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手掛けた事例と3対1の試問で真の地力を見極める―認定ケアマネ試験・ルポ

手掛けた事例と3対1の試問で真の地力を見極める―認定ケアマネ試験・ルポ認定ケアマネジャーの認定試験会場。試験官3人が1人の受験生に口頭で試問をする

ケアマネジャーの資質と地位の向上を目的に掲げる認定ケアマネジャー制度。その認定試験は、毎年秋に実施される。今年11月、東京で実施された試験を密着取材した。

試験が行われた11月15日。会場の東京・全国家電会館には、試験開始の2時間余り前から試験官を務める現役の認定ケアマネジャーが集まっていた。試験官らは、手にもった資料を凝視しながら、小声で意見を交わしている。

受験するケアマネが提出した事例に目を通し、話し合っているのだ。

状態像ごとに詳細な要件が定められた事前提出用の事例

認定試験は、介護支援専門員の資格を持ち、実務経験が3年以上あれば受験資格が得られる。

希望者は試験に先立ち、自らが担当する事例を3つ提出しなければならない。

例えば、居宅介護支援事業所で働くケアマネであれば「軽度の事例(要支援~要介護2)」と「中重度の事例(要介護3以上)」「認知症の事例(認知症高齢者日常生活自立度判定基準Ⅱa 以上)」の、それぞれのプランを1つずつ提出する必要がある。居宅介護支援だけでなく、グループホームや小規模多機能型居宅介護、介護保険施設で働くケアマネにも、それぞれ提出すべき担当事例の条件が課されている。

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試験官のチーム編成にも配慮

試験は、提出した事例に対する口頭試問だ。全国から167人が受験した2022年度の試験は、10月9日・10日と15日・16日、11月12日・13日の3回に分けて実施された。

「試験官は、3人1組で受験生を試問します。この3人は、基礎資格が異なる人同士でチームを組ませるようにしています。様々な視点と発想から、ケアマネジメントプロセスやケアプランを確認し、質問するためです。 また、より公正な試験を実施するため、受験者と活動地域が重ならないようにもしています。さらに試験官には、2日間の研修受講も必須としています」(認定ケアマネジャーの会・資格認定委員長の白木裕子氏)

試験官は口頭試問までの約1カ月間、受験生の事例にじっくり目を通すことができる。そのため、試験官が手にしている事例の中には、びっしりと付箋が貼り付けられたものもあった。

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「しんどい試問だったけど、本当に勉強になった」

手掛けた事例と3対1の試問で真の地力を見極める―認定ケアマネ試験・ルポ口頭試問は受験生が提出した担当事例に基づいて行われる

試験開始は午前10時30分からだ。3人1組の試験官の前に座った受験生らは、まず、自らの介護支援専門員証を 提示。一方、試験官もそれぞれが自己紹介をした上で、口頭試問が始まった。

主に試問されるのは、提出された事例でのサービスの選定理由や、そのサービスを使うことが家族に与えた影響、家族が抱える悩みといったところ。

提出事例に基づいた試問であるため、具体的な質疑の内容は千差万別だが、共通して質問されることもある。例えば、ほとんどの受験生は、事例に関する試問の前に、担当する地域の概況の説明を求められていた。

「地域によって人口も年齢構成も違うし、活用できるサービスも異なります。こうした概況を適格に把握しておくのは、適切なケアマネジメントを実施する上での第一歩です」(白木委員長)

試問中の雰囲気は、それほど張り詰めたものではない。時には小さな笑い声も聞こえてくることもある。そして多くの受験生は試問の内容をしっかり受け止めた上で、適切な回答を示していた。ただ、思わぬ視点からの質問にたじろぎ、答えに窮する受験生も少なくはなかった。

1人あたりの諮問も時間は45分前後。試験を終え、家路についた受験生の一人は、「とても疲れました」と笑いながらも、こう振り返った。

「3対1、というのが、まあ、しんどかった。でも、本当に良い勉強になりました」

11月13日の午前中には、すべての受験者の口頭試問が終わった。そして、その日の午後には、試験官同士が受験者の評価をめぐり、真剣な議論を交わした。

「試験官の間で合否の意見が分かれた場合にのみ、試験官同士で話し合います。その際、特に注意しているのは、イメージや印象ではなく合否判定基準に則った根拠によって判断すること。この点は、客観的な判定をするため徹底しています」(白木委員長)

今年の試験の合否は12月末には受験者に通知される。そして、合格した人は2023年4月1日から、認定ケアマネジャーの資格を得ることができる。

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