弁護士からの応援寄稿「知っておきたいトラブル事例と対応策」

義父の介護費用をケチり、施設入所を目論む嫁

ご利用者とご家族の間で、介護方針や方法について希望が合わないことはしばしば起こります。特に「いつまで在宅生活を続けるか、施設に移るか」を決めるタイミングは、大きな決断だけに齟齬が生じることも多いでしょう。施設入所はお金もかかりますので、なおさら意見が対立しがちです。今回はその典型的なケースをご紹介します。

ケース 義父の介護費用をケチり、低額の施設入所を目論む嫁

◆担当しているご利用者と家族
利用者Aさん:元公務員の男性(70代、要介護1)。妻とは30年ほど前に死別。その後、2人の子どもを男手1人で育て上げた。数年前、パーキンソン病を発症。手すりや歩行器がなければ歩きにくい。入浴時に介助が必要。要介護状態になるまでは、障害のある次男と同居し面倒を見てきた。実家を継いでいるので資産は十分にある。長男の妻Cさんとは相性が悪く、お互い避けてきた。最近Cさんが自分を施設に入所させようとしていると勘付き、警戒している。
長男Bさん:50代、大手会社の会社員。妻と二人の子と一軒家で暮らす。長男夫婦はAさんの家の隣におり、何かと面倒をみている。父の生活費用・介護費用は父の資産・収入で賄えているが、Cさんが差し入れる料理や日用品は全てBさんとCさんが負担してきた。実家の維持管理費や固定資産税もBさんが負担しているが、家の名義は父。
長男の妻Cさん:40代、週3回パートに出ている。関心事は子どもを医師にすること。有名私立中学校へ進学させることを当面の目標としている。口癖は「お金が足りない」。
次男Dさん:40代、中度の知的障碍者。Aさんと同居していたがAさんが要介護状態になって以来、近所のグループホームに入居している。
◆サービス利用状況
福祉用具(歩行器)、訪問介護(週に2回)、訪問看護(週1回)
◆相談者
60代の男性ケアマネ

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外岡潤
1980年札幌生まれ。99年東京大学文科Ⅰ類入学、2005年に司法試験合格。07年弁護士登録(第二東京弁護士会)後、ブレークモア法律事務所、城山総合法律事務所を経て、09年4月法律事務所おかげさまを設立。09年8月ホームヘルパー2級取得。09年10月視覚障害者移動介護従業者(視覚ガイドヘルパー)取得。セミナー・講演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することを得意とし、特に独自の経験と論理に基づいた介護トラブルの回避に関するセミナーには定評がある。主な著書は『介護トラブル相談必携』(民事法研究会)、『介護トラブル対処法~外岡流3つの掟~』(メディカ出版)、『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(レクシスネクシス・ジャパン)など。「弁護士 外岡 潤が教える介護トラブル解決チャンネル」も、運営中。

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