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21改定、オモテとウラ

居宅介護支援、想像外のプラスが実現した背景

2021年度介護報酬改定における「居宅介護支援」について論考していきたいと思います。今回の改定は過去最大規模となりましたが、変化の度合いにはサービス類型ごとに濃淡があります。「居宅介護支援」については、改定事項の数こそ12項目と少なかったものの、改定率や改定の中身を確認すると大きな変化が伴ったサービス分類の1つであると言えます。何よりもケアマネジャーは、在宅サービスの改定項目を全て把握しなければならない立場でもあり、そういった意味からも今回は大変大きな影響を受けた改定となったことは間違いありません。

居宅介護支援は1.62~1.82%の大きなプラス改定

まず、基本報酬単位を確認していくと、居宅介護ⅰ・ⅱ・ⅲの要介護1又は2と、要介護3・4・5と、介護予防支援費によって、それぞれ単位数のプラス幅は異なりますが、改定率は1.62%~1.89%のプラスでした。全体改定率が0.7%のプラスであることから、居宅介護支援については、他のサービス分類と比較しても大きなプラスの改定率となりました。

目玉施策は「逓減性の見直し」

続いて、改定事項12項目の中でも特に影響の大きい項目について、いくつか解説していきたいと思います。

改定の目玉の1つは「逓減制の見直し」です。「適切なケアマジメントの実施」と「経営の安定化を図る」ことを目的として、ケアマネ1人当たりの取扱件数に応じて単位数が異なる逓減制ですが、今回、「一定のICT(AIを含む)の活用」または「事務職員の配置」によって、逓減制の適用を45件以上にすることになりました。あわせて、該当する場合は45件以上の居宅介護支援ⅱとⅲについては通常と比べて単位数が減額されることとなりました。

この見直しのポイントは、あくまで「生産性を向上させ、適切なケアマネジメントの実施する」ことが目的であるということ。単なるICT活用ではなく、ケアマネの事務負担業務をしっかりと軽減させて本来業務たるケアマネジメント業務に専念できる体制を構築した上で取扱件数を増やすことが必須ということです。だからこそ、ICT活用の他に事務職員の配置によって同様の目的を果たすことが求められています。

「生産性の向上」は介護業界全体でも大きな課題と位置付けられているテーマです。「逓減制の見直し」はその試金石ともなる意義深い見直し項目の1つでもあり、今後に注目していく必要があります。

「評価されなかった手間」に光を当てる加算も創設

また、今回の改定では、ケアマネにとって大きな手間であるものの、評価をされてこなかった取り組みに光が当てられました。「通院時情報連携加算の新設」と「看取り期におけるサービス利用前の相談・調整などについて、利用者の死亡時に報酬算定が可能とする見直し」「介護予防支援の委託連携加算の新設」の3項目です。単位数には異論も残りますが、概ね評価することの出来る見直しといえます。

一方で、さらなる負荷を求められる見直しも

一方、ケアマネが悩ましく感じているのは、他の在宅サービス全般における複雑かつ多数の見直し項目を把握していかないといけないということに加えて、「ケアマネジメントの公正中立性の確保」の観点から、集合住宅などでの過剰サービス対策として導入された見直し項目ではないでしょうか。

具体的には、「ケアプランにおける訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与の利用割合と同一事業者の提供割合を、6か月ごとに利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報公表制度に公表することが義務付ける」見直しが挙げられます。その趣旨は理解できるものの、ケアマネに膨大な手間を生じさせる結果ともなり、現場では不満の残る見直しとなりました。

さらに、「生活援助の訪問回数の多い利用者当のケアプランの検証」と「事業所と同一の建物に居住する利用者に対してのサービス提供とともに、外部の利用者へのサービス提供を行うことを求める」の見直しにより、自治体と居宅介護支援には、従来以上の点検や検証が強く求められることとなりました。

まとめると、居宅介護支援の改定は、評価の出来る有難い見直しと、さらなる負荷がかかってしまう不満の残る見直しが混在した改定であると言えるでしょう。

ドラスティックな変化の原動力となったものは

ここで注目しておきたいのは、当初議論されていた居宅介護支援における「利用者の自己負担の設定」が見送られたのに、基本報酬単位は大きく引き上げられた点です。たとえるなら、吹き荒れていた強い逆風が突然向きを変え、強い追い風に変わったようなもので、ほとんど想定外の変化でした。

その背景にあるのは、関係者の間にあった「介護保険制度における要である居宅介護支援制度を再構築しなければならない」という強い想いでしょう。

毎日、業務過多ともいえる状況にあえいでいるケアマネの現状と、その結果生じるケアマネジメントの質の低下、そして利用者への悪影響。そうした現状を何としても改善しなければ、ならない―。そんな強い想いが、前述したようなドラスティックな変化を招いたのです。そしてケアマネの負荷軽減や、負荷を評価する見直しを実現する原動力ともなりました。

一方で、すでに述べた通り、今回の改定ではさらに負荷がかかる結果となりかねない見直しもありました。様々な利害関係者の思惑が交錯し、決定された改定であるだけに、その点は致し方がないのかもしれません。

さらなる変化が予測される24改定

次回の2024年度の改定では、「利用者の自己負担の設定」が再度重要な争点となるでしょう。生産性の飛躍的な向上を目指し、AIケアプランの活用の可能性も探ることにもなるでしょうし、もっと実効性のあるケアマネの負荷軽減策も検討されるでしょう。

2024年度の改定は、厳しい結果が突きつけられる可能性が高いだけでなく、21年度よりも、さらに多くの変化がもたらされる可能性も高いのです。それだけに、早い段階から、現場目線の介護報酬改定を実現できるよう求めていくことが重要であると思います。

斉藤正行
奈良県生駒市出身。立命館大学経営学部卒業後、飲食業のコンサルティング、事業再生等を手掛ける。2003年以降、グループホームやデイサービスを運営する企業で要職を歴任。2010年には日本介護ベンチャー協会を自ら設立し、代表理事に就任した。18年、全国介護事業者連盟の専務理事・事務局長に就任。20年には同連盟の理事長となった。

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