

CMO特別インタビュー
「プラン有料化は見送られた。そう考えています」/柴口里則(日本介護支援専門員協会会長)【新春インタビュー・後編】
- 2025/02/07 09:00 配信
- CMO特別インタビュー
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次の介護保険法改正に向けた議論で、どうしても見落とせないのがケアマネジメントへの自己負担導入(プラン有料化)の是非だ。2027年春までに結論を得ることが求められているこの議題について、日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は「プラン有料化は見送られた。そう考えています」と断言する。
日本介護支援専門員協会 柴口里則会長
―昨年末から、27年度に予定される介護保険制度の改正を見据えた議論がスタートしました。27年度までに議論されるべきテーマとして、プラン有料化の是非が明示されています。
そうですね。でも、そのテーマについては、決着したも同然、と安心しています。具体的にはプラン有料化は見送られた。そう捉えています。
厚労省の検討会に招聘されなかった意味は…
―詳しく、お願いします。
最近、厚生労働省は「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を立ち上げました。ところが、この検討会にケアマネジャーの職能団体であり、多くの居宅介護支援事業所の代表が所属している私たちは、招かれませんでした。
これは、国が「居宅介護支援事業所が提供するケアマネジメントは、他の介護サービスとは一線を画す、公正中立を旨とした存在」と認識し、扱っているという明確な証左です。そうである以上、ケアマネジメントへの自己負担の導入だけを別の話のように検討するというのは、筋が違うと思うのです。
シャドーワークをできる限りなくす報酬改定を
―報酬改定に向け、特に求めていくのはどのような点でしょうか。
当然ながら、居宅介護支援の基本報酬の引き上げを求めます。具体的には全産業平均程度の年収をケアマネジャーが受け取れるだけの報酬を居宅介護支援につけてほしいですね。そして将来的には、ケアマネジャーの平均年収が500万円となるくらいの報酬を実現してほしい。この点については、これまでと同様、求め続けなければならないと考えています。
それからケアマネジメント検討会でも議論された通り、シャドーワークはできる限りなくすようにすべきです。例えば、アセスメントが終わった後に、何らかの理由でサービスの提供ができなくなった場合、ケアマネジャーは報酬を算定できません。これは明らかにシャドーワークです。例えサービス提供に至らなくても「アセスメントしたら、何単位」といった形で、基本報酬に上乗せされる仕組みを設けてほしいですね。
「軽度者の総合事業移行は、絶対にありえない」
―ケアマネジメントに直接関わること以外で、27年度の介護保険制度改正に向け、特に主張したいことは、ありますか。
財務省などが、要介護1・要介護2のご利用者を総合事業に移すことを提案していますが、これは絶対にありえない。要介護1や要介護2の利用者の自立を支援する上で、居宅介護支援のケアマネジャーの支援は不可欠です。さらに各地域の総合事業の実情を鑑みても、要介護1・要介護2の利用者を総合事業に移行することには反対せざるを得ません。
居宅管理者を主マネ限定、条件次第では「撤廃に反対する理由なし」
―ケアマネジメント検討会では、主任ケアマネジャーの業務の在り方も検討されていました。主任ケアマネジャーといえば、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネジャーに限定していることが、事業所の減少につながっているという声も上がっていますが…。
はっきり言って、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネジャーに限定する必要はないでしょう。実務経験豊かな介護支援専門員が管理者を担うことが担保されれば、それでいいと思います。逆にいえば、経験豊かな介護支援専門員を管理者にする仕組みが導入されるのであれば、現在の管理者要件の撤廃に反対する理由はありません。
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