

結城教授の深掘り!介護保険
ケアマネ更新研修の廃止は、政治に期待!~「研修は必要!更新は不要!」を合言葉に~
- 2024/11/13 09:00 配信
- 結城教授の深掘り!介護保険
- 結城康博
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11月7日、厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(ケアマネジメント検討会)で「中間整理」の素案が提示された。「ケアマネ更新研修」の廃止案すら触れられず、研修体制の改善が必要とのみ記載されている。そのため、ケアマネ更新研修の廃止の実現は、政治の場での決着を期待するしかないと考える。
更新研修の継続を前提とする、ケアマネジメント検討会の中間整理の素案
中間整理の素案では「更新研修を含めた法定研修については、継続して実施することを前提としつつ、可能な限り経済的・時間的負担の軽減を図るべく、その方策について検討することが適当か」と述べられた。「研修のオンライン受講の推進と分割受講の仕組みの構築」といった研修負担の軽減策は提唱されているが、更新研修は必要不可欠であるという姿勢は堅持している。
つまり、更新研修ありきが再確認された格好である。
与野党の勢力伯仲で、介護施策に変化の可能性
もはや、厚労省を中心とした議論の場で「ケアマネ更新研修」の廃止を実現することは不可能だ。政治からの働きかけに期待するしかない。
この点、先の衆議院選挙にて与野党の勢力が伯仲したことで、介護施策の変化を期待するケアマネジャーも多いだろう。特に「ケアマネジャーの更新研修の廃止、負担の軽減」を標ぼうしている国民民主党が、今国会からキャスティングボードを握っている点は大いに期待できる。他の野党も「ケアマネの更新研修の廃止」については賛同すると考えられ、野党が一丸となって動けば実現する可能性が充分にあるのではないだろう。
焦点となっている「103万円の壁」問題などと比べれば、「ケアマネの更新研修の廃止」は、影響を受ける人は少ない。それだけに与野党協議で俎上に上がれば、すぐに決着されると考える。しかも、予算確保も不要であるため実現へのハードルは極めて低い。
ただ、楽観しきるわけにもいかない。衆議院選挙結果で与野党が伯仲したとはいえ、参議院では与党が過半数を握っており、野党の意見がうまく通るとは限らないからだ。むしろ、来夏の参議院選挙を見据えて国民に注目される政策テーマが与野党協議の俎上にあがることが優先され、「ケアマネの更新研修の廃止」は置き去りにされる可能性もある。
私も、早急に野党が中心となって「ケアマネ更新研修の廃止」を国会で議論していただきたいと思っている。だが、そのスピードが遅ければ参議院選挙後の政局次第では、永遠に置き去りにされてしまう恐れもある。
期待したい、与党のケアマネ施策の転換
ここで私が期待したいのは、与党のケアマネ施策の転換である。与党にとっても、このまま施策を転換しなければ、野党のみが廃止論を唱えることとなり、必ずしもプラスになるとは思えない。
残念ながら、ケアマネの人数は国政選挙に大きな影響を及ぼす程ではない。しかし、在宅介護現場では、ケアマネ不足が顕在化しており在宅介護サービスが受けづらくなっている。要介護認定結果が出ても、ケアマネが見つからず苦慮する高齢者が増加している。
それだけに、与党もケアマネ更新研修の廃止にスタンスを転換すれば、ある程度、介護業界や高齢者からの支持も得られると思う。
「研修は必要!更新は不要!」を合言葉に
ごく当たり前のことだが、この国の主権者は国民だ。だから、厚労省の検討会で更新研修の維持という方針が固まっても、国民の意志を反映する政治の場で「廃止」が決まれば、「廃止」が実現する。
その実現のためには、1人1人の介護従事者がケアマネ不足の問題を訴えることが求められる。例えば、些細なことだが、SNSで各自の現場の問題を訴え、その解決の1つにケアマネ更新研修の廃止を主張するだけでも、世論の関心度は高まっていくはずだ。
具体的には、「研修は必要、更新は不要!」といったフレーズを、ケアマネをはじめとした多くの介護関係者が、「X(旧ツイッター)」「インスタグラム」「フェースブック」などで発信するだけで、世間の関心は高まるだろう。
このような運動・活動が介護業界で浸透すればするほど、世論も変っていき、政治の場の空気が変わっていくに違いない。
最後に、ケアマネ更新研修の廃止を目指す意義を、改めて確認しておきたい。その直接的な目的は、ケアマネの負担軽減であり、ケアマネ不足の解消である。だが、真の目的は、その先にある。
ケアマネを確保し続けられる体制を整えることで、その兆しが見え始めている「在宅での介護崩壊」を防ぐ。
これこそが、ケアマネ更新研修廃止の最終的な目的である。「研修は必要!更新は不要!」の合言葉とともに、この最終目的も訴え続ければ、必ず風向きは変わっていくと考える。

- 結城康博
- 1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。
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