2025年国際福祉機器展(H.C.R.)へ行こう!注目企業をご紹介

第52回を迎えた「H.C.R.2025国際福祉機器展&フォーラム」。東京ビックサイトにて開催されたリアル展(2025年10月8日(水) ~ 10日(金))は、今年も大変な賑わいを見せました。注目企業のブースやイベントのもようをレポートします。

注目企業レポート

日本コンピュータコンサルタント

介護と障害福祉の両方に対応、生誕30年の「介舟ファミリー」

この夏、創業45周年を迎えたばかりの株式会社日本コンピュータコンサルタント。日本の「インターネット元年」と言われる1995年、介護総合支援システムとして船出した同社の介護ソフト「介舟ファミリー」も、発売開始から30年が経ち、今では全国のおよそ7000事業所で利用されています。

ブース前で存在感を発揮する「助かっ太」

展示ブースにお邪魔すると、関係者にはすっかりお馴染みのイメージキャラクター「助かっ太」がお出迎え。来場者にはキャラメルポップコーンが振る舞われ、ブース内は甘い香りに包まれていました。

「介舟ファミリー」の強みの一つが、介護保険と障害福祉の両方の制度に対応していること。料金は保守費用込みの月額定額制なので、長く、安心して利用できる上、帳票は全てエクセルとPDFで出力できるため、変換などの手間も不要です。

「障害福祉に対応しているシステムはそれほど多くありません。ここ2、3年、新規の導入については、障害福祉の事業所の方が多くなっています」と、好調ぶりをアピールします。

「介舟ファミリー」の強みを語る山岸部長

居宅介護支援事業所版は、アセスメントからケアプラン作成、請求・給付管理に至るまで、ケアマネジャーの業務を一気通貫でサポート。クラウド型のため、データバックアップの観点からも、BCP(業務継続計画)対策につながります。もちろん、ケアプランデータ連携システムにも対応しています。

ライセンス料が1年無料になるキャンペーンが始まり、導入に向けた追い風が吹くケアプランデータ連携システムですが、利用率は伸び悩んでいます。同社は今回、事業者により身近に感じてもらえるよう、ブース内でセミナーを開催しました。

ブース内の一角には一昨年から、障害者アーティストの山下重人さんの展示スペースが設けられています。難病の進行性筋ジストロフィーを患う山下さんは、人工呼吸器を使用しながら、3本の指だけで電子ペンを走らせ、幻想的なタッチのCG画を作り続けています。

ブース内に設けられた山下さんの展示スペース

山岸部長は、「こんなに素晴らしい絵を眠らせておくのはもったいない。『ぜひ多くの方に知ってほしい』との思いから、展示を始めました。社会貢献と言うとおこがましいですが、こうした活動も私達の使命だと思っています」と語っていました。

TOTO

デザイン一新、より使いやすくなった「ベッドサイド水洗トイレ」

「つくるって、人を思うこと。」をテーマに、全ての人の使いやすさを追求し、快適な暮らしを支える水回り空間を提案し続けているTOTO株式会社。2013年の発売開始以来、多くの高齢者やご家族から支持を集めている「ベッドサイド水洗トイレ」は、まさに同社のモノづくりの理念を体現しています。

TOTO株式会社の展示ブース

この商品は、ベッドのそばに設置できる移動可能な水洗トイレ。要介護者の排泄の自立を支援するとともに、移動介助や汚物の処理といった介助者の負担を減らし、双方のQOLの向上につなげることを目指しています。こちらは、介護保険の特定福祉用具販売の対象になっています。

今回お邪魔した展示ブースで、機器商品開発部の榎正寿さんに、8月にリニューアルしたばかりの新商品を見せてもらいました。

居室に調和する落ち着いた色味の新商品

新商品を見てまず驚かされたのが、その洗練されたおしゃれなデザインです。便器背面の天板には、グレイッシュな木目柄を採用。アームレストには落ち着いた色味を採用したので、居室の空間に調和します。

「便器部分のみホワイトなので、視覚的にコンパクトに見え、より居室になじみやすくなりました」(榎さん)

ウォシュレットには、洗浄時に水を急速加熱する「瞬間式」を採用し、待機電力を抑え、消費電力を大幅に削減したほか、温水を内蔵のタンクに貯めておく「貯湯式」で起こっていた湯切れも解消。また、流し忘れを防ぐ「オート便器洗浄機能」を搭載したことで、より衛生的で快適な使用感を実現しました。

さらに施工ガイドを充実させたことで、これまで一戸建て住宅や高齢者施設のみだった設置対象が、マンションなどの集合住宅にも広がり、より多くの方の居室で利用できるようになりました。

今回のリニューアルは、日々商品を利用する高齢者やご家族の声を丁寧に拾い上げ、商品開発につなげた同社のモノづくりへの思いが詰まっています。榎さんは、「これまで実績を積み重ねてきたからこそ実現できたと思います。お客様から頂いた声の賜物です」と話していました。

来場者に新商品をPRする榎さん

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