

“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題
BCP通りにいかない!居宅の災害のリアル
- 2022/10/20 09:00 配信
- “ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題
- ノン老いる小林
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「介護のつらさを笑いに変える」でおなじみ、“ケアマネ芸人”ノン老いる小林です!
今回は、「台風15号」について言いたい放題。
皆さまもご存じの通り(えっ!知りませんでした?)、私、ノン老いる小林は静岡市に住んでいます。はい、9月の終わりに台風被害で全国ニュースになったあの静岡市です。
前回、BCP(バームクーヘン、チョコレート、プリンの頭文字ではなく、「事業継続計画」です!)について物申しましたが、今回は、つい先日私が経験した居宅ケアマネの災害のリアルを皆さまにお伝えします。
数分おきに避難指示メール
その前に皆さま、台風14号のことは覚えていますか?
ニュースの天気予報は、「今までにない大きさ!」とか「最大瞬間風速○メートル!」とか、危機感を抱かせる内容でしたから、テレビにくぎ付けになりました。幸いなことに、九州から日本海へ抜け、再び宮城県に上陸するという進路だったため、静岡市はほとんど影響を受けませんでした。
台風15号は、それから数日後にやって来たんです。
はい、“肩透かし”というか、安心しきっていました。そりゃあ、安易に考えますよね!(見苦しく正当化しています…)地域のデイサービスも普通に営業していましたし…。(出た、“必殺責任転嫁”!)「今回も大丈夫だろう」と、高をくくっていたんですよ~!!!
でもでもでもでも…、台風が最接近した9月23日の夜、携帯電話のメールが数分おきに鳴りだしたんです。しかも、全て避難指示。翌日未明の午前2時には停電も発生。お~、マイゴッド~!!
もしかして…雷が落ちた?と思っていたら、土砂崩れで送電線の鉄塔が倒壊していました。
ひぇ~、聞いてないよ~!!(どこかで聞いたようなフレーズ…)
神様、仏様、雷様、高をくくってごめんなさい!!助けてくださ~い!!
ケアマネの本領発揮!!
「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」という小説がありますが、静岡市は「一夜明けたらそこは別世界だった」という有様でした。
9月24日は一日中、携帯電話が鳴りっぱなしでした。
「○○デイサービスですが、本日断水のため休業します」「○○訪問介護ですが、車が水没して動けないので調整お願いします」などなど…。事業所から電話やファクスでお知らせが来るたびに、利用者さんに連絡する作業の繰り返しでした。
利用者さんやご家族の中には、ご自宅が床上浸水している方もいましたし、ファクスの機械や車両が水没したという事業所もたくさんありました。
サービス調整の合間に、地域包括支援センターとやり取りをしながら、飲料水のペットボトルを手配するなど、本当にてんてこ舞いの状況でした。「ちぎっては投げ、ちぎっては投げ」という表現がぴったりだと思います(笑)。
「やっぱり最後は人間関係」
利用者さんへの対応で困ったのはお風呂でした。利用者さんの家が断水になってしまった上、デイサービスのお風呂も断水で使えなくなるケースが多かったのです。
清潔な状態が保てないと、お尻などが赤くなり、臭いも強くなります。
そこで、ダメ元で水没も断水もしてないデイサービスに連絡してみました。事情を話すと管理者さんは、「大丈夫ですよ。困った時はお互いさまですから」と、快く入浴をさせてくれました。本当にありがたくて、感謝、感謝でした!
また、依頼している訪問介護事業所のヘルパーさんは、飲料水のペットボトルを利用者さんの家に配達してくれました。間に入ったうちのケアマネさん、「やっぱり、最後は人間関係なんだよね」って、笑顔で言ったんです。それを見て、「うちのスタッフ、いいな~」と、ノン老いるは一人で感動していました。
一晩で300人支援は無理
前回、
「ガイドラインの中では、
BCPにおいて重要な取組は、例えば、
- 各担当者をあらかじめ決めておくこと(誰が、いつ、何をするか)
- 連絡先をあらかじめ整理しておくこと
- 必要な物資をあらかじめ整理、準備しておくこと
- 上記を組織で共有すること
- 定期的に見直し、必要に応じて研修・訓練を行うこと等が挙げられます。
…とあります。」
と書きました。これらは表にまとめてプリントアウトしていましたし、連絡先も、あいうえお順と住所地順で一覧表にしてファイリングしていましたが、実際に災害が起こると、やはりBCP通りには動けませんでした。
まさに不安的中です。こんなに早く結論が出るとは、自分でもびっくりです!!(情けな~い…)
現在、うちの事業所には約300人の利用者さんがいます。災害時、一晩で300人を支援するなんて土台無理な話なんです。ケアマネは神様でも魔法使いでもありません。
なんでもかんでもケアマネに押し付けるなんて、厚労省さんも虫が良すぎるんじゃないの!!
責任者出て来~い!!!
と、うちの管理者が申しておりました。
決して私、ノン老いる小林の発言ではないことを申し添えておきます!(出た!“必殺責任転嫁”)
スタッフの決意表明
自宅が床上浸水したうちのスタッフの女性が先日、決意表明しました。
スタッフ「私、町内会から来年脱退します!」
ノン老いる「突然どうしたんですか?」
スタッフ「聞いてください!うちの町内会、運動会やどぶ清掃の時は何度も自宅訪問して、『出てくれ』だの『お金を払え』だの言ってくるくせに、今回、『大丈夫ですか?』の一言も無いんですよ!毎年1万いくらの会費を払う意味、あるんでしょうか!?」
ノン老いる「…」
スタッフ「決めました!来年脱退します!」
ノン老いる「…」
決意表明をしたスタッフは、「やっぱり、最後は人間関係なんだよね」と笑顔で語ったケアマネさんです。今回の災害で、彼女の人間関係にも被害が出たようです…。

- ノン老いる小林
- 1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。2013年にケアマネジャー、19年に主任ケアマネジャー取得。現在、静岡市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。静岡県介護福祉士会監事。共著書に「これならわかる スッキリ図解 介護事故・トラブル」(翔泳社)がある。現在、YouTubeの「WARAKAI(笑う介護)チャンネル」で動画配信中。
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