労働省の方針なのです。主任ケアマネの管理者要件は、そう受け取らざるを得ない制度の見直しだったと思います。

主任ケアマネは2006年春に創設されました。一つの事業所の中にケアマネが4、5人いると、それを管理する人が必要になります。その役割を主任ケアマネに担わせようとしたのです。特定事業所加算は創設当初、主任ケアマネが管理者の場合にのみ算定できる仕組みになっていましたから。

独立型のケアマネ事業所は仕組み上、儲からないようになっているんです。サービス事業者を併設して、そこと協働したら利益が出るんだけど、そうすると、ケアマネの独立性が保てない。事業所同士が一体となっているので、悪い経営者がいれば、ケアプランも悪くなるわけです。だから監視体制を作ろうと思えば、独立型の方がいいんですよ。

―主任ケアマネの管理者要件ができてしまうと、独立型の事業所の経営が難しくなる、と。

そうです。事業所が独立していれば、サービス内容のチェックができます。「こちらのデイサービスでこんなことがあったので、次からは別の事業所にします」と、ケアマネ側から言えるわけです。そうすると、あちらも「それは改めたので、またお願いします」と。それで、競争が生まれるんですね。でも、現状は“事業所附属”が多いため、ケアマネから第三者的な批判をしにくくなっているのです。

国はいまだに、ケアマネに対する主体性を報酬上認めていません。例えば、居宅で自己負担金をちゃんと払ってもらえば、利用者側にもそういったマインドが生まれ、「良いケアマネジメントをしてくれるところに行こう」と、ケアマネ間でも競争が起こるでしょう。

―いわゆる“ケアプラン有料化”、居宅介護支援費に自己負担を求めることに賛成ということですか。

私は有料化すべきだと思います。

―“ケアプラン有料化”が実現した場合、サービスの利用控えが起こることを懸念するケアマネもいます。

「ケアマネを利用しない」という意味でしょうか。お金だけを節約したいのならば、ケアプランを自分で作る制度もありますからね。

―セルフプランですね。

そうです。介護保険の介護サービスにしても、医療保険のクリニックの受診にしても、本来、利用者や患者が自分で考えなければならないわけです。「こういうケアプランはどうですか」と言われたって、無料だから従うけれども、お金が要るようになったら、自分に有利なケアプランを書いてもらいますよ。この部分がちょっとネックになっているように思います。

「メディカルケアマネ」が必要

―先ほど、「介護保険に関しては生き字引みたいなものだ」とおっしゃいました(【前編】を参照)。今後、介護保険制度はどうあるべきだとお考えですか。

要介護者が増えるのを防止する政策が必要だと思います。それはやっぱり、急性期病院が要介護者を生む要因になっているので、急性期病院の対策はどうしても要ります。そうした方が、保険財政はうまくいきますから。

―元を絶たないといけない。

そうです。急性期病院の病棟に介護職とリハビリ職を配置する。手術直後からリハビリを行えば、入院期間が短くなります。夜間、病棟スタッフがトイレに連れて行くこともできるので、身体拘束も必要ありません。病気が良くなったら、歩いて帰れますよ。それが、もし3週間拘束されたら、足元がふらふらします。

急性期病院の問題を解決しない限り、要介護者はどんどん増えますし、介護給付費も上がり続けます。巡り巡って、ケアマネの処遇も改善されないと思います。

それから、「特養は要介護3以上」とか、「老健は在宅復帰施設」だとか、決めつけない。日本中の過疎化が激しいので、もはや一つの医療圏、一つの介護圏で計算し切れないようになっています。老健にしても、4300施設もあるわけですから、田舎の小さい町で老健しかなかったら、そこは特養の代わりもしないといけないし、小さな病院の代わりもしないといけないわけです。

