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ケアマネの心のケア 究極の助言は「諦めること」 /玉置妙憂(僧侶、看護師)

病院の面会制限が続いている影響で、最期の時間を自宅で家族と過ごそうとする人が増えている。「病院から在宅へ」―。コロナ禍という非常事態の中、思いがけず、国が目指す在宅での看取りが進んだ格好だが、人と会う機会が減ったことで、孤独死する人も増えている。死のあり方が改めて問われている中、ケアマネジャーは利用者、そして自身の心とどう向き合うべきなのか―。看護師、僧侶として、東京都内の病院の緩和ケア病棟で患者の心のケアに当たる玉置妙憂さんに話を聞いた。

玉置妙憂さん

―コロナ禍になって2年余りが過ぎましたが、どんな変化がありましたか。

病院から在宅へ帰る方が増えた気がします。緩和ケア病棟のお部屋はスペースが広くとってあり、ご家族が寝泊まりできるようになっています。でも、コロナ禍になってから、ご家族の面会が制限され、それもできなくなりました。会えるのは1週間のうちのわずか30分、それも予約制で1人だけ。余命3カ月ほどですから、ご本人もご家族と一緒にいたい。そうなると、在宅に帰っていただくしかないんです。

在宅での看取りって、いまだに全体の2割ぐらいで、国の思惑通りには増えていません。ハードルがものすごく高い。何かがないと、「えいやっ!」と飛び出せない人たちがいる。その人たちの背中を、ある意味、コロナが押したんだと思います。

日本人は、死が間近に迫っていても、「他人に迷惑をかけたくない」と考える方が多いですよね。「奥さんや子供たちに迷惑がかかるから、病院で死のう」と。迷惑をかけないことを優先して、自分の希望を抑え込んでしまう。コロナ禍で家族と会えない状態が続いて、「コロナだから仕方ないか」と、自分自身への“言い訳”というか、“大義名分”が成り立っているのかもしれません。

―居宅のケアマネとの関わり方も変わりましたか。

余命が短い方たちなので、のんびりしている時間はありません。タイミングを逃してしまうと、動けない状態になるので、ご家族に説明して退院が決まったら、「さあ帰ろう!」なんです。だから、ケアマネさんにはすごく無理を言っています。「明日帰りたいみたいなので、当日からサービス入れてください」とか、どうしてもハードなお願いになりますよね。

ケアマネさんからすると、非常に短いお付き合いになる可能性が高いわけです。ご自宅に戻られたことにほっとしたのか、退院から3日後に亡くなった方もいました。頑張ってケアプランを立てて、サービスを手配しているのに「早く、早く」と言われる。ものすごいストレスだと思います。こういったケースは今後、ますます増えるのではないでしょうか。

―ケアマネ自身の心のケアも必要だと思います。

先日、スピリチュアルケアで長く関わっていた方の息子さんが亡くなりました。息子さんは1人暮らしで、ちょっと引きこもりだったんですけど、息子さんと連絡が取れなくなって、その方と部屋を見に行ったら亡くなっていました。

人が亡くなるのを散々見ているので、その場で取り乱すこともなく、平気だと思っていたんですよ。でも、翌日からは駄目でした。目を閉じると、息子さんが亡くなった部屋の情景が浮かんできて、「こうならない方法があったんじゃないか」って思ってしまうんです。

ケアマネさんも今後、そういった場面に遭遇することが増えてくると思います。その時に、「違うサービスを入れた方が良かったんじゃないか」とか、「昨日見に来ておけば良かった」とか、そういう気持ちが湧き上がってくるでしょう。それが、スピリチュアルペイン(心の痛み)なんですね。

「人間ごときに、人の死は変えられない」

―ケアマネに対して、何かアドバイスはありますか。

究極のアドバイスは、自分がどんなに一生懸命やっていたとしても、「同じことが起こっていたはずだ」と諦めることです。私たち人間ごときに、人の死を変えることはできません。いい死に方を目指したから、必ずいい死に方ができるとは限らないんです。本当に、なるようにしかならない。だから、諦めるんです。「諦める」って、なんだかネガティブで、いい加減に聞こえるかもしれませんが、仏教で「諦める」というのは、物事を明らかに見て、そのまま理解するという意味なんですね。

―ありのままを受け入れなさい、と。

そうです。亡くなった後になって、「なんとかなったんじゃないか」とか、「さぞかし無念だろう」とか、そういった考えは全部、私たち人間が勝手にやっている“ジャッジ”なんです。事実は、死んだということだけ。でも、いろんな思い入れもあるし、これまで一緒に過ごしてきた時間もあるから、どうしても“ジャッジ”してしまう。それに苦しんでいるだけなんですね。

