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「自民の参院比例の議席。それこそに意義がある」-全国介護事業者連盟・斉藤理事長インタビュー・前編

この夏の参議院選に、介護・障害福祉業界では最大規模の業界団体である全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長が、自由民主党・比例代表から出馬した。当選には至らなかったものの、斉藤理事長には約53000票が投じられた。それにしても、強い逆風が吹くタイミングで、与党からの出馬を決めたのはなぜか、そして、今後の活動の方針は―。改めて、斉藤理事長に話を聞いた。


全国介護事業者連盟 斉藤正行理事長

―前回の参議院選挙では、ずいぶん早い段階から、与党への逆風が吹いていました。その状況下でも、自民党の比例代表で出馬した理由は何でしょうか。

端的にいえば、介護・障害・福祉の現場の声を政治の場に届け、現場主導での政策立案につなげていくという目的を実現するためです。

バラバラだった現場の声をまとめ、政界に届ける、というロビー活動はこれまで続けてきました。ただ、そうした外部団体としてのロビー活動には、どうしても限界があります。

介護や障害福祉の現場の課題と苦しみを解消するためには、その深刻さを体感している組織内候補を立て、予算と法律を決定する国会の場で、リーダーシップを発揮するしかない―。その想いこそが出馬に至った背景であり、目的です。

―追い風が吹いている野党からの出馬、という選択肢もあったのではないでしょうか。

野党でも、ある程度の活動は可能でしょう。しかし、「自民党の参議院・比例代表」としてやれることと比較すれば、活動は圧倒的に限定されます。

自民党が厳しい状況にあることは承知していました。実際、衆議院は過半数を割っていましたし、参議院選挙の結果によっては将来の政権交代の可能性もありえます。だが、その可能性を考えればキリがありません。

戦後政治の歴史を紐解けば、80年間の大半を自由民主党が与党として国のかじ取りをしてきました。一時的に下野したことはあっても、必ず、政権を奪還してきました。

「5年後、10年後まで責任を持った活動をする」ということを思えば、今、支持が離れているから、という理由だけで野党からの立候補することは考えられませんでした。

さらに介護事業者連盟と関係する政治団体である介護事業者政治連盟は、最初から自民党の友好団体として誕生しました。同連盟が7年間、自民党との連携してきた経緯も思えば、自民党からの出馬以外の選択肢はなかったともいえます。

―現場の関係者の中には「自民党は、あまり介護福祉を顧みて来なかったようにも思える。その党に入り、意見を通していけるのか」という声を上げる人もいました。

その点については、私が参議院比例という立場で立候補したことを考えてもらえればと思います。

―と、言いますと。

自由民主党の参議院比例代表という場は、業界団体の代表が競い合う場です。さらにいえば、そこで多数の票を取るということは、その分だけ、業界の声や存在が政治の世界で大きくなるということです。

言い換えるなら「参議院比例代表」という場で、声を上げてこなかったから、自民党は介護業界や障害福祉の現場に十分に目を向けて来なかったといえるでしょう。

―斉藤理事長は「介護、福祉に従事する職員の年収500万円の実現」「介護、障害福祉、在宅医療の報酬増の実現」「自立支援、重度化防止の推進による社会補償費の適正化を目指す」といったスローガンを掲げられましたが、この点は介護現場から十分な理解は得られたと思いますか。

その点は十分に理解を得たと実感できています。「それこそを実現してほしい」という声も多かった。

一方で、「本当に実現可能なのか?」という声もありました。

でも、そうした人にこそ「それを実現するためにこそ、自民党の参議院比例代表という場を選んだのです」と伝え続けました。ただ…その訴えが、介護の経営者や現場関係者に伝わり切っていなかったことが、私の敗戦につながったとも思えます。

―斉藤理事長の想いと狙いが、介護の事業者や現場の人々には十分に伝わり切っていなかった理由は何でしょうか。

時間が足りなかった。これに尽きるかと思います。また、介護事業者連盟の組織率が、まだ十分ではなかったことも影響したのでしょう。

比例代表というのは全国が票田です。言い換えるなら、全国組織でなければ、この舞台では戦えません。そして、介事連が全国組織になったのが、2023年。つまり、戦える状態がようやく整ったのが今回の選挙だったのです。

―立候補を見送るという選択肢はなかったのでしょうか。

「現場の改革改善を一刻も早く」という介護・障害福祉事業者や従事者の切実な声を思えば、一刻も早く立候補するという選択肢しかありませんでした。

斉藤 正行(さいとう・まさゆき)
1978年、奈良県生駒市で生まれ。2000年3月に立命館大学卒業後、コンサルティング会社に入社し、飲食業のコンサルティング、事業再生などを手がける。2003年に介護業界に転身し、「メディカル・ケア・サービス株式会社」の取締役運営事業本部長や「株式会社日本介護福祉グループ」の取締役副社長を歴任。2013年8月に株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立した。2018年6月に法人種別・サービス種別の垣根を超えた介護事業者の横断的組織・一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画。2020年6月に理事長に就任した。

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