どうするICTへの対応…居宅のための導入講座どうするICTへの対応…居宅のための導入講座

有識者コラム石川県担当者に聞く、介護現場における生産性向上の今とこれから 【前編】

介護現場における効率化・生産性向上には、ICTの導入が不可欠です。「地域医療介護総合確保基金」という国交付金の補助メニューにICT導入支援が位置付けられたことなどを背景に、自治体ごとに多様な事業が展開されてきました。今回は、石川県で介護領域のICT導入に携わる皆さんにインタビューを実施。前編では、石川県におけるICT化の実態や、導入した事業者の声などについて伺います。

前列左から:表英登志さん(石川県健康福祉部 厚生政策課 課長)、竹田由美子さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 施設サービスグループ 主幹)、船田満生さん(石川県リハビリテーションセンター 次長兼庶務課長)
後列左から:正田咲彩さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 施設サービスグループ 主事)、弘津茂樹さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 在宅サービスグループ 主幹)、田西香織さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 在宅サービスグループ 専門員)、寺田佳世さん(石川県リハビリテーションセンター 次長)、藤村亜希さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 課参事兼課長補佐)

後編はこちら
「包括的な視点で伴走支援・モデル事業所育成に取り組む」

人手不足を背景に、ICT化の機運高まる

竹田:石川県では、令和元年度のモデル事業を経て、令和2年度から「石川県介護施設ICT・IoT導入促進事業費補助金」として補助金の交付を行ってきました(令和7年度においては「令和7年度石川県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」の実施)。当初、41件だった申込件数は年々増加していき、ここ数年では150~160件程度と高い水準を保っています。ICT化を前向きに捉え、推進しようとする機運の高まりを覚えると同時に、導入にあたりハードルが高いと感じている事業所も少なくないようです。例えば、初期投資だけでなく数年後にソフトの更新や機器の買い替えが発生する可能性があったり、Wi-Fiなどの接続環境の整備に予想以上のお金や時間がかかったりします。導入を考えている場合は、こうした補助金の活用や、計画的に進めていただくことが望ましいため、県としても積極的にサポートしたいと思います。

弘津:居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所間ではケアプラン等のやり取りが毎月発生し、書類作成の手間が本当に多いかと思われます。そして、介護業界における人材不足は本当に深刻な課題。石川県においても、都市部であろうと山間部であろうと、人手が十分でないことは共通しています。だからこそ効率化による負担軽減は重要であり、ICT化によるメリットは非常に大きいはず。補助金や各種セミナーの情報は随時、県のウェブサイトなどで更新していくので、ぜひ活用を検討してもらいたいです。

【PR】介護ソフトを選ぶなら、サポート充実の「介舟ファミリー」

「本当に必要なテクノロジー」を選び取るために

寺田:2024年度介護報酬改定では、介護ロボットやICT導入後の継続的なテクノロジー活用を支援する観点から、生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)が新設されました。補助金申請件数が増加した背景には、こうした国の動きもあるのではないでしょうか。これまで、介護テクノロジー機器をあまり認知してこなかった管理者クラスが、必要性を感じるようになってきたわけです。現在は、介護分野における生産性向上の「過渡期」と言えるのかもしれません。

竹田:ただし、必要性が感じられたとしても、具体的に何を導入するべきか分からないことも多いでしょう。他施設で「これがいい」と判断したものが、そのまま自施設に適用できるとは限りません。そこで大切なのが、比較検討の機会を得たり、外部からアドバイスを受けたりすることです。例えば、石川県リハビリテーションセンターの敷地内には「ほっとあんしんの家」というバリアフリー体験住宅があり、福祉用具やバリアフリー環境を実例に近いかたちで体験でき、各種相談や研修などにも活用されています。

表:実際に介護テクノロジー機器を導入した事業所からは、「導入してよかった」といった声をききます。例えば、すべての職員がタブレットを持つ運用に移行した事業所では、各自のスケジュールが毎日自動的に配信されて把握しやすくなった上、現場ですぐに記録を入力できるので残業時間の削減にもつながっています。介護ロボット系では、移乗支援機器導入による腰痛予防、見守りセンサー導入による夜間定時巡回の廃止などが多く聞かれます。これらは、働く職員だけでなく、利用者側からしても「安全に無理なく移乗できる」「不必要に起こされることがない」といったメリットになっていますよね。

弘津:介護する側とされる側がお互いに楽になる、という視点はとても大切ですね。介護現場の生産性向上により、職場環境の改善など職員の負担軽減を図り、人材の確保や介護サービスの質の向上につなげていただければと思います。

【PR】初めての方でも安心のすぐに覚えられる!おすすめ介護ソフト

後編はこちら
「包括的な視点で伴走支援・モデル事業所育成に取り組む」

居宅のためのICT導入講座 TOPへ

業務効率化におすすめの介護ソフト

介舟ファミリー