

小濱道博の介護経営よもやま話
報酬改定半年で急増!? 運営指導の注意点(2)
- 2024/10/29 09:00 配信
- 小濱道博の介護経営よもやま話
- 小濱道博
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令和6年度の介護報酬改定が行われてから半年が経過し、全国的に運営指導が急増している印象が強い。
近年で最も指導件数が多かったのは、平成29年度(2017年度)の6万7,055件であるが、今年度は確実にそれを越えるだろう。同年度は「1日型」の指導が中心であったが、現在は「半日型」中心に切り替わっており、1日に2~3件の指導を行うことが多いからだ。
6月のコラムでは、居宅介護支援の運営基準に加え、全てのサービス事業者に関係するBCP(業務継続計画)策定や虐待防止措置の減算などについても解説した。今回は、それ以外の変更点を中心に運営指導の注意点を見ていこう。
福祉用具選択制、専門相談員との連携は?
令和6年度の改定では、比較的廉価な福祉用具にあたる固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉杖を除く)、多点杖について、貸与と販売の選択制が導入された。
選択制の対象となる上記の福祉用具を提供する場合、福祉用具専門相談員またはケアマネジャーは利用者に対して、貸与と販売のいずれかを選択できることを十分に説明する必要がある。
また、利用者の選択に当たって必要な情報を提供すること、医師や専門職の意見や利用者の身体状況などを踏まえた提案を行うことも義務化された。「利用者の選択に当たって必要な情報」とは、以下のような内容が考えられる。
- 利用者の身体状況の変化の見通しに関する医師やリハビリテーション専門職らから聴取した意見
- サービス担当者会議等における多職種による協議の結果をふまえた生活環境等の変化や福祉用具の利用期間に関する見通し
- 貸与と販売それぞれの利用者負担額の違い
- 長期利用が見込まれる場合は販売の方が利用者負担額を抑えられること
- 短期利用が見込まれる場合は適時適切な福祉用具に交換できる貸与が適していること
- 国が示している福祉用具の平均的な利用月数など
選択制の対象となる福祉用具をケアプランに位置付けるに当たり、主治医意見書や診療情報提供書に福祉用具に関する記載がない場合は、追加で医師に照会することが望ましいが、主治医意見書や診療情報提供書、アセスメントなどの情報から利用者の心身の状況を適切に把握した上で、貸与・販売の選択に必要な情報が得られていれば、追加の照会は不要である。
利用者が貸与を選択した場合、ケアマネジャーはケアプラン作成後、貸与を継続する必要性があるかどうか検証し、貸与を続ける場合は、その理由を再びケアプランなどに記載しなければならない。
また、福祉用具専門相談員は、6カ月以内にモニタリングを行った上で、その記録をケアマネジャーに交付することが義務化されている。福祉用具専門相談員から報告を受けたケアマネジャーは、速やかに居宅サービス計画などの見直しまたは継続理由の記載を行う必要がある。
担当件数、要支援者カウントの注意点
令和6年度の改定に伴い、ケアマネジャー1人当たりの担当件数は44 件(一定の要件を満たす場合は49件)が基準となった。
これは運営基準に定められているが、44件を超えたからといって、ただちに違反になるわけではない。担当件数は事業所単位の平均値であるため、1人のケアマネジャーだけが基準を超えることもあり得るからだ。 ただし、特定のケアマネジャーに担当件数が著しく集中しているなど、質の確保に支障がある場合は、是正する必要があるだろう。
介護予防支援として要支援者を担当した場合、担当件数は3分の1としてカウントするが、総合事業の介護予防ケアマネジメントの要支援者は計算に含めない点に注意が必要である。総合事業のサービスのみを利用する要支援者がいても、介護報酬の減額(逓減制)は適用されない。
サービス割合説明、努力義務になったが…
令和3年度(2021年度)の改定において、前6カ月間に居宅介護支援事業所が作成したケアプランのうち、▽訪問介護▽通所介護▽地域密着型通所介護▽福祉用具貸与―について、「それぞれ位置付けられたケアプランの数が占める割合」と「ケアプランに位置付けられた各サービス回数のうち、同一事業所によって提供されたものが占める割合」を利用者に説明することが義務となった。
令和6年度の改定では、これが努力義務に変わった。「前6カ月間」とは毎年度2回、▽前期(3月1日から8月末)▽後期(9月1日から翌2月末)―に作成されたケアプランが対象である。改定前の今年3月末までは説明義務が課せられているため、過年度を対象とした調査の場合、行政に指摘されると、運営基準減算になるおそれもあるので注意が必要である。

- 小濱道博
- 小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。
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