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医療基礎知識

アルツハイマー型認知症治療の現状と展望(1)

2011年4月、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬としては日本で初めての経皮吸収型製剤である「イクセロンRパッチ」(一般名:リバスチグミン)の製造販売が承認されました。これにより、日本でも年内には、世界で標準的に使用されている4剤のAD治療薬の使用が可能になります。
イクセロンパッチの登場により日本のAD治療の何が変わるのかを、認知症専門医である東京医科大学老年病科教授の羽生春夫先生にお聞きし、2回に分けてお届けします。

提供:ノバルティス ファーマ株式会社

高齢化に伴う新たな課題「認知症」

厚生労働省の簡易生命表(平成21年)によると、2009年の日本人の平均寿命は、男性が79.59年、女性が86.44年【図1】。また、「高齢社会白書(平成22年版)」では、2055年には男性の平均寿命が83.67年、女性の平均寿命は90.34年となり、女性の平均寿命が初めて90年を超えると見込まれています。日本では、長寿はごく普通のことになりつつあり、それは大変喜ばしいことですが、その一方で高齢化に伴い、認知症の方たちが増えるという課題もあります。

2030年には認知症患者数は420万人に

日本での認知症の方の数は、2010年の推計ではおよそ250万人といわれています【図2】。一般に認知症の発症率は高齢になるほど高くなり、65歳以上の高齢者を5歳ごとに区切った年齢段階別でみると、段階が上がるごとに発症率が2倍になります【表1】。この先高齢化が進む日本において認知症の方の数は、2020年には348万人、2030年には420万人にも達すると考えられています。

体験そのものを忘れてしまうのが認知症

認知症とは、いったん正常に発達した認知機能が、脳の萎縮や脳血管障害などによって著しく低下し、もの忘れをはじめとするいくつかの症状によって、日常生活に支障をきたす状態をいいます。症状としては、認知症の人なら必ず現れる「中核症状」と、中核症状に伴い現われたり、現れなかったりする「周辺症状」があります【図3】

中核症状の第一は、もの忘れなどの記憶障害で、多くの場合、家族や周囲の人が気づく最初の症状になります。もの忘れ自体は、加齢に伴い誰にでも起こるものですが、認知症によるもの忘れは、体験そのものを忘れてしまうところに特徴があります。たとえば旅行に行って、宿泊した旅館の名前を思い出せないのが加齢に伴う年相応のもの忘れ、旅行に行ったこと自体を忘れてしまうのが認知症によるもの忘れです。

一方、周辺症状は、行動・心理症状(BPSD:behavioral and psychological symptoms of dementia)とも呼ばれ、行動症状と心理症状の2つに分けられます。行動症状には、徘徊、攻撃的な言動など、心理症状には焦燥、抑うつ、幻覚・妄想などの症状があります。

治療薬は認知機能の低下の進行を抑制する

認知症の中で、最も発生頻度が高く、その半数以上を占めるといわれているのがアルツハイマー型認知症です。治療薬としては主にアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が使用されます。 アセチルコリンは、記憶の形成に深く関与している脳内で作られる神経伝達物質の一種で、健康な人の脳内では、信号を伝えたあとに分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼによって分解されます。アルツハイマー型認知症の場合、アセチルコリンの分泌がもともと減少していることに加え、そのアセチルコリンが信号を伝える前に分解されてしまうのではないかと考えられています(コリン仮説)。 前述したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンが分解されないようにするための薬です【図4】。根本的に治すことはできませんが、この薬剤が、進行を“抑制する薬”である、という点は大切です。

早期治療に取り組むと3~5年進行を抑制できる

緩やかでも確実に症状が進行していくアルツハイマー型認知症ですが、早い時期から治療を開始することで、その進行を約3年~5年遅らせることができます【図5】

進行を遅らせることで、病気を正しく理解する時間ができ、治療や介護に本人の意志を反映することもできます。また、家族にとっても、まだ時間的なゆとりがある内に病気について学ぶことで、適切な対応をとることができます。家族による適切な対応は、アルツハイマー型認知症の症状、とくに周辺症状を落ち着かせ、その人らしい生活を送ることを可能にしてくれますから、やはり早い時期の治療の開始は重要といえます。

羽生春夫
1981年東京医科大学卒業後、老年病学教室に入局。老年病学、神経内科学、脳卒中学を専門とする。日本老年医学会専門医・指導医、日本神経学会 専門医・指導医、日本認知症学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医、日本内科学会認定医・ 指導医。

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