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すばる文学賞受賞、“ケアマネ作家”に聞く/永井みみ(作家、ケアマネジャー)

千葉県在住のケアマネジャーの永井みみさんが、昨年秋に発表された「第45回すばる文学賞」(集英社主催)を受賞した。受賞作の「ミシンと金魚」(2月4日発売)は、デイサービスに通う認知症の老女・カケイさんが主人公。ベッドから起き上がる際の動きやデイサービスの職員との会話など、元ヘルパーならではの細やかな描写が光る作品だ。居宅ケアマネの仕事の傍ら、土日に執筆活動を行っているという永井さんに、受賞作が生まれた背景や介護の仕事への思いを聞いた。

永井みみさん

利用者との“かけがえのない一瞬”から着想

―受賞作のアイデアはどこから生まれたのですか。

前職がヘルパーだったんですけど、訪問すると、利用者さんとの1対1の関わりの中に、その方との“かけがえのない一瞬”がありました。訪問に限らず、介護のお仕事をやっている方ならば、皆さん、そういった経験があると思います。ものすごく心に響くことをおっしゃるんですよね。

体の自由がきかなくなっても、認知症になっても、その人の尊さみたいな部分は変わらないと思うので、身近な方の中に、そういったところを見つけていただきたいという思いがあります。

―カケイさんのモデルになった利用者さんはいますか。

似た感じの方というのはありますけど、お一人の方をモチーフにということはなかったですね。これまでお会いした方のご発言みたいなものを集約したような形になっていると思います。ケアマネになって、ヘルパーの仕事から少し距離を置いていたので書けた、というのはあるかもしれません。

―利用者さんとのエピソードを、メモに書き留めていたのですか。

エピソードというよりは、フレーズですね。書き留めることはなかったですが、印象的なフレーズは、ずっと心に残っています。

「主人公超えた」 コロナで生死さまよう

―執筆中、新型コロナにかかって大変だったそうですね。

ちょうど1年前、昨年1月のことです。1カ月ほど入院して、エクモ(ECMO、体外式膜型人工肺)以外は全てやりました。気管挿管をやっていた時は、麻酔をずっと打っていたので、6日間ぐらいは記憶がなかったです。

―ほぼ完成していた作品を、退院後に書き直したそうですが、なぜですか。

生死の境をさまよったことで、死生観が圧倒的に変わったということがあります。以前は、死というものを自分なりに想像して、ちょっと距離感を持って書いていたんですけど、自分が本当に死ぬかもしれないとなった時に、なんて言うか、「主人公を超えた瞬間」があって、それで、「ここはもうちょっとリアルに」とか、逆に「あの人には辛くない死を」と思い直しました。

―表現がリアルになった部分もあれば、ちょっとマイルドになったところもあると。

そうですね。

―ケアマネのお仕事への影響はありましたか。

終末期の方のお気持ちを、まるっきりの想像ではなく、実感として捉えることが増えた気がします。

―利用者さんの死と向き合うことも多いと思いますが、それでも、ご自身が死に近づくと、全く違う感覚を持つものですか。

介護の仕事を始めて最初のうちは、一つ一つの死が辛すぎて、乗り越えるのが本当に大変で、「この仕事、続けられるのかな…」と思っていたんですけど、なんて言うか、変な意味じゃなくて、「それがこの仕事の一部なんだ」と。さらに自分が死にかけたことで、自分も『きっちり死ぬ人間』として、同じ立場で関わりたい、と思うようになりました。

40代でヘルパーに 背景に祖母への思い

―ヘルパーになったのは、40代になってからだそうですが、介護のお仕事を始めたきっかけは何だったんですか。

祖母が認知症を患って20年ぐらい経ってから亡くなったんですけど、その間、自分がきちんと関われなかったという後悔がありました。本当に好きな祖母だったんです。でも、認知症になったことを自分自身が受け入れられなくて、まだ若かったこともあって、ちょっと冷たくしてしまうこともありました。それが後になって重しになってきて…。どこかで罪滅ぼしをしたいという気持ちが多分にあったんだと思います。

―それでヘルパーのお仕事を始めて、その後、介護福祉士の資格を取られたと。

そうです。

―ケアマネの資格を取ったのはいつですか。

2016年です。

―介護のお仕事を始める前から、小説を書いていたんですか。

そうです。20年ぐらい前に集中して書いていた時期もあったんですけど、しばらく少し遠ざかっていました。当時は、介護の視点というものはなかったので、全く別のテーマでしたけど。

―居宅介護支援事業所にお勤めとのことですが、いつ小説を書いているんですか。

土日ですね。仕事が終わって帰ってくると、もうへとへとになるので、なかなかパソコンを開くのが難しい状況ではありますけど、幸い、土日にお休みを頂けるので、なるべく予定を入れないで書いています。

―土日は、朝から集中して。

10時から書き始めて、お昼を挟んで17時までとか、そんな感じでやっています。20年前は、専業主婦をしながら毎日書いていました。それだと、前日の続きから作業を始められるんですけど、今は1週間経ってからやるので、前の週に書いた部分を読み直してから作業を始めます。なので、以前は原稿用紙10枚ぐらい書けていたのが、今だと、一生懸命頑張っても6枚ぐらいです。

―1週間ぶりに読むと、「ここは、やっぱりこうした方がいい」みたいな気持ちになるんですか。

そうですね。結局、そこを直す作業がほぼ半分ぐらいになっちゃっいます(笑)。

ケアマネの仕事は「続けたい」

―今後、ケアマネのお仕事はどうされるんですか。

できれば続けていきたいと思っています。書く作業って、本当に独りぼっちで、ずっとこう、自分の世界に入り込んでしまうので、大変ですけど、別のお仕事があった方がいいと思うんです。

―相乗効果のようなものが生まれるんでしょうか。

それはあると思います。

―最後に、ケアマネの読者へのメッセージをお願いします。

読んでいただくと、たぶん「あるある」みたいな感じで、共感していただける部分もあると思いますので、ぜひ、ご感想を聞かせていただきたいです。困難ケースも増えてきて、皆さん、年々厳しい状況ではあると思いますけれど、読んでいただくことで、少し気持ちが楽になってもらえると嬉しいですね。

取材・構成/敦賀陽平

永井みみ(ながい・みみ)
1965年神奈川生まれ。ケアマネジャーとして働きながら執筆をした『ミシンと金魚』で第45回すばる文学賞を受賞。

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