白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.51
近ごろ話題の集合住宅の『囲い込み』-何を変えるべきか、そして現場のケアマネができることは(後編)

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、住宅型有料老人ホームにおける「囲い込み」と呼ばれる過剰なサービスや、それが現場にもたらす影響、現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことを、白木先生がアドバイスします。
ケアマネは入居前のご利用者に適切な提案を!
もちろん、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」で示された方針や対策のすべてが的はずれというわけではありません。
例えば「ケアマネジャー交代を強いるような有料老人ホームには規制を」という方針は、前向きな提言です。実際、入居したらケアマネを交代してくれ、と言ってくる有料老人ホームは、まだまだあります。
ケアマネを交代するかどうか。これはあくまで利用者とその家族が考え、判断すべきことです。
そしてケアマネは、入居を検討するご利用者に、適切な提案をする必要があるでしょう。具体的には、入居できそうな有料老人ホームの候補を複数示すなどの対応が求められます。興味を持ってくれたところには、一緒に見学に行くくらいの対応ができれば、理想的ですね。さらに、実際に入居が決まったら、自分が引き続き、担当すべきかどうかも、自ら提案すべきです。
中には、有料老人ホームの紹介会社にすべてを丸投げするケアマネもいるようですが、これは無責任ではないでしょうか。
「住み替えは大きなストレスと不安を生む」ことを忘れずに!
最後に、住み替えに不安を抱えている利用者にとって、ケアマネまでが交代してしまうことは、不安と負担を増大させることにつながると思います。
「ご自宅から住宅型有料老人ホームへ」という変化は、住環境が激変し、これまで支援してくれたヘルパーも看護師もほとんど丸ごと入れ替わり、家族・友人とも距離ができてしまうということ。これまでの生活がことごとく変わってしまうのです。不安とストレスが生じないわけがありません。
- 白木 裕子 氏のご紹介
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株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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