ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.07
ケアプラン作成のコツ・着眼点・改善方法(前編) ~その利用者らしさを引き出すアセスメント~
本人の気づかないニーズを見出す注意力
アセスメントの中で利用者さんから困りごとを相談されると、それをニーズと捉え、直ぐにサービスに結び付けてしまうことが増えているように思います。また、利用者さんに「デイサービスに行きたい」と言われると「そうしましょう」と言ってしまうような、利用者さんの希望をそのままニーズだと思っているケアマネジャーも多いと感じます。
しかし、真のニーズは利用者さん自身、気づいていないことも多々あります。本人が気づいていないニーズを見出し、いかにニーズ化できるかはケアマネジャーの力量次第です。たとえば、糖尿病の利用者さんが、「ちゃんと自分で血糖値をコントロールできている」と言ったとします。そこで、「そうですか」と答えてすませていませんか。そうではなく、ヘモグロビンの数値はどうですか、フットケアはどうしていますか、ときちんと確認します。そして、危ないなと感じたら、足に傷がついたときに壊疽(えそ)になったら大変なので、月に1回は訪問看護にチェックしてもらいましょうといった提案をするなど、予防的な視点を持って利用者さんを見ていくことも必要です。
ケアマネジャーの力量という点で言えば、利用者さんのニーズを解決するために適切な情報を提供していくことも大切です。利用者さんの中には、介護サービスといえばヘルパーさんとデイサービスしか知らない方、そのサービス内容もよくご存じない方もいらっしゃいます。そのために、デイサービスみたいな幼稚なところには行きたくない、とおっしゃる場合もあります。そんなとき、今はリハビリを中心にやっているデイサービスがあるんですよと伝える。あるいは、近くの公民館で体操教室をやっているんですよ、と介護保険外の介護予防サービスを紹介する。ご本人が受け入れやすい提案をどれだけできるかも、ケアマネジャーの力量次第。その方らしい生活を取り戻すためにはどうすればいいかという発想で情報提供してほしいと思います。
聞きにくいことは最初に聞く
ケアマネジャーとして利用者さんの支援をしていく上で、利用者さんに確認しておくべき情報がいくつかあります。例えば、経済状況や家族構成、疾患、緊急連絡先などです。また、住宅改修の際には、持ち家かどうかは必ず必要な情報です。
こうした情報は、重要事項説明書に従って最初に聞くのがスムーズです。たとえば経済状況であれば、「住民税が課税か非課税かによって使える制度とそうでない制度があるので、差し障りのない範囲で教えていただけますか」と、初回訪問の時に尋ねれば、ほとんどの方が教えてくださいます。個人情報に係わることであっても、興味本位で聞いているのではなく、正当な目的があって聞いているとわかれば答えてくださるものなのです。
最初に聞くことを躊躇して聞きそびれると、改めて聞くのはなかなか難しくなります。1年も2年も担当しているのに改めて経済状況を尋ねたら、「今さら何でそんなことを聞くのか」と不審に思われかねません。聞きにくい情報こそ、最初に確認するよう心がけましょう。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
会員限定コンテンツのご案内
CMO会員限定コンテンツの「CMOたより」は、ケアマネジャーのみなさまの業務に役立つ情報を配信しています。メッセージは定期的に届きますので、ぜひログインして最新メッセージをごらんください。
※会員限定コンテンツのため、会員登録が必要です。
- ダスキンからはこんな「たより」をお届けしています
- 福祉用具に関するお役立ち情報
- 福祉用具専門相談員が語る、ご利用者様とのエピソード
- ケアマネからの福祉用具に関する疑問・質問に回答