もちろん人間だし、そういう気持ちを全否定するわけじゃないけれども、事実は「死んだだけ」。そこに良いも悪いもないんです。だから、「どうにもならなかった」という“引き出し”を持っていただきたいと思います。そしてつらくなったら、その“引き出し”を開けて、「何をやったところで、こうなったはずだ」とわかることです。

ただ、ご家族の前で「なるべくしてなった」なんて言うと、「冷たい人間だ」とか「人間味がない」とか、ひどいことを言われるから、ご家族の気持ちには寄り添わないといけませんよね。その二面性と向き合いながら、あらゆる考えを駆使して対応しないといけない場面もあるでしょう。

そんな時は、自身のよりどころになるようなものがあると強いと思います。趣味でもいいですし、すごく尊敬しているケアマネの一言でもいい。なんでもいいんですけど、何かよりどころを持っていると、やっぱり強いと思います。

9月から「スピリチュアルケア介護士」認定へ

―2019年に非営利一般社団法人「大慈学苑」を立ち上げました。

今から6、7年前のことになりますが、私が目指すスピリチュアルケアを非常によく実践されている方が台湾の台北市いるという話を聞いて、現地に勉強しに行きました。

台湾は、在宅で亡くなる方が半数を占めるともいわれています。台北市内にある台湾大医学部付属病院の依頼を受け、現地で「訪問スピリチュアルケア」を行っているのが、「大悲学苑」という団体です。僧侶やボランティアの方たちが、自宅で最期を迎える方々のご自宅を訪問して、スピリチュアルケアをされています。

そこに2015年から通い詰め、一緒に訪問させていただいたり、研修を受けたりして、法師様たちから在宅でのスピリチュアルケアを学びました。それを日本に持って帰るのが夢だったんです。

2019年に、意を決して日本で始める際、向こうの方が「『大悲学苑』の名前を使っていい」と言ってくださいました。ただ、「悲」という漢字は、仏教的には「慈愛」の言葉で、「愛」という意味合いがありますが、日本人には「悲しい」としかイメージできません。そこで、「大慈学苑」という名前で活動を始めることにしました。

―現在、どのような活動をされているんでしょうか。

ご要望があったところに訪問して、スピリチュアルケアをしています。もちろん、こういう時代なので、訪問せずにオンラインでお話を伺うこともあります。「スピリチュアルケアを勉強したい」という方々もいらっしゃるので、研修会も開いていますね。

9月からは、「認定スピリチュアルケア介護士」の養成もスタートさせます。この取り組みを始める理由は、学んだことに対して対価が支払われる仕組みをつくりたいと考えたからです。

自己投資をして、一生懸命勉強しても、それが一切お給料に跳ね返らないんじゃ悲しいですよね。少しでもいいから、お給料が上がるとか、採用に当たって有利になるとか、やったからにはメリットがあって、社会的な地位が上がっていくような仕組みがないと、スピリチュアルケアは広がらないと思います。そこで、東京都慢性期医療協会の先生方に後ろ盾になっていただいて、一緒に認定を始めることになりました。

主にヘルパーさんの認定を想定していたんですけれども、実は、居宅のケアマネさんからの問い合わせが多いんです。ご自身が認定を受けたいという方もいれば、一緒に働いているヘルパーさんに伝達できるようになりたいという方もいらっしゃいます。

ヘルパーさんもケアマネさんも、分刻みで動いているのに、スピリチュアルケアの話をしても、そこにお金は一切つきません。介護報酬のことだけを考えると、正直、早く次の利用者さんのところに行った方が儲かるわけです。

ただ一方で、もし国を動かして介護報酬の点数をつけるとなると、話をすることが義務のようになってしまいますし、利用する方を選別することにもつながります。だからこそ、別の所からお金を持ってくる仕組みが必要なんです。

現場の方々にとっては、認定が“看板”になります。利用者さんやご家族は、「亡くなる前の不安やもやもやした気持ちを話していいのだろうか」と考えているはずです。その時、「こういう研修を受けた『認定スピリチュアルケア介護士』です」みたいな紹介の仕方ができれば、双方にとってメリットがあると思っています。

取材・構成/敦賀陽平

玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)
長男が重度のアレルギーだったことがきっかけで看護師免許取得。がんの夫が延命治療を望まなかったため、2012年に自宅で看取るが、その際、“自然死”という死に様があまりに美しかったことから開眼し出家。高野山で修行を積み、翌年僧侶となる。死の不安を抱える人の心に寄り添う「スピリチュアルケア」を広めるため、19年に非営利一般社団法人「大慈学苑」設立。現在、病院の緩和ケア病棟で働きながら、訪問スピリチュアルケアの講座などを開く。著書多数。看護師、ケアマネジャー。

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