白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.44
在宅の現場を揺るがすケアマネ不足-今、居宅がやるべきことは(前編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、人材不足が深刻化し続ける中、居宅介護支援の現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことや取り組むべきことを、白木先生がアドバイスします。
不足するケアマネ、減り続ける居宅介護支援事業所…
ケアマネジャーが不足している―。近年、さまざまな場面で見聞きにするようになった、たまらなく嫌なフレーズです。
残念ながら、ケアマネジャー不足の影響は、既に現場に影を落とし始めています。2018年以降、居宅介護支援事業所の数が減り続けていることは、その影響がわかりやすい形として現れたものといえるでしょう。さらに厚生労働省の将来推計では、2040年までに8.3万人ものケアマネジャーを新たに確保しなければならないという数値も示されています。
このケアマネジャー不足を解消するには、2つの道筋からのアプローチが必要です。
1つは、今いる人を離職させないこと
2つは、新たな人材を確保すること
この2つは分けて考えていかなければなりませんが、いずれにしても、まずは「賃上げ」も含めたケアマネの待遇改善を進めることが不可欠です。これが実現しない限り、抜本的な問題解決は期待できないでしょう。
今こそ注目したい「潜在ケアマネ」
国の処遇改善策を待たずにできることを考えると、「潜在ケアマネ」と呼ばれる人材に注目することが挙げられます。
現在、介護支援専門員の資格を生かして現場で働いている人は18万人程度と言われます。一方、介護支援専門員の資格を取ったことがある人(※介護支援専門員実務研修受講試験の合格者)は、全国に80万人ほどいます。その中には、試験に受かっただけで実習を受けなかった人も、更新研修を受けずに資格を失効した人も含まれますが、それでも現在、働いている人よりはるかに多くの「潜在ケアマネ」が実在していることは、間違いのないところでしょう。
ちなみに、昨年末の厚労省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の中間取りまとめには、「潜在ケアマネ」の実態を把握し、円滑な復職が可能となるよう環境整備を進める必要性などが盛り込まれました。国も「潜在ケアマネ」に注目しはじめているわけです。こうした状況を思えば、今こそ、人手不足に悩んでいたり、世代交代の必要性を感じたりしている居宅介護支援事業所は「潜在ケアマネ」の採用に、積極的にアプローチする工夫が必要と考えます。
- 白木 裕子 氏のご紹介
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株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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