―地方の過疎化が進んでいる中、施設類型にこだわらずに、柔軟に活用できる体制を整えるべきだと。

そうです。

―ケアマネについてはいかがですか。

私はよく、ケアマネに「介護保険の中だけで動くな」と言っています。医療の中に、ケアの部分がものすごく増えている。医療と介護の関係がより密接になってきています。高齢者は病院と介護施設を行き来しているので、介護施設の中で医療を受けることもあれば、病院の中で介護を受けることもあります。ほとんど一体化しているわけです。だから、「メディカルケアマネジャー」じゃないけれども、医療と介護の両方を見てほしいという思いはありますね。

―MSWと相談業務を一本化すべきだと。

そうすべきでしょうね。要するにかかりつけ医と、“かかりつけケアマネ”となる「メディカルケアマネジャー」が一緒に仕事ができる体制を作りたいんです。「メディカルケアマネジャー」とうまく連携しているクリニックには、多くの外来患者が集まるでしょうね。

「政治家になろうと考えたことはない」

―職能団体や著書を通じて、長年、医療・介護保険制度について数多くのご提言をされてきました。徳洲会グループを創設した徳田虎雄さんのように、政治家になろうと考えたことはありますか。

全くありません。

―なぜですか。

我田引水をしたくない、自分のところだけを有利にしたいという考えがないからです。徳田先生は、自分のところを良くしたら、日本の医療全体が良くなると信じて行動していたので、それはそれでいいと思います。

日慢協の会長になってから、記者会見も含め、さまざまな場面で発言してきましたけど、私は現場の作業員として、現状をありのままにお伝えをしているだけです。あとは、頭の良い厚労官僚に知恵を絞ってもらって、いい制度にしていただけたらと思っています。彼らも、ちゃんと説明すればわかってくれますから。

―自民党などから誘われたことはなかったんですか。

昔はありましたけど、そういう気が起こったことは一度もありません。

―選挙の際、日慢協から組織内候補者は出していませんが、それは先生の信条からですか。

そうです。政治的な活動は一切しないことにしています。

要介護者サイドに立つケアマネに

―今年1月で傘寿を迎えましたが、とてもお元気で、頭脳も明晰です。元気の秘けつを教えてください。

元気じゃないですよ。虚弱体質です(笑)。

―お元気ですよ。意識してやられていることはありますか。

よく寝た方がいいとは思いますね。あとは、頭を使った方がいいかな。何もしないで、ただぼーっとしている方がいいとは言えないね。自分のところの病院や施設に関して言うと、やっぱり一番は、患者に本当に役に立つことをしたいなと。もう一つ、職員にとって働きやすい職場にしたいと、いつも思っています。

―何歳までお仕事を続けたいとお考えですか。

85歳までは続けたいですね。あと5年は現場で働きたい。5年も働けば、もう十分でしょう(笑)。

―最後に、読者のケアマネに一言お願いします。

ケアマネには、ぜひ要介護者サイドについてほしいですね。要介護者の希望をできるだけかなえてあげてほしい。家族側につくケアマネが結構多いんですよ。家族が、いわゆる“選択権”を握っていますから。

説明したら、わかってくれる家族もいます。自分が担当している利用者に愛情を持って、「ちょっとでも良くなってほしい」と一生懸命思うことが、良いケアマネジメントができるポイントだと思います。

取材/敦賀陽平、ただ正芳 構成/敦賀陽平

武久洋三(たけひさ・ようぞう)
1966年、岐阜県立医科大卒業。阪大医学部附属病院でのインターンを経て、71年に徳島大大学院医学研究科修了。医学博士。84年、徳島市内に博愛内科病院(現博愛記念病院)を開設後、徐々に規模を拡大。現在、病院27カ所、介護老人保健施設11カ所、特別養護老人ホーム27カ所などを有する平成医療福祉グループの会長として、組織運営など携わる。日本慢性医療協会名誉会長、日本介護支援専門員協会相談役など要職多数。日本内科学会認定内科医。日本リハビリテーション医学会認定臨床医。ケアマネジャー。

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