

小濱道博の介護経営よもやま話
居宅も必須のアカウント取得 GビズIDとは?
- 2024/09/30 09:00 配信
- 小濱道博の介護経営よもやま話
- 小濱道博
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前回は、今年度から始まった介護経営情報の報告制度について、厚生労働省の介護保険最新情報の内容を踏まえた最新動向をお伝えした。
介護サービス事業者が国に経営情報を提出する前にやるべきことがある。それは、デジタル庁が運営する行政サービスの認証システム「GビズID」のアカウント取得である。
アカウントの作成と運用の方法などについては、この秋頃に運用マニュアルが通知される予定だが、今回は一足早く、このGビズIDについて解説したい。
GビズIDのアカウントは、審査の有無によって「エントリー」と「プライム」の2種類あるが、経営情報の提出に当たって事業者が取得するのはプライムの方である。
申請方法は2つある。1つはオンラインで申請する方法である。手続きの際は、法人の代表者のマイナンバーカード、専用のアプリをインストールしたスマートフォン、そしてメールアドレスが必要だ。
オンラインの申請方法は次の通りである。
まず、パソコンなどの端末でGビズIDのサイトにアクセスし、基本事項を入力する。メールアドレスを登録すると、本人確認のためのメールが送信されるので、認証手続きを行う。
認証手続きを終えると、画面上にQRコードが表示される。これをスマホのアプリで読み込むと、登録画面が表示されるので、スマホの上にマイナンバーカードをかざしてカード情報を読み込む。既に登録してある基本事項の情報と突合され、問題がなければ、これで手続きは完了だ。アカウントのIDとパスワードは即日発行される。なお、IDは登録したメールアドレスとなる。
もう1つの申請方法は書類の郵送である。これは、アカウントの申請書と印鑑証明をGビズID運用センターに郵送し、アカウントのIDとパスワードを取得するものだが、1週間程度の時間を要する。
問題は、どちらの方法で申請するかだが、オンライン申請の場合、マイナンバーカードの取り扱いに慣れていないと、時間と手間がかかるかもしれない。
マイナンバーカードの認証作業には、事前登録したパスワードが必要である。手続きの際は、署名用(6~16桁)と利用者証明用(4桁の数字)の2つのパスワードが求められる。これを何回か間違うと、マイナンバーカードがロックされ、再設定しなければならなくなる。
再設定の手続きは、コンビニに設置されているキオスク端末でも可能だが、余計な時間を要することになる。操作に自信のない人には書類審査をお勧めする。
そもそもGビズIDとは何か?
GビズIDは、1つのアカウントに登録することで、GビズIDにひもづく全ての行政サービスを利用できる認証システムだが、GビズIDのサイトから各種申請ができるかというと、実は違う。諸手続きはあくまで、それぞれの行政サービスのホームページから行うことになる。今回であれば、経営情報提出用のデータベースのページにアクセスし、ログイン時にGビズIDのアカウントを使用する。
GビズIDを利用する際は、メールアドレスの登録が必須となる。基本的には24時間、365日稼働するが、定期的なメンテナンスがあり、その時間帯は利用できなくなる点に注意が必要だ。
GビズIDはWindowsとMacの両方に対応しており、Windowsの場合、OSはWindows 10または11で、プラウザはEdgeもしくはChrome、Macの場合はOS 14以上で、プラウザはSafariかChromeとなっている。スマホの場合、iPhoneはiOS17以上、AndroidはOS14以上が対応している。これらは推奨環境なので、要件に満たなくても利用できる可能性はあるが、あまりに古いOSが搭載されたパソコンでは難しいだろう。
なお、プライムのアカウント作成には法人番号が必要で、法人番号の公表に同意した事業者の代表者が登録する。代表者のマイナンバーカードが必要になるため、複数のアカウントを発行できない仕組みとなっている。
GビズIDは今回の経営情報の報告にとどまらず、今後さらに多様な電子申請に利用されるであろう。現時点で利用料はかからないが、今後、アカウントに有効期限が設けられる予定で、将来的な有料化の可能性は捨て切れない。
委任契約による代理提出も可能
GビズID を使って経営情報の提出を外部に委任することもできる。昨年から始まった医療法人の経営情報の報告義務と同様、委任者と受任者の双方がアカウントを持っていれば、GビズIDのマイページから手続きを行うことで、受任者による代理提出が可能となる。
例えば、契約している会計事務所に代理提出を依頼することもできる。会計事務所の場合、個人事業主の税理士も多いが、GビズIDは個人事業主も登録可能となっている。
委任契約を結べば、他のコンサルタントによる代理提出も可能である。今後は記帳代行のように、専門の代行業者も出てくると思われるが、外部委託の場合、別途料金が発生するため、そのコストをどう考えるかであろう。
ここで問題となるのは、初年度の提出時期が来年1~3月であるということだ。会計事務所はこの時期、年末調整合計表や償却資産税の提出、確定申告と重なる超繁忙期である。このため、会計事務所サイドはいち早く情報を入手し、準備を進めていくことが重要であろう。

- 小濱道博
- 小濱介護経営事務所代表。株式会社ベストワン取締役。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。
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