

“ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題
利用者の“邪魔者発言”きっかけに芸人の道へ
- 2022/06/15 09:00 配信
- “ケアマネ芸人”、ノン老いる小林の介護・言いたい放題
- ノン老いる小林
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「介護のつらさを笑いに変える」でおなじみ、“ケアマネ芸人”ノン老いる小林です!
今回は、自分自身について言いたい放題、というか、箸休め的に、ノン老いる小林誕生秘話をお話ししちゃいます。
忘れられない衝撃の一言
「生まれた時は天使、死ぬ時は邪魔者」―。
これは今から16年前の2006年、当時介護職員だった私が、利用者から言われた言葉です。
いや~、衝撃でしたね。だって、85歳のおじいちゃんがランチ後、ソファに座りながら突然言ったんですよ。
おじいちゃん曰く、「生まれた時、赤ちゃんは天使扱い。他方、歳を取ったら何をするにも時間がかかるし、おまけに臭い。死ぬ時には、すっかり邪魔者扱いされる」という意味だそうです。
ん~、確かに…。うまいこと言うね~って、感心している場合じゃないです!
実は、この発言をする直前、他のスタッフが「だめ~!立たないで座ってて!」って叫んだんです。ここまで書くと皆さん、なんとなく想像がつきますよね。
わからない方のために少し補足説明を。
当時は、介護保険が始まって7年目、まだ施設入居待ちが何百人もいる時代でした。
介護職員は時間に追われ業務に追われ、利用者とゆっくり話をすることもできない日々。おまけに、「きつい」「汚い」「給料安い」の“3K職場”などと揶揄され、実際、夜勤を月に4回やって、やっと給料の手取りが19万円という世界でした(「処遇改善加算」の前身に当たる「処遇改善交付金」が始まったのは2009年からです)。
さらに人間関係も最悪で、いつも休憩室では、“愚痴・悪口祭り”が開催されていました(苦笑)。
こうした状況を知ってか知らずか、「仕事は介護をやっています」 と言うと、「若いのに偉いね~」と、よく褒められました(ノン老いるも若かった!)。
こんな感じなので、介護現場は慢性的に職員不足(今もそうですが…)。だから、言葉で利用者の行動を制止するなんて、日常茶飯事だったのです(「今もそうです」とは言わせませんよ!)。
そう、皆さんの想像通り、「だめ~!」と叫んだスタッフを見て、おじいちゃんが発した言葉が「邪魔者」だったんです。自分が邪魔者扱いされていると感じたんでしょうね。
その時、私は何をしていたか、ですって?無言でやり過ごしました…ええ、そうですとも、何も言えなかったんです!
あの時、「そんなことないですよ~」の一言ぐらい言っていれば良かったと反省しています。今ならノン老いる小林の実力を発揮して、おじいちゃんを笑わせることもできたのに…残念!このことを思い出すたびに、いつも自己嫌悪になります。
でも実は、この出来事をきっかけに、「老いは誰もが通る道。明日はわが身」などの言葉が身近に感じ始め、私の中で何かが少しずつ変わっていったんです。
尊敬する人は“欽ちゃん” 夢はコメディアン
ところで皆さん、小学校の卒業文集で尊敬する人と将来の夢について書きましたか?
私は尊敬する人として、コメディアンの萩本欽一さんの名前を挙げました。バラエティ番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」でおなじみの“欽ちゃん”です(お若い方はわからないかもしれませんが…)。
そして、将来の夢は「コメディアン」と書きました。子供時代からお笑いが好きだったんです。
ところが、その後、受験戦争(その世代です)に巻き込まれ、一流大学に入り、一流企業に就職するというレールに乗った人生を追いかけているうちに(叶いませんでしたが…)、すっかり子供の頃の夢を忘れてしまっていました。
こうした中、おじいちゃんの“邪魔者発言”をきっかけに、その夢がよみがえったのです。
「そうだ!京都へ行こう!」ではありませんが、「そうだ!お笑い芸人になろう!」と思い立ち、「よしっ!介護にお笑いを取り入れよう!そして、利用者に笑って人生を過ごしてもらおう。利用者に“邪魔者”なんて言わせない介護をする!それが俺の使命だ!」と、すっかり舞い上がっていました。
紆余曲折も、53歳でお笑い学校に入学
その後、離婚、自宅売却、借金返済、離職、会社設立などなど、「神様、そこまで試練を与えますか?」という紆余曲折が続きましたが、53歳の時に、爆笑問題さんが所属する芸能事務所「タイタン」のお笑い養成所に入学。2年後に無事卒業し、ノン老いる小林としてデビューすることができました。
すごいぞ!ノン老いる小林!めでたしめでたし!(その後、お笑いライブですべり続けていることは誰も知らないと思いますが…)
では最後に、ネタをお見せしましょう。
お題「こんなケアマネは嫌だ!」。
- モニタリングに原付じゃなく、セニアカーで来る。
- モニタリングにセニアカーじゃなく、歩行器で来る。
- マネケーが作ったプラケーでサーデイ行っちゃうと、業界用語のように逆さ言葉で話す。
- いつもお昼時にモニタリングに来て、ごはんを食べていく。
- 「お茶を頂けますか?」と、利用者宅でマイボトルを出す。
- 訪問時、必ずトイレを借りてう●こする。
- 「本日、直行直帰です」と言って家で寝ている。
- 日曜日に出勤して残業代を稼ぐ。
- ケアプランがすべて手書き。
- 毎回、訪問で4時間居座る。
- やたらといばる。
皆さんも気を付けましょうね!

- ノン老いる小林
- 1964年静岡市生まれ。大学卒業後、高校の英語教師として働いていたが、40歳という人生の節目を間近に控えた38歳の時、介護保険制度の創設を好機と捉えて転職。その後、介護施設を中心に経営支援などを行う。2013年にケアマネジャー、19年に主任ケアマネジャー取得。現在、静岡市内で居宅介護支援事業所「ケアプランはるな」を運営する株式会社はるな代表取締役。静岡県介護福祉士会監事。共著書に「これならわかる スッキリ図解 介護事故・トラブル」(翔泳社)がある。現在、YouTubeの「WARAKAI(笑う介護)チャンネル」で動画配信中。
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